中国人民銀、副総裁が論文 「人民元上昇、インフレ抑制」
中国人民銀行(中央銀行)の胡暁煉副総裁は26日発表した論文で、人民元相場について「より柔軟な為替制度は、インフレや資産バブルの抑制に役立つ」との認識を示した。インフレ懸念がくすぶるなか、一段の相場上昇に前向きな姿勢を示したと受け止められている。ただ、輸出企業を所管する商務省は慎重な対応を求めており、政府内で意見対立が深まっている可能性がある。
胡副総裁は「インフレ圧力が高まっているときに元相場が少し上がれば、輸入品の価格は相対的に安くなる」と指摘。さらに「中国のように資源が足りない国では1次産品を大量に輸入する必要があり、『輸入型』のインフレ圧力を和らげるうえで為替調整は特に有益だ」と表明し、元相場の一段の上昇に積極的な考えをにじませた。
人民銀は6月下旬から元相場の弾力化に踏み出したが、この間の上昇幅は約0.7%にとどまる。商務省などが「労働集約型の企業は経営上の圧力に直面している」(同省の姚堅報道官)として、大幅な上昇に反対しているとの見方が多い。そうしたなか、胡副総裁の論文は元相場上昇の「利点」を強調した点で注目を集めそうだ。(北京=高橋哲史)