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2011/08/19

稲塚監督と大隈記者にお会いしました

8月16日午後、『二重被爆〜語り部山口彊の遺言』のロンドン上映会の前に、日本からはるばる来られた監督の稲塚秀孝さん、及び、朝日新聞長崎支局の大隈崇さんにお会いし、"QI"に関する私の抗議の経緯について、このブログでもご報告した事などをあらためてお話ししました。お二人とも大変誠実はお人柄のようで、熱心さに感銘を受けました。

大隈さんはもともと"QI"の問題がマスコミで話題になったすぐ後にご連絡をいただいて、取材申し込みがあったのですが、東北大震災が起き、それどころではなくなったため、これまで延期されていました。でも、当初の熱意を失わず、今回の上映会を機会に来英されました。日々のニュースに押し流されるであろう新聞の現場で、過去のテーマを忘れずに追い続ける姿勢に感心しました。日本の新聞記事の紙幅は大変短いので、如何にしてその中に言いたい事を含めるか、書きたいことは多いが、大変苦労されるそうです。

稲塚監督については、今回直接お会いするまで、ご自身について何も知らなかったのですが、かってテレビマン・ユニオンに所属されていて、テレビの世界で長い経歴を持っておられます。職業人として、私のような者には想像を絶する大変苦しい経験もしてこられことを、日本放送作家協会のサイトにあったインタビューの記録で知りました。山口さんのドキュメンタリー制作と上映に関する彼の粘り強さも、こうした試練を乗り越えてきた人だからでしょう。主義主張と行動が一致した立派な方とお見受けしました。私はかって大学教員をしていたのですが、研究者には、私自身の自戒も含め、研究内容や言われる事はリベラルでも、学内や学会では自分の研究業績にプラスになることしかしない方は結構おられます。あれで、世の中では著名な学者で通るのか、と思う方もあります(でも、大学者ほど外の仕事で忙しく、また論文等が優れていれば評価されるのは当然ですが)。稲塚監督は、人を大変大事にされる方のようで、そういう華々しいインテリの対極にいるような方とお見受けしました。

稲塚監督は、現在、福島の原発事故周辺の被災者の取材を続けておられます。きっと貴重なドキュメンタリーとして完成されることと思います。それに加えて、"QI"でのあのような山口さんの取り上げ方がどうして起こったのか、追跡しようと思っておられるようです。私は、彼の貴重な時間や、特に独立プロとしての限られた財源を、これ以上あの番組の追跡に割く価値があるのか、疑問に思って、先日監督にもメールでそうお伝えしました。番組の制作者や出演者にとっては、あのエピソードの制作も、我々の苦情の処理も、非常に些細な出来事でしかなかったでしょう。但、BBCとしては、イギリス贔屓な日本人のおかげで、オースティン等の文芸ドラマや"Panorama"のようなドキュメンタリーなどたくさんの番組を輸出し、高額の収入を得ている以上、日本人がBBCへ持つ敬意や好印象を害してはいけないという打算もあって、謝罪したのかと思います。

但、そういう日本人のイギリス文化への偏愛も含め、イギリスという核保有国の広島・長崎への関心/無関心、原爆や原発へのイギリスの国民感情、そして軍事や戦争に関する日本人とは大きく異なる意識は、今後日本の(イギリスは紳士の国!なんて思っている)視聴者にも知らされる必要があると思います。

いずれにせよ、稲塚監督は、山口彊さんの遺言である、海外へのメッセージの広まりを目ざしておられるようですから、"QI"の問題が、彼の今後のお仕事のモーティベーションとなったことは、この事件における不幸中の幸いであったと思いました。今後も彼のなさるお仕事を注目していきたいと思っています。


(8月20日追記)
『二重被爆〜語り部山口彊の遺言』に関連したお知らせ等について書くのも多分これで当分終わりだ。"QI"について報告した時には、もの凄いアクセス数、多数のコメント、コメント以外にもメールなども何通ももらい、びっくりした。私は今回の映画上映について"QI"の時以上に関心を持って考えたり、書いたりした。特に福島原発の大事故が続く中、しかも広島、長崎の原爆投下日、そして敗戦の日と前後した時期に日英で上映会が開かれたのであるから、尚更だった。但、ブログのアクセスは、最近はむしろ減り気味で、コメントもほとんど無く、あまり関心を集めなかったようだ。やはり、広島・長崎の原爆の記憶は薄れているようだ。しかし、私個人にとっては、"QI"のこと、そして福島原発の大事故、更に『二重被爆』2作品のロンドンの上映会を通じ、広島・長崎が、平和を求め続けた戦後日本の原点、日本人のアイデンティティーの欠かすことの出来ない一部だと再認識させられ、私の人生において大変大きな意味を持った半年であった。

