SS1の日記: カロリー10分の1! あぶないアンダカシーの作り方
沖縄料理に欠かせないラードがそろそろ切れるので、調達することに。いまどき、マヨネーズ容器を小さくした瓶に入ったラードそのものが売ってないんだけど、豚の背脂が売ってるので、それでラードを自作する。
近所での値段は背脂一パック400gで150円くらい。こいつを1.5cmくらいの厚みにザクザクきざんでから、厚手の小鍋、つか14cmソースパンにほうりこみ呼び水ならぬ呼び油をちょっといれてから弱火で1時間ほどジリジリと煮詰めて、取れた油(ラード)を保存する。背油400gからラード400ccくらいとれる。
これが美味しいゴーヤチャンプルーの調味料には必須で、沖縄人がチャンプルーをつくるところをみてると油洗いした鍋に小さじ1のラードを取ってペシンと放り込むところがみれる。そのラードの甘みと風味が欠かせないのである。
で、背脂をジリジリ煮詰めてると、グリセリン系の甘い香りがあたりに漂うことになる。これが、強く沖縄を意識させるのだな。沖縄で飯屋に入るとたいていこの薫りが強く漂ってて、沖縄にいる気分になってしまう。
まあほんと、このラードの薫りが沖縄料理の基本である。沖縄の庶民的な菓子のサーターアンダァギーは、小麦粉、黒砂糖(サーター)、玉子を混ぜたタネをラード(アンダ)でチューリップの形に揚げ(アギー)たものである。そこにシナモンが振ってある。
沖縄銘菓の「ちんすこう」はサーターアンダギーの土台をメレンゲ(卵白)に置き換えた味がする。まあだいたいそういう作り方になってると思う。
ラードを煮詰めてると、そういう沖縄料理の薫りに酔ってしまうのだが、市販のラードには無い楽しみがもうひとつある。
ラードの残りの背脂の揚げかすである。沖縄では島ごとに呼び名が違うがアンダカシー(油かす)などとよぶ。東京で「油かす」といえば菜種の搾り滓を発酵させた肥料を指すので、肉カスなどと呼ばれている。ここで、ちょっと作り方を説明しよう。
アンダカシーの作り方:
豚の背脂400gを汚れているところを包丁で削ぎ落とし、1.5cm厚に刻む。
ソースパン(14cm)に火をかけ、油を少し入れて、先程の背脂を炒める。ほどなく油が出て背脂が中で泳ぐようになるので、弱火でじっくり煮詰める。
背脂が縮んで長さで1/3になり、ほんのりキツネ色に揚がってきたら、その背脂(アンダカシー)を取り除く。
背脂がすべて揚がったら、火を止め一時間ほどおいて、荒熱がとれたら保存容器に移す。容器はふたつくらいに分けて、ひとつは長期保存のため冷凍庫へ。ひとりで使うとぜんぶで一年くらい持つので品質をたもつのが目的。残りは調味油としてコンロの近くに。
取り出した背脂(アンダカシー)は、その場で塩をふって食べてしまうのが、一番うまいと思う。たぶんシナモンシュガーもあう。冷めると、揚げたての旨さはなくなる。
カロリーが気になるが、背脂400gがおよそ2000kcalで揚げるとサイズが長さで1/3くらい、体積で1/10になるので、カロリーも1/10とヘルシーで、だいたい250kcalくらいのはず。まあ… 食べてもただちに死なない程度のカロリー。
揚げたてのアンダカシーは、余命の数秒と交換しても構わないと思わせる旨さがある。まあでも23切れ食べると満足しちゃいますが。
残りは、キッチンペーパーに取って冷えてからタッパーに詰めて保存して、ゴーヤチャンプルなどのトッピングに使います。でも使わなかったら捨てちゃえばいい。
ゴーヤチャンプル
スパゲッティを作るときオリーブオイルが基本になるように、ゴーヤチャンプルならラードの甘みが基本になる。和風のレシピではそれを他のうま味で代替するものがほとんどだ。それはそれで美味しいが、本来の味ではないと思う。
わかってやるのは構わないが、はじめに豚の脂の旨さを知ってからアレンジしてほしい。と個人的には思う。
沖縄料理がラードを含んでいても長寿食であるのは大豆やコンブが効いてると思う。
「思う思う」であれなんだけど、「違う」のだよね、沖縄料理とは。それだと。
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