新ブランドを広めたり、商品を売ったり、オンラインコミュニティを拡張したりするときに大切なポイントの一つは、カスタマーをどう説得するかということです。ビジネス系ブログ「Sponge」では、社会心理学者のRobert Cialdini博士のベストセラー『Influence: The Psychology of Persuasion』(英著)を元に、マーケティングに必要な説得術を紹介しています。

 

1. 相互依存

「One good turn deserves another.(情けは人のためならず)」。ビジネスシーンでの「情け」とは、カスタマーにささやかなギフトを送ったり、サンプルを分けたり、そのカスタマーが特別扱いされていると感じる待遇をすることです。そうすることで、いい気分になったカスタマーがもっと商品を購入してくれたり、知り合いに広めたりしてくれるかもしれません。


2. 契約を結び、それを継続させる

60年代と古い調査結果ですが、競馬場で既に馬券を買った人と、これから買う人との心理状態を調べたところ、既に決断してお金を払った人の方が、自分の選択に自信を持っていたのだとか。これを適用すると、たとえば期間限定で会費無料のサービスに登録済みのカスタマーは、その後有料になっても会員であり続ける確率が高いというわけです。


3. 流れを作る

人は時勢に従ってしまうものです。あの人もこの人も持っているのなら、きっといいものなのだろうと、つい思ってしまいますよね。広告に力を入れて、カスタマーがその商品を目にする機会を増やせば、実際に商品を手に取ったときに「ああ、これは前から気になってたアレだ」と買ってくれるかもしれません。


4. 内容が気に入るか

うまく説明できないけれど、これいいなあ、気になるなあと思う、これは実は大事な感覚です。私たちは、気に入ったものは手に入れたくなりますよね。これをマーケティング側から見ると、どうやって顧客に気に入ってもらうか? を考えるということです。カスタマイズしたり、顧客を意識的に名前で呼んだり。好きになってもらうために、あの手この手を尽くしてください。


5. つまるところは権威に弱い

有名なミルグラム実験は、現代なら倫理上かなり問題があるものですが、そこで証明されたのは、つまるところ私たちは、力のある人の前では無力であるということです。これをマーケティングで生かすとすると、サプリメントの広告に医師のコメントを載せたり、ある商品に「全米で大人気!」と付け加えたり。そうすることで、カスタマーはつい手を伸ばしてしまうかもしれません。


6. 希少価値

「残りわずか!」と聞くと、「買わなきゃ」という気持ちになりますよね。期間限定で半額セールをしたり、特典をつけたりすれば、飛びついてくるカスタマーは多いことでしょう。


■でも、悪用しないで

人間の心理をついた説得術は、マーケティングの立場からすれば有益ですが、よく考えるとおそろしいものです。あくまでも売る方、買う方の両方で「win-win」となるように使ってください。くれぐれも、顧客の心理につけこんで悪用することのないよう、お願いいたします。

Online communities and the 6 tenets of persuasion [Sponge]

(山内純子)