writer : techinsight

【名盤クロニクル】イングウェイ・マルムスティーン「セブンス・サイン」

(画像提供:Amazon.co.jp)

(ジャンル:ロック)
ハードロックとヘヴィメタルは何度か対抗勢力によって存在を脅かされつつも、発展と細分化を進めてきた。
70年代後半のパンクムーブメントによって存在を否定されかけつつも、80年代中盤以降に逆襲に転じて再び活性化。その後商業化していく中でニルヴァーナなどに代表されるグランジ/オルタナティブによって再逆襲された後、70年代の御大バンドの再ブームで再び活性化するという非常に面白い展開を見せている。
ただし、いつの時代もヒーローを生み出してきたのはメタル陣営のほうである。今回は、その中からギタリスト、イングウェイ・マルムスティーンの作品を紹介したい。

驚異的な早弾きと特徴的なフレージングによりギターをサディスティックなまでにシバキ倒しながらも、クラシック音楽や民族音楽などの素養を持ち、多彩な音楽性を見せているのが、イングウェイである。

ともすれば、「どれを聴いても同じ」になりがちなメタルとは一線を画するバラエティに富んだ楽想とキャッチーなメロディで、このアルバム発表年である1994年における対抗勢力グランジとの違いを強調する内容となっている。

ネオクラシカルメタルと分類されるように、ドラマ性の強調とメロディアスな展開が非常に魅力的だ。

イングウェイは譜面をほとんど重視しないとされている。かつて所属していたバンド「アルカトラズ」での後任ギタリスト、スティーブ・ヴァイが採譜の鬼とされているのとは正反対に、あくまでも肉体からあふれでるフレーズとメロディを重視したアーティストだ。
ビートも、王道メタルビートから、ミドルテンポナンバーやヘヴィーバラードまで実に多彩である。

もし、「メタルなんてやかましいだけの騒音音楽だ」という偏見を持っている人がいたら、ぜひこの作品を聴いて欲しい。かつてリッチー・ブラックモアやマイケル・シェンカーに熱中したオヤジ世代をも十分納得させるだけの音楽性を持った名作である。

(収録曲)
1. ネヴァー・ダイ
2. アイ・ドント・ノウ
3. メント・トゥ・ビー
4. フォーエヴァー・ワン
5. ヘアトリガー
6. ブラザーズ
7. セヴンス・サイン
8. バッド・ブラッド
9. プリズナー・オブ・ユア・ラヴ
10. ピラミッド・オブ・キーオプス
11. クラッシュ・アンド・バーン
12. ソロウ
13. エンジェル・イン・ヒー
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)