家具のイケア、全国に出店拡大
ネット通販も参入
九州や名古屋地区を皮切りに
スウェーデンを本拠とする世界最大の家具専門店、イケアが日本で全国展開に乗り出す。九州地区や名古屋市周辺に初進出するほか平均年1店のペースで主要都市に出店する。今秋にはインターネット通販にも参入する方針。消費者の節約志向が高まる中、外資系小売りは世界規模の調達網を生かした低価格戦略や独特の販売手法で存在感を高めている。イケアも価格競争力を武器に攻勢をかける。
イケアグループのミカエル・オルソン最高経営責任者(CEO)が日本経済新聞の取材に対し明らかにした。イケアの店舗は現在、港北店(横浜市)やポートアイランド店(神戸市)など、首都圏と関西地区を合わせて5店舗にとどまる。今後は九州や名古屋地区を皮切りに全国に店舗網を広げる。東京近郊にも出店し、首都圏でもシェア拡大を狙う。
イケアの店舗は売り場が4万平方メートル前後と大規模なのが特徴。オルソンCEOは「いろいろな商品を触ることで購買意欲が刺激される」と話し、今後も大型店にこだわる考えを示した。
今年10月にはネット通販にも参入する。まず専用サイトを開設し、法人向けの家具販売を本格的に始める。オルソンCEOは「法人需要を掘り起して低価格の家具を広げたい」と語る。イケアは世界10カ国でネット通販を手掛けているが、日本では初めて。
利用者は主に中小企業やリフォームなどに携わる施工業者などを想定。店頭と同じ商品を同じ価格で提供する予定だ。イケアは主要都市での出店を優先しているため対象の顧客層はファミリー層が中心で、法人は少なかった。地方の未進出地域で需要を開拓する狙いもある。
イケアの2009年8月期の連結売上高は約2兆6000億円で、この5年間増収を維持し続けている。日本での売上高は約520億円で前の期に比べ1.4倍に伸びた。ただ、家具専門店では首位のニトリ(2861億円、10年2月期)に水をあけられている。オルソンCEOは「日本は中国と並ぶ重要な市場」ととらえており、収益拡大を急ぐ。