2011/08/04

「二重被爆〜語り部・山口彊の遺言」上映会、英語でのお知らせ/セラフィールドの核燃料再処理施設閉鎖

29日のポストの末尾にも書いてありますが、ジャパン・ソサエティーのサイトでは、標記のロンドンでの上映会(8月16日17:30〜)について、英語のお知らせ、及び、予約フォームがあります。また、SOASのサイトでも英語でのお知らせが出ております。

稲塚監督の8月10日のブログによると、その時点での予約者は、65名とのこと(会場の定員は140名です)。イギリス人の方々にも見ていただきたいですね。英語字幕付きです。

折しも、カンブリアにあるセラフィールドにある核燃料再処理施設の閉鎖のニュースがBBCで報道されていました。これは日本の地震によって起こった原発問題の直接の影響です。すでに記事を翻訳なさった方がおられます。

Wikipedia英語版によると、カンブリア州西部の最大の雇用主は、ひとつはこのセラフィールドの原子燃料工場、もうひとつはBAE Systemsだそうです。後者は、イギリス最大の製造業の会社にして、最大の軍事産業専門会社です。この地域は、これらの会社に生殺与奪の権を握られていると言って良いでしょう。今回のBBCの論調も、従業員が何人解雇されるか、というのが主な問題意識のように感じます。セラフィールドの工場については、過去の大きな事故を始め、色々な問題があるようですが、この施設を存続させてきたのは、日本の原子力産業です。お客さんは日本だけなのですから。

2011/07/29

「二重被爆」、「二重被爆~語り部・山口彊の遺言」、ロンドン上映会案内

先日のブログで、「二重被爆~語り部・山口彊の遺言」のロンドンでの上映会が催される予定であると書きましたが、詳しい日時場所について、稲塚秀孝監督より、以下のご案内をいただきました。

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「二重被爆」「二重被爆~語り部・山口彊の遺言」
ロンドン上映会の案内


 
今年1月BBCの番組「QI」において、「世界一運が悪い男」と呼ばれた故・山口彊さん。「二重被爆」の実態を描いた2本のDVDをBBCに送り放送して欲しい、と伝えましたが、いまだ実現はしておりません。しかしながら、山口さんの被爆体験と反核の思いをぜひとも伝えようと、下記のようにロンドンでの上映会を開くことが決まりましたので、お知らせいたします。

実施日時:2011816日(火)
       1700  開場
       1730~ 田上富久 長崎市長 挨拶(DVD
            「二重被爆」(2006年・59分)上映
       1845~ 休憩(15分)、稲塚秀孝 監督挨拶
       1910~ 「二重被爆~語り部・山口彊の遺言」
                    (2011年・70分)上映
       2020~ 稲塚秀孝 監督・プロデューサーへのQ&A
       2055  終了

実施場所:The Khalili Lecture Theatre (Lower Ground Floor)
                 ロンドン大学、アジア・アフリカ学院
           ジャパン・リサーチ・センター内 (Japan Research Centre)
                          (140席)
住所:School of Oriental and African Studies (SOAS), University of London 
   Thornhaugh Street, Russell Square, London WC1H OXG
                (Mapはこちら)

主催:「二重被爆」をロンドンで見る会
後援:長崎市
協力:ジャパン・ソサエティ、ロンドン大学アジア・アフリカ学院
                            (SOAS)
問い合わせ先:タキシーズ 稲塚秀孝
         inazuka@nw-media.net 


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以上が監督からのお知らせです。なお、Japan Societyのページにも案内がありましたが、予約をするようになっております。大きな会場ですが、念の為こちらのページの末尾にある連絡先、または予約フォームにより、予約をお勧めします。


