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「風水で見た都市のあり方」


李家 幽竹氏の写真李家 幽竹氏 李朝風水師

500年の歴史のある「李朝風水術」を継承する李王朝の一族であり、王家の風水師の家系「全州李家」の19代目として、東京に生まれる。

幼少期より、後継者として一子相伝の奥義を口伝により伝授され研鑚を積む。

近年、門外不出の李朝風水を、家長の許しを得て初めて門戸を一般に開放する。

「風水は環境を整えて運を呼ぶ環境学」という考えのもと、企業から個人まであらゆる分野での鑑定、講演会、各種セミナーを中心にテレビ、ラジオ、雑誌等でも活躍中。

ホームページ http://www.fu-style.jp/



都づくりにも「風水」が用いられていた

今、取り上げられている風水は、恋愛運、金運といろいろありますけれども、もとを正せば「道教」から派生していますので、民衆のために人の道を説くというものでした。風水がなぜこのように発展して中国で体系化していったかというと、それが軍学となり戦に使われたためです。

戦には衣・食・住・動すべてがありますので、風水がよく用いられました。そして、風水を活用した戦法、兵学ができました。ただ、世の中が安定してくると、今度は住・居の部分に突出していきました。例えば都をつくるとすれば、そのときはその都に「気」を集めなくてはいけなくなります。

風水の歴史は、発掘されているもので言えば、前漢の時代から風水師という職業があったことはわかっています。中国の神話にも風水があるということが書かれているぐらい、古い歴史のあるものです。アジア圏の人たちは風水を使って居を構えてきたし、都をつくってきたし、生活をしてきたのです。でも、王様たちは風水を使って国をつくっても、ほかの人に使われてはいけないと封印していく。日本でもこういったことが行われ、これが日本から風水が消えてしまったことの理由の一つです。

風水というのは「気」の学問です。「気」を扱う理論なのです。人間というのは「気」の中で生きていますよね。当然空気を吸っているし、気分に左右されるし、気持ちが悪くなったり、病気になったりするでしょう。だから、「気」というものの大切さを理解して、土地を選ぶというのは人間にとって当たり前のことなのです。

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よりよい場所を求めて移動する都

風水では山脈から自然の生気をもらうために、それを「龍」に例えて、「龍脈」と呼んでいます。上空から見ますと、山脈が本当に龍の背中のように流れています。そういったものが「気」を運んできて、その「気」がたまる場所を「龍穴(りゅうけつ)」と呼んでいます。

「龍穴」とは、体のツボと同じように大地におけるツボです。例えば、温泉がわくように、「気」が吹き上がっているところです。そういう土地(龍穴)を探して、都、家、墓をつくってきたのです

気が吹き上がっているということは、大地の気が循環しているので、そこにいる人が「気」をもらえる。当然運も上がる。自然の力が集まっているところを探すための法則が、風水の理論のもとになっています。都というものは、昔からほとんど「龍穴」に建てられてきましたが、古代日本で都が転々としたのも、風水的に言えば、よりよい土地を探して、つまり土地の気運を求めての遷都だったのです。

日本では風水は推古朝の時代に入ってきています。聖徳太子が風水に大変興味を持っていたというのは有名な話です。自分で福建省に人を派遣して風水を学ばせました。そのときに歴法を伝えた観勒(かんろく)が、日本に風水書を持ち込み、その功績で飛鳥寺の住職におさまり、そこから日本の都は風水ベースになりました。その中で平安京というベストポジションの都を選定しました。京都が千年ほど都として機能した背景には、風水という強力なバックボーンがあったのです。

平安京のことはご存知の方も多いのですが、江戸というのも実は風水で造設されたまちなのです。関東平野にある江戸は必ずしも理想的な土地ではありませんでした。それを徳川家康や天海僧正が「言霊法」というものを使ってあちこちに霊力のある山の名前を与えています。また、もともと江戸のまちに流れてくる「龍脈」から吹き上げてくるよい「気」を集めて、それを循環させるために甲州街道、東海道をつくりました。それらと、富士山や秩父山系から神田明神を通る3本の「龍脈」が江戸を支えています。

江戸は天海僧正らが将軍3代にもわたり、川の流れを変えてまで「気」が集まるように細工したので、現在でもまだその影響が残っていて、日本は東京を中心に考えられるようにできているのです。

しかし平安京も様々な角度から風水を駆使し、不動の都として栄えましたが、時代を経る中で、次第に左京と右京のバランスが崩れてきて、その土地の気運が変わっていきました。多少はいろいろなものをずらしていかないと、吹きだまりの「気」というのはどこかに反動を呼びます。光があれば影もできるし、影ができれば必ず光もつぶれるわけです。その影の部分を少しずつずらして循環させていかなければなりません。

東京はどんどん上へ上へ高層化してしまって、影だけが強くなっていってしまっています。どうしても「土の気」が遠くに離れれば離れるほど、人の気は浮ついてしまいます。地面は自分の地盤ですから、あまり離れないほうがいいとも思います。

東京はビルが乱立して、龍が切れてしまっています。そのため、東京は暮らしにくくなっていると思います。また、東京に固執するということで日本全体にアンバランスが生じてきているのかなと思います。国の中枢が東京にある必要性は特にないと思います。風水をベースに都市のプランを少し考えていただくと、すごく面白いまちづくりができるのではないかと思います。

