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「理想的な淡水水槽」 6.2.1. 淡水水槽における物理ろ過

デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

6.2.1. 淡水水槽における物理ろ過


淡水水槽のろ過が水草のみによってではなく、専用のフィルター(ろ過装置)によって下記の条件に従い適切に行われている場合には、非常に好ましい結果をもたらすということを知っておくべきだろう。

●フィルターは水中の二酸化炭素(CO2)を欠乏させる原因となってはならない。

●フィルターはインペラードリブン方式のモーターで稼動させなければならない。

●フィルターを稼動させるモーターは、水槽の水量すべてを1時間に少なくとも1回転以上させることができる能力がなくてはならない。

●フィルターに使用するろ材は、その交換が簡単にできるものでなければならない。つまりフィルター自体がメンテナンスなどの利便性を考慮に入れた構造のものでなければならない。

●フィルターを通った水が水槽へと戻る過程で、できるだけ二酸化炭素を失わないような構造でなければならない。

●フィルターを含むろ過システムは、飼育している生物やアクアリアナーにとって安全でなければならない。電気機器の適切な絶縁と、水が機器に触れることのない設計が重要である。


生物ろ過材としても機能させることができる物理ろ材には、スポンジや平板フィルター用ウール、デュプラバイオカスケードなどがある。

我々は多種多様な水槽用ろ過システムについて、それを使用する際の問題を解決する提案をいくつかしたい。これによって、本書の読者が真に理想的な水槽を構築し、楽しむことができるだろう。

まず、ろ過槽の吸水部分にはフィルターを設置することが可能である。ここにドライろ過方式を採用するのであれば、必要となる生物ろ過ろ材=バイオカスケードの量は全水量の5%という最小の体積割合で済むということに注目して欲しい。つまり200ℓの水量を持つ水槽であれば、良好なろ過を施すのに必要となるバイオカスケードの容積はわずか10ℓに過ぎないということだ。設置直後の水槽は非常に不安定な状態のため、3ヶ月ほどの間は水にわずかな濁りが生じることがある。これを防ぐためには、生物ろ過だけに頼るのではなくウールや平板フィルターなどの既に述べた優秀な物理ろ材をろ過の原則に従って直列、あるいは並列で設置すると良い。

バイオカスケードによる生物ろ過能力は専門家も認める驚くべきものだが、バクテリアが十分に繁殖するまでには一定の時間がかかる。ポリプロピレン製のバイオカスケードやその他のろ材にバクテリアが定着し、繁殖することで初めて水槽全体のろ過システムが機能し始める。これらのバクテリアが水槽内の有機物質の分解を促進し、その結果亜硝酸塩は水槽内に蓄積されなくなる。亜硝酸塩はバクテリアによって即座に硝酸塩へと変化し、その毒性も大部分が失われるのだ。

優れた物理フィルターは水槽の水を強力に浄化するが、その浄化能力の高さ故にろ材の交換が避けられない作業としてアクアリアナーに強いられることになる。しかし水槽やフィルターを清潔に保つために、例えば毎日ろ材を取り替えるなどというのはナンセンスである。優れたフィルターであれば、その内部に集まる物質の分解は、非常に速いスピードで進む。この分解スピードはアクアリアナーの想像をはるかに超えているため、以前にはよく使われた「頻繁なろ材の交換」という言葉を今はすっかり忘れることができる。

プレフィルターとしてウールなどを使用している場合には、その交換には特に注意が必要となる。目に見えて水流が緩やかになっていなければ、プレフィルターのろ材交換の時期はまだ先のことだ。プレフィルターは2~3週間という比較的短い時間で、その汚れの程度によって水流が明らかに緩やかになるが、遅くともこの兆候が現れる前にろ材の交換を行っておかなければならない。

ろ過機能にとって致命的なダメージを与える停電という事態にも注意を払っておかなければならない。停電によってポンプに一晩電気が供給されなかった場合、水の流れは0にまで低下し、水槽内のすべての好気性バクテリアは死滅する。フィルター内に構築されたバクテリアによるろ過システムが、この時点ですべて崩壊する。

一方プレフィルター(ウールやスポンジなど)を設置しているドライ方式のフィルターの場合、水流が完全に停止しても48時間まではバクテリアは活動を続けることができる。

ろ過槽内でバクテリアが作ったコロニーを新しく入れたろ材にスムーズに移動させるために、ろ材交換の際に古いろ材をろ過槽内に少し残しておくことを勧める。もちろんバクテリアが住み着くのはろ材だけではない。バクテリアは水草や水槽内の各種ディスプレイ、平らな底砂の表面などでも繁殖活動を行う。そして流水に乗ってろ過槽内へと移動する。



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