デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」
9.1.1. 流れのある水
次に、より踏み込んだ大変珍しい調査結果を紹介する。
水草の多くは水の流れがある川や小川で見つけることができる。そしてそれは、全長が10kmもないような非常に短い小川であることがしばしばであり、そうした小川の中に繁茂した植物の群生を見ることができる。
例えばタイにあるクリプトコリネ種が自生する小川では、水源からほんの100メートルの所でBarclaya longiforia(バークレア・ロンギフォリア)、Crinum thaianum(クリヌム・タイアナム)、Ceratopfyllum(マツモの仲間)などが群をなして成長している。時には小川の一部分すべてを1種類の植物が覆いつくし、他の時期には同じ部分に別の種類の水草が繁茂することもある。その際には、水草があまりにも密に繁茂し過ぎて、小川がまるで陸地のようになることもしばしばである。タイのある小川の下流ではCryptocoryne ciliata(クリプトコリネ・シリアータ)が多く存在し、さらに下流ではマングローブの一群が見られ、そこが海に近いことを示していた。
この小川の水流はどのような場合でも相当パワフルである。流速は平均で3.5m/秒あり、場所によってはそれ以上の流速を記録した。
しかし水槽内で植物を育成する人にとっては、この調査報告を知るだけでは十分ではないだろう。特に大きく長い葉を持つ水草、例えばクリプトコリネ、エキノドルス、ヴァリスネリアなどの仲間は、ある一定以上の水の流れを好む。理想的な水槽を目指し適切な水草の世話を行うためには、常に新しい水と栄養素が共に水草の葉に行き渡るように、さらに葉から放出される植物の分泌物がきれいに洗い流されるように十分配慮しなければならない。
1. 流れが強い場所では、倒木などで部分的に流れが緩やかに
なっている所にクリプトコリネが繁茂していることがある。
2. 湧き水による土壌からの通水がある典型的な「栄養素の泉」。
栄養素の泉については[8.2.3.底床土の分解機能 前編]参照。
3. 熱帯の小川の底床には多量の鉄分を含む沈殿物が堆積している。
参考資料:プーケット・ラムケーンの小川の水質
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