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「理想的な淡水水槽」 8.2.1. 底床土=水槽の中の化学工場


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

8.2.1. 底床土=水槽の中の化学工場



自然下と同様に、水槽の中においても底床土は植物の成長に重要な役目を果たし、最も複雑な生物学的事象をコントロールしている。

底床土の最も重要な役割は、植物が必要とする栄養分を「植物に都合のよい」形に再生することにある。次の章(9章)で水について詳しく取り上げるが、その際に水中の酸素が多くの植物の栄養分を酸化させ、その結果不溶性あるいは植物がまったく利用できない形態の化合物が過剰に水中に生み出されるということを、我々はあらためて確認することになる。特に鉄、マンガン、窒素、そして様々なトレーサー元素はそのような化合物に属する。

一方、化学的に調合された底床土では、相反する事象が発生する。つまりこの場合は酸素が少なく、そのために様々な制約が存在する環境であり、栄養分が植物の求める状態で供給され、そして水に溶解した形で植物が吸収できるようにアクアリアナーが調整を行う必要がある。

底床土に溶解している栄養素は、底床土の表層から再び植物の葉へと吸収されていくということも知っておくべきである。

強制的かつ急激な底床土への水の浸透は、底床土に求められる環境を壊す原因となる。必要以上の酸素が底床土に流れ込んでしまうからである。これを解決する理想的な方法は、底床土の下に低ボルトのケーブルヒーター(Dupla Flex)を設置することである。

ケーブルヒーターによる熱交換に従い、水はゆっくりと底床土へ浸み込んでいく。穏やかに浸透する水は、既に底床土の中で始まっている好ましくない化学的現象の進行を緩和するという重要な役目を持つ。この穏やかで絶え間ない水の移動が行われないと、底床土はすぐに汚れて黒化してしまう。

低ボルトケーブルヒーターを使用する以外にも、底床土に水を通す方法としては底面ろ過などがあるが、効果はあまり無いようである。本書で我々が述べるのは、単にコツのような小手先のものではなく、全体のシステムを含めた「理想的な水槽」を作る過程としての水の底床土通過方法である。そうでなければ「化学工場」として水槽内できちんと機能する優れた底床土を作ることは出来ないのである。


土壌の違いが植物の成長に大きく影響するということを、
このCryptocoryne wendtii(クリプトコリネ・ウェンティ)の写真が示している。
NO.9のポットには鉄分を含んだ砂、NO.4には砂と泥のみを入れている。
共に水中で育てられたものである。


   
左:天然の熱帯紅土(Dupla Rit G)。水槽内での水草の育成には
高い鉄分濃度が求められる。

右:我々は、水槽の底砂にはクオーツサンド(石英砂)を勧める。
砂粒の大きさは2~3mm。これにDupla Rit Gを混合させて使用する。




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