力の支配と恣意的な恩寵にすがる古い秩序の復活は、世界の中長期的利益に反する（中川語録）
船長釈放の背景について、米政府の求めがあったとの説があるようだ。にわかには信じがたい説である。なぜならば、その後の中国の対日、対東南アジア強硬姿勢は米国の国益を大きく損ねるものである。船長釈放だけをやれば中国の要求がエスカレートすることを米国が予測できなかったとは思えない。
東アジアで法と正義が脅かされ、力の支配と恣意的な恩寵にすがる古いアジア的秩序が復活するとすれば、世界の中長期的利益に反する。日本政府の誤った判断が、このような中長期的な世界の共通の利益に反することにつながりかねないことは、残念でならない。
（９月２６日記）中川秀直