農水省の原田さんが、TPPが日本の農業に与える影響を解説してくださいました。(酪農部門編)

TPPは日本に与える影響は、私たちの認識以上に厳しいようです。 農水省の原田さんが、わかりやすく解説してくださいました。必見です。
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原田 英男 @hideoharada

一連のTPP関連ツイートは、皆さんへの情報提供を目的とし てます。まずは、事実を知って考えて頂きたいと思います。そういう意味でマイ・ツイートへのご質問には答えますが、ご意見にはあえて反応しません(ご意見を引き出したい、という目的ですからw)ので、お許しあれ~!

2010-11-13 20:44:17
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農①】TPPの影響は農業の各品目により異なるので、ちょっと整理。まず、酪農。乳牛から搾った乳(生乳)は、仕向けによって酪農家の手取り価格が違います。飲用向けなら110円/kg、バター・脱脂粉乳向けなら65円、チーズ向けなら45円。農家の手取りはこの加重平均。

2010-11-12 23:54:41
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農②】都府県では飲用向けが多く、北海道ではバター等の加工向けが多いので、手取り価格は都府県は100円/kg程度、北海道は80円程度。最近は飲用が減り手取りが低下。生乳の販売価格の決定は乳業メーカーと地域レベルのJA(北海道ならホクレン)が決め、政府は関与しません。

2010-11-12 23:54:43
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農③】バター向け等の生乳はメーカーが輸入との競争から安く買わざるを得ないので、生産費を賄うことができません。この差を政府が助成しています(所得保障の一種)。バターや脱脂粉乳は高い関税をかけてますが、仮に関税が下がって行くと、生産費との格差が一層拡大します。

2010-11-12 23:54:45
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農④】この格差を拡大させないためには、生産コストを下げる必要がありますが、既に日本の酪農はEU以上の規模になっていて、規模拡大による生産性向上の余地は大きくありません。一方で土地、労働、資材などのコストが高く、土地天然資源に恵まれた国との格差を埋めるのは困難。

2010-11-12 23:54:47
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農⑤】従って、コスト低下の努力をしても、輸入拡大により生乳販売価格は避けられず、生産費との差を補償するための国費は増加。日本の酪農家は既にほとんどが専業農家で約2万戸足らず。でも、肉用牛と併せ飼料作物栽培面積は約90万haと米に次ぐ土地を利用する基幹農業です。

2010-11-12 23:54:50
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農⑥】関税撤廃により、安価なバター・脱脂粉乳が輸入されれば、直接打撃を受けるのは加工用仕向けの生乳ですが、バター・脱脂粉乳から加工飲用乳も製造できるので、飲用向けの生乳も2割程度は置き換わる見込み。北海道も都府県も酪農家への影響は大きく、地域経済も打撃を受けます。

2010-11-12 23:54:52
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農⑦】TPPの参加国の中で、米国、豪州、NZは酪農大国であり、日本の酪農はコストで米国とは2倍以上、豪州、NZとは4倍以上の格差があり、ある程度国境措置がないと、とても太刀打ちできません。なお、バターや脱脂粉乳は外国との品質格差はほとんどありません。

2010-11-12 23:54:53
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農⑧】乳製品全体の消費が減少する中で、消費が増加しているチーズ(既に輸入自由化してます)の国内生産を伸ばそうと官民あげて努力してますが、まだまだの水準(農家の手取りも下がるので、コスト低下も必要)。こうした矢先のTPPは、相当厳しい条件整備が必要になります。

2010-11-12 23:54:58
原田 英男 @hideoharada

【TPPと酪農⑨】産業連関的に見ると、酪農は、資材、機械、医薬品その他のインプットが大きく、加工~流通段階でのアウトプットも大きいので、地域経済や他産業にも大きく寄与してます。こうした働きも評価した上で、関税低下の影響を十分整理する必要。さて、酪農だけで夜も更けたのでここまで。

2010-11-12 23:55:01
六本木のくろちゃん @kurokitakaaki21

@hideoharada 私は一人の個人事務所ですが週一回牛乳瓶三本を配達して貰ってます。少しでも酪農家の為になればと。いうか瓶牛乳が好きだから。ひと月千六百円位です。牛乳はTTPと関係あるのかな?

2010-11-14 07:48:54
原田 英男 @hideoharada

ありがとうございます。飲用牛乳は生鮮品なので、加工乳でなければTPPの直接的な影響は小さいでしょう。RT @kurokitakaaki20 @hideoharada 私は一人の…週一回牛乳瓶三本を…瓶牛乳が好きだから。ひと月千六百円位です。牛乳はTTPと関係あるのかな?