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どうすれば一番いい状態で人が暮らせるのかの模索を

生きている山がある限り、土地があって、文明があって、人がいて生活がある。そこに生活をつかさどる中枢があれば風水が成り立ちます。風水は古代人の知恵です。どうすれば自然条件の中で、一番いい状態で人が暮らせるのかというのを模索していったのが風水なのです。

新しい都市を建てるにしても、どんなに立派な施設、建物があっても、ポイントを間違えてしまうとそれらは生きなくなります。生きていないものが国家の中枢になるということ、建物があっても人がついてこないのはとても悲しいことです。

風水では「土の気」という言い方をします。土というのは大地ですから土台になります。土台を動かすぐらいの大きなことというのは、土地を動かさない限り成り立たない。そこで、昔の王様たちは土地を動かしていたのです。首都機能を移すということは国民の税金を使うことですから、そのことによって、必ずしもいいご時世とは言えない今の日本の状況を打開する一つのきっかけになったらいいと思います。

昔も、行き詰まったら遷都をしていました。日本は、行き詰まっていないと私は信じたいですけれども、やはり現状をみれば、景気がいいかといえば不景気です。その打開に土地を動かすというのは、気を動かす、地盤を動かすことになります。土地というのは自分の地盤ですから、その地盤を動かすというのは、もちろんいい悪いはいろいろな方のご意見はあるでしょうけれども、私としてはすごく面白いことだと思っております。

新しい都市をつくるのであれば、せっかくなら大地から吹き上がる「気」を利用して、建物の形状や中枢を考える。大きな物の配置のバランスがよければ、「気」は循環します。だから、すべての建物に風水を使って古典的にする必要は全くありません。そういったバランス、配置をうまくすることです。すてきな建物を建てても、生きていない建物はだめです。そこに命を吹き込んであげるには、それが機能する場所に置くことです。

世界的な建造物も、どうしてそうなったのかは必ず風水的な意味があります。私が今のところ調べている建物、文明、文化では風水の理論にあてはまらない場所はありません。

現代でもご存じのとおり、台湾、香港は風水が盛んですし、欧米でも興味を持つ人は少なくありません。もちろん韓国、中国でも使われています。

最近、ソウルからテジョンに首都機能の一部が移転したようですが、かつてソウルに都を建てるときに、いくつかの候補地が挙がっていて、テジョンもそのうちの一つになっていました。ソウルの選定では風水が使われました。今、例えばいろいろな建造物のせいでソウルの龍脈というのはつぶされています。そういったことを考えると、まだ生きているほうに、多少の機能を移しておけば、総合効果というのが期待できるわけですね。今回の移転についても、風水を全く考えていないということは、韓国ではないと思います。ソウルの大祭ですとか、そういった時アドバイスをしてくれというお話を私もいただくので、やはり中枢の方は気になさっているんだなと思います。

風水が盛んなところでも、正当に使っているかというと、そこは微妙だと思われる土地もあります。ビル一つにしても、自分だけがよければいいという建て方をしているところは、その企業は伸びるかもしれませんが周りはどうでしょうか。そのために貧富の差が物すごく生じてしまいます。だから、バランスが必要なのです。

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国民の希望を具現化するような都市づくりを

これからを風水で考えてみましょう。人が大地に根づくことを考えられなくなると、上へ上へと行ってしまうとお話ししました。土地がないから高層になっていくのでしょうけれども、大地に根づかないというのは足元がないということです。日本というこの狭い島国で、地盤がないということはどれだけ危ういことでしょうか。だから、日本という国家を機能させたい、よくしたいと思うなら土地に根づくことでしょう。

高層階も悪いことではありません。ただ、そこに必ず、極端に足りなくなった「土の気」、土に関するものをどんどん入れ込まないといけないでしょう。観葉植物一つない空間だったらどうなってしまうのでしょうか。

また、緑だけが豊かならいいのではなく、自然の流れに沿った環境で生きていくことが考えられないと、人間自身のバランスが狂っていくと思います。

つまり、風水とは自然環境を考えることなのです。新しい都市の建設に当たっては、風水という「自然環境学」を使っていただくと、大変おもしろいと思います。

ところで、自分の気持ちというのもすごく大切です。また、一つだけに集中していたら見えるものは限られてきます。視野を広くして一つのものに固執する心をなくしていくことも、自然の力を吸収するにはとても大切です。それで、皆さんがたぶん今よりもっと幸せになっていくのではないかと思います。心をかたくするというのは本当によくないことです。首都の姿を考える場合も、固定観念で、首都だから「こうでなければいけない」とか、「ねばならない」というのでは、土地の気というものはとまってしまいます。

風水も解釈を間違えると、知りたくない、怖いといったものになってしまいます。ここに何を置かなくてはいけない、ここに何があったらもうだめだとか、そう思ってしまう。「だったらこうしましょう」というのが風水の教えであって、よほどのことでないと「だからだめなのだ」ということにはなりません。そこを理解していただければ、もっと知りたいと思う人も出てくるかもしれません。

風水が5000年も生き残った背景には、その土地の風土を吸収し、その時代の風土を必ず吸収する、そういうふうに時代とともに、土地とともに進化していく柔軟性があったからです。こうしなかったら悪くなるのではないかと考えるのでは、「気」の吸収が違うということです。新しい都市を建設する際には、今よりよくなることを考えて、国民の皆さんの「こうなりたい」、「こうなったらいい」という意見を集めて、具現化することが大切でしょう。そうすれば、日本はもっとよくなっていく気がします。

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