オペラント条件づけ

環境に対する自発的な行動であるオペラント行動の結果、生じる環境の変化によってその自発が増加することを、オペラント条件づけ(operant conditioning)あるいは道具的条件づけ(instrumental conditioning)という。

自発的行動を増加させる刺激を強化刺激(reinforcing stimulus)という。これは、強化子(reinforcer)とも呼ばれる。オペラント行動の自発の後に強化刺激を伴わせることを、強化(reinforcement)という。

オペラント行動の自発の後に提示されることによって、自発の頻度を増加させる刺激を、正の強化刺激(positive reinforcing stimulus)という。そのような強化の仕方を正の強化(positive reinforcement)と呼ぶ。また逆に、自発の後に除去されることによって、自発の頻度を増加させる刺激は、負の強化刺激(negative reinforcing stimulus)と呼ばれる。そのような強化の仕方は、負の強化(negative reinforcement)である。ここでいう正負という考え方には、正が望ましく、負が望ましくない、というような価値観は入っていない。

オペラント行動の結果として負の強化刺激が提示されたり、正の強化刺激が除去されることによって、行動の頻度が減少することを、罰(punishment)という。前者の場合は、正の罰(positive punishment)、後者の場合は、負の罰(negative punishment)と区別される。

また、オペラント行動は、その直前にその行動を引き起こす引き金となる刺激があって自発される。そのような刺激を、弁別刺激(discriminative stimulus)と呼ぶ。行動と刺激のつながりを、随伴性(contingency)という。

強化刺激の提示と除去とオペラント行動の自発頻度の増減との関係をまとめると下記のようになる。

       正の強化刺激         負の強化刺激

提示      正の強化           正の罰
    (行動の自発頻度の増大)   (行動の自発頻度の減少)

除去      負の罰            負の強化
    (行動の自発頻度の減少)   (行動の自発頻度の増大)

1.正の強化

子どもの歯磨きの指導を例にとって説明すると次のようになる。子どもが歯ブラシ(弁別刺激)を手にし、ブラッシングをする(オペラント行動)。ブラッシングをし終わった直後に母親が、ほめて手帳にシールを貼ってあげる。その結果ブラッシングをする自発頻度が増大すれば、歯ブラシ(弁別刺激)→ブラッシング(オペラント行動)→ほめ言葉・シール(正の強化刺激)という随伴性が形成されたことになる。これが正の強化である。このように随伴性が形成された子どもにブラッシングをいつもしてもらうためには、歯ブラシを子どもに見えやすく手が届きやすい場所に置き(弁別刺激の提示)、ブラッシング終了後直ちに十分にほめ、シールを毎回貼ってあげなければならない(正の強化刺激の提示)。

2.負の強化

(1)逃避条件づけ(escape conditioning)

これは、オペラント行動の自発の直後に負の強化刺激が除去されることによって、その行動の自発頻度が増大する、という行動と刺激のつながりである。

たとえば、傷の痛みがひどいので、鎮痛剤(弁別刺激)を口に入れて飲む(オペラント行動)と痛みがなくなる(負の強化刺激の除去)という一連の刺激と行動のつながり、すなわち随伴性は、逃避条件づけの例である。

(2)回避条件づけ(avoidance conditioning)

逃避条件づけではオペラント行動をすることによってその時に提示されている負の強化刺激が除去されるが、回避条件づけでは、オペラント行動をした時点では負の強化刺激はまだ提示されておらず、その行動をした結果、負の強化刺激を回避できることによって、その行動の自発頻度が増大する。

子どもが注射を嫌って逃げる行動は次のように説明できる。子どもが、注射器(弁別刺激)を見て逃げると(オペラント行動)、注射による痛みを避けられる(負の強化刺激の回避)。

3.罰

(1)正の罰

オペラント行動の自発の結果として、負の強化刺激が提示されることによって、その行動の自発頻度が減少する場合である。

たとえば、幼児が不安のなかで初めて歯科治療を受けに来院した(オペラント行動)時、痛み(負の強化刺激)の経験をすると、その後、歯科医院に治療に行こうとしなくなる(オペラント行動の減少)のも、正の罰による行動の変化の例である。

(2)負の罰

これは、オペラント行動の自発の結果として、正の強化刺激が除去されることによって、その行動の自発頻度が減少する場合である。

たとえば、先に正の強化の例としてあげたブラッシングの場合でいうと、その子どもが、夕食後のブラッシングをさぼった(オペラント行動)ので、手帳に貼ってあるシールを母親が一枚剥がす(正の強化刺激の除去)のは、さぼりを減少させるための負の罰による対応である。

4.消去(extinction)

消去とは、それまで強化されていたオペラント行動が、それ以上強化されなくなったために、その行動の自発頻度が減少する場合である。

たとえば、親切に診てくれる医師(正の強化刺激)がいたのでいつもある病院に通院していた(正の強化)が、その医師が他院に転勤してしまったために、その病院から足が遠のく(オペラント行動の減少)のは、消去の例である。

Copyright © 2007 心理学COCOROの法則  All Rights Reserved.