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(2011.07.07)
Dr.DOWNER ×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

Dr.DOWNERが、結成7年目にして初めてのフル・アルバム『ライジング』を完成させた。バンドの中心人物である猪股ヨウスケの、生活と地続きの諦念と希望が入り混じった歌詞と、ステージからはみ出さん勢いでかき鳴らされる演奏がぶつかり合って、日本のロックの可能性が感じられるような爆発が生まれている快作だ。さらに、その魅力を真空パックしたような一発録りながら、エンジニアに岩田純也(ASIAN KUNG-FU GENERATION『崩壊アンプリファー』を手がけた)を迎えたことによって、作品としてもまとまった聴き心地に仕上がっている。今回は、メンバー4人と、昨年リリースされたEP『さよならティーンエイジ』に続いてディレクションを務めた後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の対談を敢行。彼らの魅力を解き明かす話が訊けたと思う。( 取材・文:高橋美穂/撮影:栗原大輔 )

                     

――猪股さん遅れてますけど、はじめましょうか。

後藤「そうしましょう」

――では、結成7年目にしてやっと1stフル・アルバムがリリースされますけど、その運びになったところにも後藤さんが関わってらっしゃるんですか?

ケイタ「言い出したのは猪股ですけど、関わってるのは絶対に後藤さんだと思いました。猪股は、前にミニ・アルバム出した時に、"フル・アルバム嫌いなんだよね、ミニ・アルバムしか作りたくないんだよね"って言っていて。俺はフル・アルバムでもいいと思ってたんだけど。で、EPを出した後に、後藤さんと猪股で何か話して、何か感化されたのかなって」

小石トモアキ「あくまで想像の話だけど。思い返してみたら、急に言いはじめましたね」

後藤「あいつが言い出したらしょうがないっていう感じでしょ?」

――後藤さん、3人の推測は合ってるんでしょうか?。

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後藤「でも実際ね、猪股と飯食ったりしながら、どうしたいのお前らって話したら、"音源は作りたい"って言うから、だったらアルバム作ればいいんじゃないのって。話の流れで、4曲入りのEP作ったし、10曲入りとかがいいんじゃない?って。俺は10曲入りが好きだしね。WEEZERの1stも10曲入りだし」

――ほんとに今回10曲入ってますね。

後藤「それで、アルバムとも言わずに、取り敢えず音源作ろうかと。デモができたら聴かせてよって言ってて、結局、年明けに全曲もらいました」

ケイタ「最後の2、3曲で時間が掛かった気がしない?」

後藤「最後に作った曲、よかったよね」

星野サトシ「『まちぼうけ』」

後藤「『明日、晴れればいい』も最後の方だよね」

ケイタ「『Rock'n Roll負け犬』もそうでしょ」

後藤「うん。わりと重要な曲が、最後のデモで出てきたよね」

小石「それまで危ないなって思ってたんですか?」

後藤「危ないっていうか、どこの誰に聴かせたいんだろうなって。パンクっぽくやりたいなら、自分たちでやればいいじゃん。でもダウナーって、歌モノの曲もあるわけじゃん。対バンしてる人たちとかと比べたらだけど。だから、そういう曲もあった方がいいんじゃないかなと思ってたら――」

ケイタ「出てきたと」

――後藤さんはデモの段階で何か話はしたんですか?

後藤「俺はシンプルに助言はふたつしかしてなくて。『さよならティーンエイジ』よりも、いい曲があるといいよねって。わかりやすく言うなら、もう1曲シングルになるような曲があれば、アルバムとしてわかりやすいよねって。あとは、猪股の歌詞が面白いから、いっぱい歌詞があって、歌ってるんだかしゃべってるんだかわかんないような曲を聴きたいって言って。それで10曲目(『明日、晴れればいい』)を作ったんだと思うんだけど」

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ケイタ「間違いないです」

後藤「時代性っていうかね、俺は今ヒップホップが一番面白いと思うんだけどって話して、あいつもヒップホップのCDを聴きたいって言っていて、結局貸してないんだけど。あとは、音楽に関してはノータッチっていうか」

ケイタ「ないね」

後藤「あ、"曲が長い! "とは言ったけどね」

ケイタ「言った、言った」

後藤「『ユーウツ祭りスタイル』は長いから整理しろって。ずっと同じことしかやってねぇじゃんって」

ケイタ「それを言われて4人とも、そうだなって」

――どれくらい長かったんですか?

小石「X(JAPAN)の曲くらいありましたね」

――相当ですよ!

後藤「やってる方が気持ちいいのはわかるんですよ。ただ、長くすることや足していくことは誰にでもできるから、短くコンパクトにすることがひとつの能力だと思うんですよね」

――アルバムを作る前に、バンドの中で、こういうアルバムにしたいっていうヴィジョンはあったんですか?

ケイタ「そういうのはないですね」

後藤「でも、猪股が設計図を書いてるんでしょ? あいつはバンドの中では説明しないけど、自分の中ではこれっていうのがあるんだよな」

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星野「あぁー」

後藤「よくよく突っ込んでみると、わざとだってわかる。歌詞に同じ言葉がいっぱい出てくるのも、意図的だと。だから多分ね、いろんなことを考えてるんだよね、あいつ」

ケイタ「うん。例えば、新しい曲を作ってきたって言っても、またこれかよってことも」

星野「結構ある。だから、リメイクみたいなことをどんどんしていったりとか」

ケイタ「うん。でも、それで、またこれかよって思ってると、違う曲を作り始めたりして。そうやってバランスをとってるんだろうなって」

――またこれかよって思った時は、突っ込み入れるんですか?

ケイタ「4人とも笑っちゃいますね。これ......知ってるなって」

――後藤さんはレコーディングには?

後藤「フルで参加しましたよ」

ケイタ「後藤さんが一番楽しんだ時に、OKが出るんだと思いました」

後藤「ふふ」

ケイタ「4人は、"今の熱かった! "って思ってても、後藤さんには"もうちょっと面白くなるんだけどな"って言われて。また逆に、"いいのができた! "ってって後藤さんが言ってても――」

小石「メンバーは誰かひとりは"あれ? "って言ってたり」

ケイタ「でも聴き比べると、臨場感があるのは後藤さんが楽しんでるテイクなんですよね」

後藤「要は4人の空気感がよければいいので。厳密に言うと、上手い下手を気にするなら一発録りはやっちゃいけないと思うし。相当練習しないとボロが出るから。まずは、ドラムを聴いてる感じかな。小石がよければいいっていうのはちょっとある。だって、スネアがズレてたりするのは一番引くもん。ギターは味とか言えるけど。それに星野がちゃんとついていってるテイクを探してるっていうか」

星野「あぁー」

小石「それ、今聞けてよかったですね。最初に言われてたら終わらなかったと思います」

ケイタ「"俺のスネアがネックだ! "って思っちゃって?」

後藤「でも、レコーディングの後にライブ見たけど、上手になってたよね、リズム隊が......来た来た」

猪股ヨウスケ「お疲れ様ですー」

後藤「取り敢えず、ひとしきり、猪股の面白い話は終わったから」

猪股「ほんとに? 俺の悪口?」

後藤「詳しくはWEBで。ははは」

Dr.DOWNER - DISCOGRAPHY -

cd02
ライジング
icon_album

2011.7.6 ON SALE!! / ODCP-001 / ¥2,100(tax in) / only in dreams

※6月29日(水)タワーレコード渋谷店先行発売

tower
cd01
さよならティーンエイジ
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2010.6.23 ON SALE!! / ODCS-001 / ¥525(tax in) / only in dreams

flakeamazonoid
※タワーレコード渋谷店でも販売しております。

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