2011年6月19日0時41分
東日本大震災被災地の岩手県釜石市で防災教育に長年携わった片田敏孝・群馬大大学院教授(災害社会工学)が18日、徳島大で講演し、「災害時の対応について、子どもを中心に想定を信じるなと教えてきた結果、地域の子どもたちの多くの命を救うことができた」と話した。
片田教授が8年前から防災教育にあたる同市は、隣接する小中学校が地域住民と助け合って津波から避難する方法を学ぶなど、学校を核にした防災に取り組んできた。講演では、「むやみに怖がらせる防災教育は無意味」としたうえで、小中学生にハザードマップを過信する危険性や率先して行動する重要性を教えてきたことを紹介。その結果、「今回の震災では市内の小中学生2926人のうち校外にいた5人を除く児童生徒が助かった」と話した。
東日本大震災で2万人以上が死亡・行方不明になった要因として、「想定にとらわれすぎて、想定外に対応できなかった」と指摘。県内でも大きな被害が予想される東海・東南海・南海地震が同時に起こる「3連動地震」の想定を国が見直す動きについて、「想定をやみくもに上げれば良いのか。あまりにも短絡的」と批判。集まった県や市町村の職員や教員210人が耳を傾けた。