「オレ流」で「アレ」する!?

 阪神藤川球児投手(30)が17日、沖縄・宜野座村の宜野座ドームで自主トレを公開。中日落合監督の発言をもとに、計2900メートルのダッシュを敢行した。プロアスリートとしてパフォーマンスを追求するという、まさに「オレ流」の精神。さらに「優勝」という目標を言葉にせず、こちらはオリックス岡田監督流?

 走る、走る、走る。黒髪パーマで、小麦色に日焼けした藤川が、宜野座ドームを走り回った。1時間にも及ぶダッシュの反復。100メートル、50メートル、30メートル…合計2900メートルを全力疾走した。30歳の男を突き動かしたのは、苦汁を飲まされた敵将の言葉だった。

 「きっかけは、落合監督に教えてもらった。常に走れる状態でいないといけないと。人からもらった言葉だけど、あそこまでいった選手で、チームを優勝させる力ある監督からもらった言葉なので大事にしてやっています」。

 1ゲーム差でシーズンを終えた直接のライバルから、真理をつく助言をもらっていた。昨年のオールスターで、野球人藤川が、中日落合監督の口を割らせた。その時点で3位だった中日の選手が「自分のチームは走る量が多いから、オールスターが終わったら抜ける」とこぞって話すのを不思議に感じていた。指揮官に直接問いただし、先の答えを聞いた。

 終わってみれば、逆転でリーグを制したのは中日。要因はリーグ断トツの防御率3・29を誇り、最後までばてない投手陣だった。「走る」ことの重要性をまざまざと見せつけられた。

 「キャンプでは、投げられなくても、構わないと思っている。まずは、走れる状態と、自分がどこまでできるか限界も知らないといけない」。

 周囲が投げていても構わない。とにかく走り倒す。昨年末のハワイ自主トレでもランニングとジョギングで心肺機能を強化した。11日からの宜野座自主トレでもランニングメニューを重視。例年もダッシュ系のメニューに時間を割くが、この日までキャッチボールはわずかに3度だけだ。

 昨年終盤は制球に苦しむ場面もあった。左足の負傷と疲労の蓄積が原因だ。イニングまたぎの登板で、2イニング目に入る時点で疲労を感じていたことも明かした。すべてはオレ流中日を倒し、優勝することが大前提。目標を語るときはオリックス岡田監督と同じ“口調”になった。

 「勝ちたいです。『アレ』を目指します。言うと手に入らないですから。今は結果も出していないし、自己満足にすぎない。終わったときに、数字が残っていればいいです。みんなを納得させますよ」。

 走る守護神は、笑いながら約束した。オレ流を貫き、最後には「アレ」をつかむ。【鎌田真一郎】

 [2011年1月18日11時12分

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