最高裁が、労組法上の労働者性について、二つの非常に重要な高裁判決を覆すことがほぼ確実になりました。

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theophil21 @theophil21

(1)最高裁が、労組法上の労働者性について、二つの非常に重要な高裁判決を覆すことがほぼ確実になりました。新国立劇場事件とINAX事件です。高裁ではいずれも中労委の判断が否定されていたのですが、最高裁は3月に弁論を再開することを当事者に通告したので、高裁判決の破棄はほぼ確実です。

2011-02-22 09:10:39
theophil21 @theophil21

(2)新国立劇場事件では、劇場と出演契約を締結している歌手や演奏家、INAX事件は個人業務委託契約を締結して住宅設備機器の修理等の業務に従事するCE(カスタマーエンジニア)が労組法上の労働者であるかが争われていました。これらの人々が労働者と認められることは大きな意義があります。

2011-02-22 09:12:32
theophil21 @theophil21

(3)労基法上の労働者と労組法上の労働者は異なります。労基法は刑罰法規なので、これにより守られる労働者の範囲は限定されざるを得ません。しかし、労組法上の労働者とは、要するに労働組合を作って会社と団体交渉を行うことで自らの労働条件を向上することが認められるべき人々です。

2011-02-22 09:14:42
theophil21 @theophil21

(4)したがって、労組法上の労働者は労基法上の労働者よりも、もっと広い範囲の人々を含むのであり、契約上は雇用でなく委託や請負などであっても、労働契約による労務供給者に準じて労働条件向上のための団体交渉権を認める必要性があるとみなされる人々は労組法上は労働者です。

2011-02-22 09:19:02
theophil21 @theophil21

(5)このような、これまでは当たり前と思われていたルールを、高裁が否定してしまったのでどうなることかと心配されていたのですが、さすがに最高裁ではまっとうな考え方が取り入れられることとなりました。しかし、そもそも高裁判事たる者がなぜ驚くような素っ頓狂な判決をしてしまったのか。

2011-02-22 09:21:12
theophil21 @theophil21

(6)その背景には、現在高裁判事くらいの年代にある法曹が、労働法を全く勉強していないという事実があります。彼らが司法試験を受けたころ、労働法は受験科目から落とされており、しかも修習期間もちょうど短縮されつつあったころでした。

2011-02-22 09:22:49
theophil21 @theophil21

(7)つまり、うっかりすると学部でも司法試験でも司法修習でも、ほとんど労働法を学ばずに判事となって労働法の事件を処理している、という状態にある人間が少なくないのです。こうした人々による素っ頓狂な判決を是正していく必要性はきわめて強く、今後も裁判例の動向を注視しなければなりません。

2011-02-22 09:25:25
theophil21 @theophil21

いえ、「まさか」ではなく、本当に労働法を勉強する機会がないまま法曹になっている人は少なくないのです。特に、裁判官の場合は深刻な影響があるので、混乱をできるだけ小さくするために我々研究者や実務家も苦労しています。@kaedeplus

2011-02-22 09:36:38
theophil21 @theophil21

21世紀になってからは、司法試験の選択科目に労働法が入っていますし、新司法試験は法科大学院を修了しないと受験資格がなく、法科大学院では労働法を教えていますのでましになりました。@kaedeplus

2011-02-22 09:38:23