(8月10日追記)SOASのサイトでも英語のお知らせが出ました。
 

2011/02/18

「二重被爆〜語り部・山口彊の遺言」(稲塚秀孝監督、2011)、イギリスの10都市・地域に送られる

BBCの"QI"の事以来ご連絡をいただいている稲塚秀孝監督からメールをいただいた。既に彼のブログで書かれていることだが、広島平和文化センターの仲介で、世界平和市長会議に参加しているイギリスの10都市・地域に「二重被爆〜語り部・山口彊の遺言」の英語字幕付きDVDが送付されたそうだ。どういう形で使われるかわからないが、上映会などが実現する事を祈りたい。

それらの10都市・地域は次のような場所だそうだ:
マンチェスター
リーズ
グラスゴー
エジンバラ
ダンディー
ロンドン
コベントリ—
シェトランド
ロザラム
ウエスト・ロージアン

本題からは離れるけれど、イギリスのことをちょっとでもご存じの方は直ぐに気づかれると思うが、ロンドンとコベントリー(ミッドランド〔中部〕)を除く8都市や行政区域は、北イングランドかスコットランドである。シェトランドとウエスト・ロージアンは都市ではなく行政区(県のようなもの)だが、スコットランドにある。グラスゴー、エジンバラ、ダンディーはスコットランドの主要な都市。マンチェスターとリーズは北イングランドの大都市である。ロザラム(Rotherham)はシェフィールド郊外の、北イングランドの町である。

コベントリーは第2次大戦中、ドイツ軍の悪名高い大爆撃を受けた都市であり、町全体が焼野と化した。市民が特に平和を望んでいるとしてもうなずける。そのコベントリーとリベラルなロンドン以外はみな北の都市というのは興味深い。ブリテン島は、概して北に行くほど労働党や自由民主党(Liberal Democrats)の支持が厚く、リベラルであり、南部ほど、保守党支持が強いが、それと重なっているのは偶然ではないかも知れない。アメリカ合衆国での各地域や大都市の政治的雰囲気の違いは如実に感じるが、イギリスでもかなり大きい。


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2011/02/09

『二重被爆』(2006年)と『二重被爆ー語り部 山口彊の遺言』(2011年7月以降公開)

『二重被爆』(2006年公開、青木亮監督)と『二重被爆ー語り部 山口彊の遺言』(稲塚秀孝監督、2011年7月以降公開予定)

BBCのQIの問題を通じて、山口彊さんのドキュメンタリーを撮られた稲塚秀孝監督とメールのやり取りをした。その稲塚監督のご厚意により、標題の2本の映画DVDをお送りいただいた。特に後者は公開前の作品であり、恐縮至極である。

この2作品は、どちらも稲塚監督の会社、タキシーズが制作した。前者は既に公開されたので、見た方もいらっしゃるかもしれない。DVDはタキシーズから直接購入できる。ページ左下の「DVD販売」をクリックして下さい。後者のドキュメンタリーは今年7月より日本で公開予定であるとのこと。現在、上映希望を受付中とのことであるので、関心のある方は、このページをご覧下さい

このブログの読者には、ニューヨークにお住まいの方はいないとは思うが、ニューヨーク平和映画祭の招待作品として、3月に上映されるそうである。詳しくは「週間NY生活ニュース」というサイトをご覧下さい。

ふたつの映画共に、山口彊さんの語り部としての証言と活動を中心に撮られているが、2006年の映画では、その他の二重被爆者の方々も含め、被爆の証言を生に伝える事が中心となっている。2011年の最新作では、前の映画の撮影以降の、山口さんの語り部としての活動、彼を尋ねてきた人々との交流、更に死の床についても被爆の経験を伝えようとする山口さんの強い意志などに力点が置かれ、まさに被爆の語り部、山口彊さんの生き様を追った映画である。

どちらも被爆者の生の声をじっくり聞ける作品であるから、大変大きな感銘を与えてくれるが、特に山口さんの、原爆と戦争の恐ろしさを伝えたいという強い執念に大きな感銘を受けた。一応は数として知ってはいても、ひとつの爆弾で一瞬にして約14万人、そして約7万人の死者を出したという事実の重さを実感させられた。1人の命でも、家族にとっては、自分の命と同じくらい重い。いや親御さんにとっては、自分自身の命よりも重いだろう。広島の14万人以上、長崎の7万人以上という膨大な死者の数字の背後にある数え切れない家族の悲しみ、本人の無念を思う。

