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東電の計画停電、今夏・冬も 大規模火力発電所、被害大

2011年3月22日5時40分

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 東京電力は、計画停電(輪番停電)を今夏だけでなく、今冬も続けなければならない、との見通しを明らかにした。東日本大震災の津波で、福島県と茨城県の大規模火力発電所が、現時点で復旧の見通しが立たないほど壊れていることが分かったためだ。

 東電幹部が朝日新聞の取材に明らかにした。夏冬の計画停電で家庭や職場の冷暖房の使用が厳しく制限されるのは必至だ。夏の計画停電は、気温が高い午後2〜3時を中心に実施される見通し。停電規模は、気温の上がり方次第で大きくなる可能性がある。首都圏への電力供給が長期間制限されることで産業界も大打撃を受けそうだ。

 大きな被害がわかった火力発電所は、広野火力発電所(福島県広野町)と、常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)。発電所の設備や、石油や石炭など燃料の貯蔵施設が津波で壊れた。両発電所の合計出力は480万キロワットで、同じく津波で損壊した福島第一原子力発電所(福島県大熊町・双葉町、469.6万キロワット)に匹敵する。

 2800万世帯に電力を送る東電管内のピーク需要は、冷房が必要となる夏場が6000万キロワット前後、暖房需要が高まる冬場が5000万キロワット前後。これに対し東電の現在の供給力は3500万キロワット前後にとどまる。

 東電は、休止している小規模火力発電所を立ち上げるなどして、4月中に4000万キロワット程度まで引き上げる計画だ。さらに、ガス会社などの電力卸供給事業者(IPP)からの電力買い取りなどを進め、夏までに4700万キロワット程度に増やす予定。しかし、それでも夏時点で1000万キロワット(333万世帯分)、冬も数百万キロワット足りなくなる計算だ。

 電力は、水やガスのようにタンクに大規模にためられない。そのため、需要分だけ供給力を用意する必要がある。電力会社は自社の発電所で必要な電力を賄えない場合、ほかの電力会社から電力を融通してもらうが、周波数の違いから、西日本の電力会社から受けられるのは100万キロワットまで。東北電力は周波数が同じだが、被災で電力が不足しており、融通は期待できない。北海道電力からも送電技術の限界から60万キロワットしか受けられない。

 東電幹部は「再稼働した火力も、いずれ定期検査に入るのでずっと発電できない。今夏、今冬だけでなく来夏も綱渡りが続きそう」と話している。

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