【6月10日 AFP】グーグル(Google)は9日、アップル(Apple)が携帯電話端末iPhone(アイフォーン)のアプリ内で表示する広告からグーグルを排除しようとしているとしてアップルを批判した。

 グーグルに前年7億5000万ドル(約680億円)で買収されたモバイル広告の新興企業AdMobの創業者オマル・ハムイ(Omar Hamoui)氏は、アップルの新しいサービス規定は、AdMobやグーグルの広告ソリューションをiPhoneから排除することになると指摘している。

 IT系ブログ「オール・シングス・デジタル(All Things Digital)」が最初に報じたアップルの新規定は、モバイル端末ユーザーの位置情報の取得を「モバイル広告を主たる事業とする独立系の広告サービスプロバイダー」に限定し、「携帯端末、携帯端末用OS、開発環境を開発するアップル以外の企業が所有、あるいは提携する広告サービスプロバイダーは独立系の広告サービスプロバイダーとはみなさない」と定めている。位置情報はユーザーにとって利用価値が高い広告を配信する上で非常に重要だと考えられている。

 グーグルとマイクロソフト(Microsoft)はいずれも携帯端末用のOSを開発しており、グーグルは独自のスマートフォン「ネクサスワン(Nexus One)」の販売まで行っているため、グーグルに買収されたAdMobは閉め出されることになる。

 AdMobのハムイ氏は、「新規定はグーグルなどをねらい打ちにしたもので、広告分野の競争を阻害してユーザーや開発者を傷つけ、長期的には技術の進歩を遅らせかねない」として、近くアップルに懸念を伝えるとブログに書き込んだ。

 米連邦取引委員会(US Federal Trade Commission)は前月、独占禁止上の懸念を退けてグーグルのAdMob買収にゴーサインを出したが、その理由の一つにはモバイル広告ネットワークでアップルという競争相手が存在することがあった。

 グーグルはウェブ広告市場で支配的な地位を占めているが、今後数年間で急成長が見込まれているモバイル端末上の広告市場での立場も強めようとしている。

 アップルも、ソフト開発者や広告代理店がiPhoneやiPod TouchiPadアプリに直接広告を埋め込める独自の広告プラットフォーム「iAd」を開発してきた。アップルは広告枠の販売と、広告のホスティングで得た収益の60%を開発者に渡し、40%を自社が取ることにしている。
 
 アップルは7日、iPhoneとiPod Touchで7月1日にiAdを開始すると発表した。すでにAT&Tなどが2010年に6000万ドル(約55億円)を超える広告を出したいとの意向を示しているという。(c)AFP/Chris Lefkow