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「理想的な淡水水槽」 9.4.3. 水草の脱石灰化作用


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

9.4.3. 水草の脱石灰作用


興味を持って本書を読んでいるアクアリアナーのために、これからも我々は喜んで立証を行っていこう。

河川における水草の脱石灰化作用に関連して、それぞれの水草が持つ個々の能力を調べる目的で我々が行った実験によって、注目すべき結果が得られた(表、グラフ参照)。

この実験結果が示すのは、水中の植物が必要とする二酸化炭素(CO2)を得るために、彼らはまず最初に水中の遊離二酸化炭素を利用するということだ。これは水草にとって、最もエネルギーを使わずに行うことができる二酸化炭素の摂取方法である。そして水中の遊離二酸化炭素を消費し尽くすと、水草は炭素が結合した形態の重炭酸塩を利用する。この調査では、この過程が光エネルギーによって左右されるということも証明された。Ludwigia repens(レッド・ルドヴィジア)とVallisneria asiatica(セキショウモ)は、2,200ルクスの光の下で最も成長が悪くなり、20,000ルクスでは著しく活動が活発になった。この20,000ルクスの照度という条件下で、レッドルドヴィジアは5.2を示していた水中の酸素受容力(SK)を1.8にまで下げることができた。この実験では、陽性植物と陰性植物の性質の違いをはっきりと認めることができた。当然我々は、理想的な水槽にふさわしい最新鋭の器具を用いて、すべての植物に均等に二酸化炭素が行き渡るように考慮し、この実験を行っている。



水草の脱石灰化作用

照明器具の照度:2,200ルクス
SK:酸素受容能力
KH:炭酸塩硬度




水草の脱石灰化作用により水槽内の水の通り道、あるいは
写真のようにヒーターなどに石灰質が堆積する。これは水の蒸発
および加熱により石灰分が抽出されたものである。





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グラフ5(左)

このグラフは、水草が二酸化炭素の摂取に関して様々な能力を有し、生命維持に必要な二酸化炭素量を遊離二酸化炭素から取り込むことができない場合は、重炭酸からそれを得ていることを示す。

実験の条件はすべての水槽(3.5ℓ)について同様であった。水槽に使用した水は総硬度(GH)26°dH、炭酸塩硬度(KH)15°dH、照明は65Wである。

実験に使用した水草については以下の様に略称を用いた。
E=エロデア、M=ミリオフィラム、C=カボンバ、S=サジタリア、
C.a=クリプトコリネ・アフィニス、L=レッドルドヴィジアである。
炭酸塩の利用に対して適性がある水草ほど、その水槽の炭酸塩濃度は大きく下がる。


グラフ6(中央)

水草の脱石灰化作用は光に大きく影響を受ける。このグラフは、水草が重炭酸塩から得た炭酸を利用する場合、その利用状況は光の強度に依存することを示す。
Lは蛍光灯、Sは太陽光の下でそれぞれ実験を行った。


グラフ7(右)
水草の適応能力は水のコンダクタンス(導電率)によっても影響を受けるということを示したグラフ。実験に使用した水草はルドヴィジアの幼株である。



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グラフ8
水草は、水中に不足している二酸化炭素を補う際に重炭酸塩を利用する。グラフ8はこの過程で種類によってそれぞれ異なった反応を見せることを示している。
カボンバはpH7.5を超えたところで成長カーブが急に降下し、エロデアはさらに高いpH8.5で成長が鈍化し最終的にはpH11で成長を止める。Gessnerの実験が正しいことを証明する結果となった。



図を拡大する


グラフ9
水流がある水の中における二酸化炭素の反応を示したグラフ。水の動きが激しいほど速く二酸化炭素は水中から空気中へと出て行く。これは魚も水草も入れられていない二基の水槽(100ℓ)で行った実験である。換気(エアレーション)が行われれば、水中の二酸化炭素は24時間以内にほぼ全量が空気中へと放出される。

換気を行わなければ水中の遊離二酸化炭素がすべて空気中に放出されるまでに約20日を要する。この実験で二酸化炭素が失われた水槽では、重炭酸塩と炭酸塩硬度も正常値から大きく外れ、水質は崩壊した。





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