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社会人になって感じたのは「できないこと」の多さでした。
さきほども書きましたが、デザインの本や雑誌には「できたもの」しか掲載されていませ
ん。そういう良いとこ取りした情報と自分が現場でつきつけられる「できないこと」によ
ってアイディアはどんどん小さくしぼんで行きます。

なまなましく言えばどういう製造メーカーとおつきあいしているかそんな事が案外に大き
な要因になっています。メーカーが『これうちじゃできない』と言われてしまうと「でき
るはずのデザイン」があっというまに「できないデザイン」に変貌します。

そういう経験の積み重ねをしているとデザイナーもだんだん最初から「作れないものはデ
ザインしない」という「知恵」を身につけてしまいがちです。

みんなは「詳しくなればなるほど、自分で作れるものが増える」そう思うかもしれません
が「詳しくなればなるほど出来ない事に寛容になる（諦める）」という側面も同時に身に
つけるのです。

それ作れないという指摘が的確なのが「ベテランデザイナー」という事になるのです。