私が特に胸を打たれたのは、ドキュメンタリーに登場したアメリカ人の人達。被爆地を訪れて山口さんの話に聞き入った高校生達、彼の通訳を務めた方、死の近づいた彼にわざわざ会いにやって来たジェームズ・キャメロン監督・・・原爆投下を正当化する人が大多数としても、原爆を落とした国の国民だからこそ、その事を深く反省し、日本人以上に山口さんの話に心から耳を傾ける心の広さを持っている人も多いのだろうか。

『二重被爆ー語り部 山口彊の遺言』は7月以降公開されるそうなので、多くの方が見て下さることを祈ります。

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2011/01/28

QIの件を振り返って:稲塚秀孝監督へのメール

記録映画『二重被爆 語り部山口彊の遺言』を撮られた稲塚秀孝監督が私に連絡を取りたいとブログに書かれておられると、友人から連絡がありました。BBCのQIの問題が大きくなってから思ったことも含め、稲塚監督へのメールに書きましたので、これまでのブログの内容と重複することが多いですが、その全文を以下に引用させていただきます。末尾にありますように、監督にもお断りしております。

稲塚監督が撮られた映画の公式ブログは、このページです。QIの件以降、稲塚監督がどのように考え、行動されているのかも記されています。BBCに対し、山口さんのドキュメンタリー映画を放送するよう働きかけをされるそうです。

(以下は稲塚監督へお送りしたメール)

稲塚様、

ブログを読ませていただき、ご連絡を差し上げております。

稲塚さまが連絡されたいと思ってブログで書いておられる50代の男性は、もしかしたら私のことかもしれません。私のブログはご覧下さったでしょうか:
http://playsandbooks.blogspot.com/

右のコラムのカテゴリーに、QIの問題について、というものがありますので、そこをクリックして下されば、この件の投稿をまとめてあります。

私自身は、一部の報道や反応に見られるように、この番組の制作者や司会者が山口さんを「侮辱」したとは思っておりません。しかし、この番組が、結果的にそういう気持ちを被爆者の方々やご家族に与えてしまったのではないかとは思います。悪意の無い番組であり、取り上げ方であったし、日本人でも英国通や英国のコメディーのお好きな方、英語でユーモアを詳細に解する方々の間では、この程度は笑って済ませるべき事、あるいは日本での過剰な反応は番組の誤解に基づいている、というご意見があるようです。

しかし、私自身は、原爆の恐ろしさ、その悲惨な体験を考えると、そもそもこのような「コメディー番組」で取り上げるべき事柄ではない、という意図でBBCに抗議を致しました。

お恥ずかしい事に私は山口さんについてそれまで知らなかったし、原爆の被害等についても詳しいわけではありませんので、こういう事で抗議する資格があるのか、当初の12月18日頃、しばし考えました。しかし、日本では放映されないこの番組をイギリスで見て、英語で大体を理解出来、そして、日本人であるなしにかかわらず、その非礼を感じる事のできる人が何人いるか考えた時に、私があの時点でそのままにしてしまったら、誰も気づかないままに終わるかも知れないと感じました。

自分のメールだけでは、制作者側はちゃんと考えてくれないだろうと思い、ブログとメールで友人に呼びかけ、またメールで、大使館や3つの新聞社、日本被団協にもお知らせしました。広く呼びかけたら、という事は、友人の励ましもきっかけになりました。そうした経緯は私のブログに書いております。

その後、共同通信社が大使館が抗議したことを配信し、一気にマスコミに取り上げられたことはご存じの通りです。

大変悲しい事に、その後、日本では、一方的なBBC、そしてイギリス叩きがネットを中心にあり、差別的な言辞が多く使われているようです。一般に、こうした差別意識は日本のほうがイギリスよりも遙かにひどく、日本人はこの点ではイギリスを始めとする欧米諸国から学ぶことは沢山あると思います。

私は18歳で大学の英米文学科に入学して以来40年弱の間、イギリスの文学や英語を勉強してきました。イギリスにはひとかたならぬ愛着があり、イギリス国民の良いところも常日頃から感じております。また、BBCはイギリスではニュースやドラマなどを中心に毎日視聴し、その多岐にわたる偏見の少ない報道姿勢、丹念な番組制作には感心しています。だからこそ、今回のような件で、注文をつける価値があると思いましたし、BBCには柔軟に視聴者の意見を拾い上げるシステムがあるだろうと予想しておりました。これが民放やケーブル局であれば、そうはしなかったでしょう。