2010-11-14 08:03:19
モリヤ @noseglasses

@hideoharada 実家が酪農やってるのにまったくTPPのこと勉強してませんでした…大変ためになります。日本の酪農家の規模はEUと同程度だがUS、AUS、NZには及ばないというところなのでしょうか。

2010-11-13 00:01:36
原田 英男 @hideoharada

はい。牛の頭数以上に経営面積が段違い。RT @noseglasses @hideoharada 実家が酪農やってるのにまったくTPPのこと勉強してませんでした…大変ためになります。日本の酪農家の規模はEUと同程度だがUS、AUS、NZには及ばないというところなのでしょうか。

2010-11-13 00:12:27
モリヤ @noseglasses

@hideoharada なるほど、日本では経営面積の拡大は難しいですね。そもそも飼料をほとんどそれらの国々から輸入してるのだから、コスト面で太刀打ちするのはかなり困難ですね。実家は飲用だからまだなんとか・・・

2010-11-13 00:21:02
原田 英男 @hideoharada

確かに直接的な打撃を受けるのは加工向け生乳ですが、そうなれば加工地帯である北海道は飲用向けに転換せざるを得なくなり、都府県酪農も北海道との競争という困難な局面に。RT @noseglasses @hideoharada …実家は飲用だからまだなんとか・・・

2010-11-13 08:14:14
@mochi_arisa

経営面積を広げるにはどうしたらいいと思いますか? QT @hideoharada はい。牛の頭数以上に経営面積が段違い。

2010-11-13 08:16:02
原田 英男 @hideoharada

現状では離農跡地を吸収するしかないけど、牧場から遠い土地では効率低下で逆効果に。それに数年前からの飼料高騰で投資余力がない。RT @mochi_arisa 経営面積を広げるにはどうしたらいいと思いますか? QT @hideoharada はい。牛の頭数以上に経営面積が段違い。

2010-11-13 08:31:30
t-komatsu. @tkomatsu

@hideoharada @hicomin 法人による統治を嫌った時代はありましたよね。農地改革以来の土地所有者による家内自営前提から、法人経営への円滑な移行スキームを考えないと、規模拡大は無理です。

2010-11-13 22:27:37
原田 英男 @hideoharada

畜産は全然そんなことないですよ~!個人も法人も大事!RT @tkomatsu @hideoharada @hicomin 法人による統治を嫌った時代はありましたよね。農地改革以来の土地所有者による家内自営前提から、法人経営への円滑な移行スキームを考えないと、規模拡大は無理です。

2010-11-13 22:30:51
カワ ダ @kawadahirotaka

酪農。規模拡大しすぎると堆肥の処理が追い付かず、環境汚染の原因にも。堆肥処理は今や畜産全体の大問題。RT @hideoharada: 私のこと?農水省が規制によって小規模に押さえ込んでいるとい事実はないですよ~。邪推じゃあw。RT @hicomin 農水省の方が、日本の酪農家は規

2010-11-13 21:52:55
Takashi KATOH @Rakuno_Ouentai

保護してもらいたくて小規模でやってるのではない!規模拡大すればうまくいくなら、皆そうしてるはずだ。 RT @kawadahirotaka 酪農。規模拡大しすぎると堆肥の処理が追い付かず、環境汚染の原因にも。堆肥処理は今や畜産全体の大問題。RT @hideoharada:

2010-11-13 21:57:57
h.icom @hicomin

たしかに汚染の問題はありますね。農畜産(林野も?)業全体で、うまく物質を循環させられるとよいのですが。RT @kawadahirotaka: 酪農。規模拡大しすぎると堆肥の処理が追い付かず、環境汚染の原因にも。堆肥処理は今や畜産全体の大問題。RT @hideoharada:

2010-11-13 22:43:55
原田 英男 @hideoharada

そうですね。RT @clavius2010 糞尿や処理室排水の処理問題は難しい問題ですね。ましてや一般工場レベルとなるとRT @kawadahirotaka: 酪農。規模拡大しすぎると堆肥の処理が追い付かず、環境汚染の原因にも。堆肥処理は今や畜産全体の大問題。@hicomin

2010-11-14 09:44:49
原田 英男 @hideoharada

そうですね。畜産は物、人の補給線確保が必須。RT @kawadahirotaka 牛の診療を頼むにも往診料が割高。日本一の赤字ローカル線の終着点だった地区はそんな感じ。隣の地区まで15km。2軒の農家へ行く順番を考えないと共済の診療点数がすぐなくなる。<畜産の立地。

2010-11-14 08:55:05