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TV映画「密約」22年ぶり劇場公開 沖縄返還の裏描く

2010年4月9日

写真:「密約―外務省機密漏洩事件―」拡大「密約―外務省機密漏洩事件―」

 澤地久枝のノンフィクションを基に沖縄返還の裏面史を描いた「密約――外務省機密漏洩事件」が、10日から東京や沖縄などで公開される。1978年にテレビ映画として作られ、88年に劇場で上映された作品。日米間の密約が再び注目される今、22年ぶりに日の目を見ることになった。

 主人公は密約の存在を特報した新聞社の男性記者(北村和夫)と、機密文書を渡した外務省の女性事務官(吉行和子)。彼らを裁く法廷で、2人が「ひそかに情を通じ」ていたことが暴露される。重大な政治問題が卑近な愛欲問題に極小化される過程を、乾いたタッチで描いている。

 メガホンは元日活の千野皓司監督。同社のロマンポルノ移行時に退社した。その後、「パパと呼ばないで」「雑居時代」などコメディータッチのテレビドラマの演出で知られる。「密約」は直球一本やりの硬派な作品だ。「スポンサーから『情事をやるな。政治をやれ』と言われました。今じゃ考えられないですね」と千野監督。

 テレビ映画は当時、安価な16ミリフィルムで撮影されていた。しかし千野監督は「映画と同じ35ミリで撮りたい」と主張。意見が通った。撮影監督には「影武者」などを手がけた斉藤孝雄、美術は「復讐するは我にあり」などの佐谷晃能ら映画界の一流スタッフを集めた。千野監督は「おかげでまた劇場公開することが出来ました」。(石飛徳樹)

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