さて、25日朝日新聞夕刊(東京版)でBBCがマーク・トンプソン会長名で謝罪の書簡を大使館に送った旨の報道がありました。Asahi.comでも掲載されていました:

http://www.asahi.com/international/update/0125/TKY201101250107.html

ではとりとめのない乱文で失礼致しました。稲塚様のご健勝をお祈り致します。

XX大学大学院生
XXXX

追伸 
多分もう一回、この件についてブログで報告しようと思っております。上記の私のメールが私の現在の思いを示しているので、ブログで使わせていただくかも知れませんが、ご容赦下さい。
(メール終わり)

2011/01/22

QIの件について:再度、お礼とお断り

(BBCからQIでの山口さんの扱いについて正式の謝罪が出されましたので、私達の抗議の当面の目的は達成されたと思います。従って、これ以上抗議送付のお願いはいたしません。しかし、前後の経緯について調べてみたいと思われる方がおられるかも知れませんので、これらのページは、当面、このままにしておきます。)

BBCで放送されたコメディー・ショーQIが二重被爆者を無神経に扱った件で、私の呼びかけにご賛同下さり、苦情を送って下さった方、ありがとうございます。今回、メディアでこの件が報じられて以来、私のささやかなブログにもたくさんの方のアクセスがあるようで、コメントやメールをかなりいただきました。コメントが時々、Bloggerの自動スパム検出機能にひっかかり、直ぐに公開されないことがありますが、気づき次第(特に問題や悪意のないものは)、公開しますので、直ぐに反映されない時には、半日か1日後にご確認下さい。

QIは大変人気のあるコメディー番組です。この番組で被爆者を無神経に扱ったことについて、最初に気づいてBBCに苦情を送ったり、大使館に知らせたりしたのが、私とは限らず、他の視聴者の方である可能性も高いです。ニュース記事に書かれている、「在留邦人」に私が含まれるにしても、私はその1人に過ぎません。また、この件で、私は、このブログの読者を含む、知人、友人にご協力をいただき、ブログやTwitter、facebook、Mixi等で知らせていただきました。特に、ブラッドフォードのTakaoさん、ロンドンの守屋さん、saebouさん、リーズのYSさん、東京のおはるさんには速やかに、かつ熱心にご協力いただき、お礼を申し上げます。

2011/01/19

"QI"の件についてBBCから返答がありました

(BBCからQIでの山口さんの扱いについて正式の謝罪が出されましたので、私達の抗議の当面の目的は達成されたと思います。従って、これ以上抗議送付のお願いはいたしません。しかし、前後の経緯について調べてみたいと思われる方がおられるかも知れませんので、これらのページは、当面、このままにしておきます。)

BBCのコメディー・ショー、"QI"において、広島と長崎で二重に被爆された山口彊(つとむ)さんを取り上げ、無神経に扱った件で、私の、あるいはその他の方の呼びかけに応じて、BBCへ抗議のメール等をお送りいただいた皆様、どうもありがとうございました。

抗議のメールを送られた皆さんのところにも返事があったものと思いますが、私にも本日1月18日、BBCの番組プロデューサーPiers Fletcher氏の名前で返答がありました。その概要は、基本的には山口さんのケースを偏見無く、配慮を持って扱ったつもりである、ヨーロッパ人やアメリカ人の、第二次大戦時の類似の経験についても、この番組で良く扱っている、原爆投下以後の日本人のたくましさにも肯定的に触れている、と番組の弁護をしています。しかし、その一方で、日本人にとっての被爆の問題の重大さを過小評価したことも認める、との反省の弁も含まれており、今後、番組制作において、このことを考慮に入れるそうです。我々が望むように反省しているかというと疑問ですが、第二次大戦の戦勝国であり、また核兵器を重要な国防手段と考えている国の放送局としては、これが精一杯でしょうね。このメールは組織としての返答であり、多くの方に同じ文章が送られたようなので公開しても差し支えないと思いますから、以下に本文を全文引用します:

Thanks for contacting us. Below is a response to your concerns from the producer of ‘QI’.

