「助けあいジャパン」(http://tasukeaijapan.jp/)。22日夕、そんなウェブサイトが開設された。
内閣官房震災ボランティア連携室(湯浅誠室長)と協力し、東日本大震災の被災地の情報とボランティアの情報を集約、共有する民間プロジェクトだ。呼びかけの中心は広告ディレクター、佐藤尚之さん(49)。鳩山首相時代、政権のソーシャルメディア活用をアドバイスした。
西宮・夙川で阪神大震災を体験。当時、ウェブによる被災地情報の発信を目の当たりにし、以来、自身のサイトなどで発信を続ける。被災者として感じたのが、「適切で正確な情報が必要な人、場所に届いていない」ことだった。
そのための情報ハブ(中心)として、独自サイトに加え、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアも活用する。「ただ、それだけでは情報が錯綜(さくそう)することもあるので、より確度が高い政府経由の情報や、現地のNPO・NGOからの情報を同時に集め、提供していく」
ニュージーランド南部地震などで活用された地図と情報の集約システム「ウシャヒディ」を使った震災情報サイト「sinsai.info」や、「パーソンファインダー」などのシステムを提供するグーグルなどとも連携し、情報基盤を整備する。
ボランティア情報の収集、入力を担う拠点が、ジャーナリストとしても活動するNTTレゾナントの藤代裕之さん(38)がリーダーの「ボランティア情報ステーション」だ。
「どなたか被災地のボランティア情報をまとめているwiki(ウィキ)などありますか?」。地震発生5日目、藤代さんのツイッターの呼びかけで集まった人々の手で、8時間足らずで立ち上がった「災害ボランティア情報まとめサイト」(http://www45.atwiki.jp/volunteermatome/)のチームが母体だ。情報整理作業の実動部隊として、24日から「助けあいジャパン」に合流した。連絡にはフェイスブックを活用し、ネット上の協働が進む。
「学生有志を中心とした人海戦術で、被災地とボランティアの情報をマッチさせていきたい」と藤代さん。「官民双方の情報が機能することを目指したい。この情報を使ってくれるプロジェクトやサービスにも広く提供していく」と佐藤さん。息の長いプロジェクトを想定する。
メディアの激変は、あらゆる人たちの参加を可能にし、新しい情報と社会の生態系をつくり出した。今、その情報が力になろうとしている。(編集委員・平 和博)
(連載「メディア激変」はこれで終わります)