【5月25日 AFP】米国の大ヒットテレビドラマシリーズ『24(Twenty Four)』は24日、第8シーズン、192話で終了する。拷問され、毒を盛られ、感電させられ、刺され、撃たれても生きのびてきた米俳優キーファー・サザーランド(Kiefer Sutherland、43)演じる『24』のヒーロー「ジャック・バウアー(Jack Bauer)」も、ついに時間切れだ。

 2001年11月に放映が開始され9年続いた『24』シリーズは、1シーズン24話で24時間を描くという、物語を「リアルタイム」で展開する新たな形式を生みだして米テレビ界の画期的出来事と称賛された。その後『Lost』『Heroes』などの斬新なテレビドラマに新たな道を開いた。

『24』の企画・製作総指揮・メイン脚本家を務めたジョエル・サーナウ(Joel Surnow)氏は米紙USAトゥデイ(USA Today)の最近のインタビュー記事で、放送開始当時このようなリアルタイムの番組展開は知られておらず、シーズンを通して番組を見る視聴者などいないと言われたが、「人々は番組に夢中になり、シーズン全24話を視聴した」と話している。

■9/11後の時代を反映

 放送期間は2001年9月11日の米同時多発テロを受けてジョージ・W.ブッシュ(George W. Bush)前米大統領政権が是認した「強化された尋問方法」について激しい論争が起きた時期と重なった。テロ容疑者への拷問も辞さない主人公ジャックの姿勢は、保守派のドラマファンに格好のコメント材料を提供した。尋問法についてはいまもなお、法的な論争が続いている。

 ブッシュ政権の法律顧問を務め、広く拷問と見なされた尋問方法を勧める法的メモを書いたジョン・ユー(John Yoo)氏は自著『War by Other Means』で、「FOXテレビの『24』で最近描かれていたように、もし、核兵器のありかを知るハイレベルのテロリストのリーダーが捕まったらどうか」とドラマに言及している。

 米連邦最高裁判所のアントニン・スカリア(Antonin Scalia)判事も2007年の法律関係のシンポジウムで、「ジャック・バウアーはロサンゼルス(Los Angeles)で何十万人もの命を救った。それでもジャック・バウアーに有罪判決を下しますか?」と言及している。

 『24』では頻繁に拷問場面が描かれ(最初の5シーズンだけで67回)、公民権運動団体やテレビ番組の監視団体、米軍などから多くの批判も受けた。(c)AFP

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