‘Thank you for taking the trouble to write to us about the recent edition of QI which dealt with the remarkable story of Tsutomu Yamaguchi, to which I am responding in my capacity as Producer of the programme.

I should say from the outset that we greatly regret it when we cause offence, and that it is never our intention to do so. QI is not a programme which habitually mocks its subject-matter; on the contrary, we try to recognise and celebrate less well-known people, events and ideas. On this occasion we pointed out the very striking nature of Mr Yamaguchi’s experience by relating, without distortion, a story which had been covered extensively in the Japanese media and about which Mr Yamaguchi himself spoke quite openly. We then went on to sincerely admire the resilience of the Japanese in the circumstances of the time (in the context of how the trains continued to run in the aftermath of the bombing).

It has been suggested to us that we would not have run an item of this kind about the European or American experience of the Second World War. For the record, I would point out that we do in fact run such pieces quite regularly.

However: having said all this, it is apparent to me that I underestimated the potential sensitivity of this issue to Japanese viewers. It isn’t hard to see that they might well regard this topic as altogether unsuitable for inclusion in a light-hearted television programme however sensitively it was handled. I thank you for making us aware of the issue, and for the courteous terms in which you did so; please rest assured that I do recognise your concerns and will certainly take them into account in future.

Yours sincerely

Piers Fletcher
Producer, QI’

Thanks again for taking the time to contact us.

Kind Regards

BBC Audience Services

この返答は、想定範囲内の、やや不満足なものではありましたが、しかしBBCが視聴者、それも視聴料金を払っていないであろう外国人の苦情にも丁寧に答える姿勢は評価できると思います(私は視聴料は払っています)。NHKや日本の民放はこうしたことまでやるでしょうか。

さて、この件で、私は、朝日新聞、中国新聞、長崎新聞にも取り上げて欲しくて、各社のインターネット・サイトにあった窓口からメールを送って、情報提供をしました。返答があったのは、中国新聞のみで、担当部署にメールを転送しましたとのこと。これらの新聞やインターネットサイトで取り上げたかどうかわかりませんがその後のコンタクトもありませんので、多分取り上げていないのだろうと思っております。

更に、イギリスの公共放送における日本の被爆者の扱いですから、私は在英日本大使館にも、知っていただきたいと思い、12月21日にメールを出しておきましたが、大使館からは、クリスマス前の慌ただしい時期にもかかわらず、24日には返事があり、抗議する方向で手続きを行っているとの事でした。その後、年末年始のお休みの時期でもあり、お役所のことであるからあまり期待を抱かないほうが・・・と思っておりましたが、先日11日に大使館からお知らせをいただき、抗議の手紙を送付したとのことです。大使館からの正式の抗議は、即ち日本国外務省の抗議ですから、BBCも真面目に取り上げざるを得ないでしょう。今回、我々に丁寧な返答があったのも、大使館の抗議にも押されてだったのかも知れません。不親切と言われることもある在外公館ですし、私も他の国に行った時にそういう印象を持ったこともあります。しかし、在英日本大使館に関しては、私は海外選挙人登録でお世話になり、また今回の事もありましたが、いずれも丁寧な対応をして下さり、ありがたく思います。BBCは苦情には答えるというのを公の方針としてウェッブサイトに書いているので、返事があるとは思っておりましたが、大使館が一学生の意見を取り上げてくれるとは思っていなかったので、この反応には驚いたというのが正直な感想です。

最後に私がBBC送った抗議文をそのままコピーしておきます:


I, a Japanese citizen, and many of my compatriots are deeply hurt and offended by the fact that a respectable public and supposedly unbiased organization like BBC made fun of a late atomic bomb victim, Mr Tsutomu Yamaguchi, who suffered not only in Hiroshima but also Nagasaki. The fact that you took up such a topic in a "comedy" show is extremely offensive for us, but to laugh at the extreme misfortune of him being in both Hiroshima and Nagasaki is a sign of unimaginable insensitivity. I who have spent most of my 57 year life studying English literature and language, am deeply disappointed and hurt by your callousness. I suppose not many Japanese people have seen this programme, but if they had, they would have felt the same as I do. What do the British feel if we make fun of a soldier who severely injured and handicapped, first in Iraq then later in Afghanistan? Or would you have featured a unlucky victim of the Coventry blitz, or even the notorious Dresden bombing? The insensitivity of this programme really shocked me.

