テレビ局スタッフもPTSDに…報道映像がトラウマ

2011.03.28


繰り返される衝撃映像。人々は食い入るようにテレビに見入っていた=12日午後3時35分、東京駅【拡大】

 街や車が津波にのみ込まれ、住民の生活の営みが一瞬にして消失した東日本大震災。被災地以外でも繰り返し見た視聴者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)が問題視されている。

 「テレビの映像が過激すぎるという視聴者の声をいただき、映像の編集にはかなり気を遣っています。ニューヨークの9・11テロの際も飛行機がビルに突っ込む場面が繰り返されたため、後に精神科医や心理カウンセラーを訪れる人が増えたと特派員から聞いています。3・11の映像も忘れられない衝撃でした」

 こう明かす民放報道局デスクが、さらに顔を曇らせた。

 「実はテレビ局内でもPTSDが問題視されているんですよ…。取材した映像素材の中には、多数のご遺体など悲惨さを極めた映像もあります。東京で編集するスタッフの間に体調不良を訴える者が出てます」

 東京のキー局には、系列局が撮影した映像、視聴者提供の映像など、おびただしい映像が集まっている。

 「大きなモニターでよく確認すると、津波に流された方が映っている。車の中から助けを求めている人が映っていても、どうすることもできなかった思いにショックを受け、編集業務から外れた女性スタッフもいます」

 こうした中、テレビ各局は新年度を迎えている。「4月からの改編への対応や新番組の制作発表会見などができない、めちゃめちゃな状況」(編成マン)。一昨年の政権交代以降、労働基準局から指導されていた「月間約230時間以内に」という労働時間の制限も事実上吹っ飛んでしまっているという。体調はへとへと、そこにフラッシュバックする悲惨な映像。

 「報道局は臨戦態勢でやっていますから、スタッフの異変への対応も個別にしかできていない。いずれ、ひと段落したら、PTSDへの対策が急務になる」(先の報道デスク)

 撮影する側でさえ、これだけのショックを受けるのだから、被災者の心のケアが何より大切なのは言うまでもない。

 

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