(英語にケアレスミスがありますが、送った文のままにしてあります。)

(23日追記)まだ書いてなかったことを付け加えます。上記の新聞社3社にメールした12月24日頃に、日本被団協にもホームページの窓口を通じて、同様のメールをしました(ホームページに直接書き込んだので、原文は残っていませんが)。返事はありませんでした。


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2010/12/24

抗議のメール送信のお礼、及び再度のお願い

(BBCからQIでの山口さんの扱いについて正式の謝罪が出されましたので、私達の抗議の当面の目的は達成されたと思います。従って、これ以上抗議送付のお願いはいたしません。しかし、前後の経緯について調べてみたいと思われる方がおられるかも知れませんので、これらのページは、当面、このままにしておきます。)

前回、前々回のポストで、BBCの番組"QI"において、広島と長崎で2度の被爆をされた山口彊(つとむ)さんを冗談の種にした非礼と無理解について書きました。私の呼びかけに賛同され、抗議のメール等をBBCへお送り下さった方、ご協力ありがとうございました。こういう事は、多くの方がメール送ることで反応が違ってくると思いますので、まだの方で賛同される方は是非お願い致します。なお、前々回のビデオのついたポストを加筆修正し、ビデオの内容について簡単な説明をつけておきました。

また、英語が苦手でメールを送ることが出来ないと言う方がおられるかも知れないので、以下に簡単に要領をご説明します。

苦情の宛先はこちらです。手順をお知らせします。
1 真ん中より左のコラムの大きな青い字"Make a Complaint"の下の、"Email: send your complaint"をクリックすると新しい画面が開きます。
2 プルダウン・メニューの一番下の"Make a complaint" を選びます。
3 Nextをクリックすると新しいプルダウン・メニューが開きます。
4 以降、プルダウン・メニューで、順番にカテゴリー、視聴した場所、チャンネル等を選ぶ様になっています。Television--Outside UK--BBC Twoと選んでいき、Programme Title(番組名)は"QI"、そして放送されたのは2010年12月18日、イギリス式の順番では日本と逆の、18/12/2010です。苦情の種類はOffenseで良いと思います。Summary(要旨)は空欄でも構いません。苦情の本文は、もし英語の大変苦手な方は、例として次のような文を、ある程度単語を変えて書いていただけると幸いです:

As a Japanese citizen, I am deeply offended by this progamme, which used the extreme misfortune of the victim of the two atomic bombs, Mr Tsutomu Yamaguchi,  as a source of joke.

上記の意味は、「私は、原爆被害者の山口つとむさんの大変な不幸を冗談の種にしたこの番組に、日本人として、大変傷つけられました。」

以上、よろしくお願い致します。このことは、詰まるところ、イギリス人やBBCの問題である以上に、私達個々の日本人が、原爆という大量破壊兵器をどう考えるかということだと思います。

(追記)ブログをお休み中のはずが、この件で3回書くことになりました。しかし、一市民としての意見を、こうして色々な人に考えていただく場所があったことは良かったと思います。昨日劇を見に行ったりしておりますので、また改めて観劇の感想などでブログを再開したいと思います。

2010/12/21

QIにおける被爆者の心ない扱いについて(お願いも兼ねて)

(BBCからQIでの山口さんの扱いについて正式の謝罪が出されましたので、私達の抗議の当面の目的は達成されたと思います。従って、これ以上抗議送付のお願いはいたしません。しかし、前後の経緯について調べてみたいと思われる方がおられるかも知れませんので、これらのページは、当面、このままにしておきます。)

昨日のポストの続きですが、人気コメディー番組QIで被爆者を無神経に扱った件について、私はBBCに苦情を送りました。しかし私一人の声ではどうにもなりません。今後の為にも、同様に思われた方がおられたら、BBCに苦情を送りましょう。簡単な英語でも、間違いがあっても、充分です。要は日本人としてこのような被爆者の扱いに非常に傷ついた、ということを一人でも多くの日本人が伝える事だと思います。苦情を送るのはこのページからです。残念ながら、コメントを送る前の手順が、英語を読めないと分からないのですが、コメント本文は簡単でも良いと思います。英語を書くことがほとんどない方は、1,2行でも結構でしょう。"As a Japanese citizen, I am very offended by this programme."というような一言でも、たくさんの人が送れば、担当者が反省するきっかけになると思います。英語を日常使われない方の為に、次のポストで、より詳しい苦情の送り方についても書きました。

BBCでは苦情には返事をくれることになっているので、誰からも読まれないで放って置かれることは無いものと思います。担当者が、そういう見方もあるのか、と考える機会になってほしいと思っています。なお、私はこの他にこのような番組があって、私としては大変問題だと思ったことを、在英日本大使館、朝日新聞、日本被団協に伝えました。

また、私は現在Twitterをやっていないのですが、もしアカウントをお持ちの方で、私と同様に感じられた方は、TwitterでこのビデオのURLを流していただければありがたく存じます。少なくとも、文化相互理解の問題として、多くの方が考える機会になればと思います。

一般論として、イギリスでは王室を始め、どのようなことでもジョークの種にし、笑い飛ばすのが伝統であり、そうした「お笑い」に目くじらを立てるのは野暮なことと見なされると思います。イギリス人にこのことを話せば、「何でも笑い飛ばすのがイギリスのコメディの文化だ」という返答が帰ってくるかも知れません。しかし、どの国や文化にも、笑いの種に出来ないこと、してはならないことはあります。9/11とか、アウシュビッツ、ドレスデンの大爆撃などについて、イギリスのお笑い番組でネタにするでしょうか?あるいは、日本人が7/7のロンドン・テロの被害者とか、アフガニスタンで重傷を負ったイギリス兵の不運な偶然について、お笑い番組で取り上げ、笑い転げたら、イギリス人はどう思うでしょうか。今回の事は、東洋の、非西洋人、しかも通常何の文句も言わない日本人のことであるから、お笑い番組で取り上げることが出来るのだと思います。NHKのバラエティー番組で被爆者を取り上げて笑いの種にしてはならないでしょう。日本で許されないものは、欧米でもちゃんと抗議しないといけないと思います。まして、世界的に影響力のある公共放送のBBCですから。イギリスではこういう事は認められるかどうかが問題ではなく、詰まるところは日本人がこういう事を看過するかどうか、という私達自身の問題でもあると思えます。

2010/12/20

被爆者をコメディー番組で無神経に扱ったBBC

(BBCからQIでの山口さんの扱いについて正式の謝罪が出されましたので、私達の抗議の当面の目的は達成されたと思います。従って、これ以上抗議送付のお願いはいたしません。しかし、前後の経緯について調べてみたいと思われる方がおられるかも知れませんので、これらのページは、当面、このままにしておきます。)


今ブログは休止中のはずだが、これだけは書いておく。


12月18日夜、BBCの大変人気のあるコメディー番組“QI”を見ていたら,広島と長崎の原爆で二重被爆をした山口彊(つとむ)さん取り上げ、笑いの種にするシーンがあって絶句した。You-Tubeに既に載っている。これを載せたのはBBC自身であるから驚く(BBCがyou-tubeに載せた動画は削除されたので、他の方がアップロードして下さったものに差し替えました):






コメディーなので、言葉の上で、冗談の内容を理解するのが難しいが、面白いとしているのは、山口さんが広島と長崎の両方で原爆に遭うという、途方もない、世界一の不幸者(the unluckiest man in the world)であること。更にそのような二重の不運に遭ったにも関わらず生存でき、93歳まで長生きした、つまり非常に幸運な人(!)かもしれないと言っている。また、広島原爆があった直ぐその後に、長崎まで鉄道で行くことが出来たという当時の日本の鉄道の優秀さを自国の情けない鉄道事情に比較して笑ってもいる。従って、特に悪意のある冗談でも、日本人や被爆者を馬鹿にしているわけでもない。しかし、そもそも原爆という非人道的な大量破壊兵器の犠牲者をこのようなコメディーで取り上げること自体、許し難いことだと思う。まるで他の星で起こった出来事を語っているようだ。


山口さんは今年亡くなられたそうだ。Independent紙が詳しい記事を書いている。


この後に書いたポストもこのトピックに関連していますので、是非ご覧下さい。