写真上達の経過のなかで、お気に入りの写真家の作風を模倣してみるのは、経験を重ねるうえで、有効な手段の一つとは言えますが、 いずれは、その写真家の影響下の作品の中にも、自分だけの個性や作風を確立していく事が大切な事だと思います。
先ずは市橋織江さんの模倣を、35mmフィルムMF一眼レフを用いてネガカラーで撮影してプリントを依頼するためには、どうすれば良いのか、私も数日考えてみたのですが、私が考える事のできる範囲では下の様な結論になりました。
(1)フィルムの選択
市橋織江さんの作風は、柔らかいやさしさの中に青の美しさを大切にしている場合がみられる様です。
ですから、ある程度柔らかい再現が可能で、青がキレイに再現されるフィルムが良いかと思います。
フジは昔から青の発色がキレイである傾向があって、それは今でも変わりません。
フジの中で適度な柔らかさがあり、青の再現の美しいフィルムには、ISO100ならフジカラー・リアラエース、ISO400ならフジカラー・プロ400があります。
特にプロ400は市橋織絵さん風の作品づくりには向いていると私は思います。
発色傾向はフジより暖色寄りになり、柔らかい雰囲気を得られるコダック・ポートラNC2種(ISO160と400)も状況によって使用すると良いと思います。
感度の選択ですが、粒子の細かさを優先すればISO100前後、柔らかさを優先すればISO400でよろしいと思います。
(2)露出
ネガカラーは露出オーバー側のラチチュード(適切な画質を得る事のできる露出の範囲)がかなり広いので、1絞りや2絞り程度のオーバーで撮影しても、効果を得る事はできません。
しかし大幅にオーバーで写せば、カラーバランスが悪くなる事があります。
ハイキーで淡い再現は、プリント時の補正で行う方が無難です。
ですから、とりあえず1~2絞り分オーバーに撮影しておく程度でよろしいと思います。
(3)ソフト効果
市橋織江さんの作品には、独特のソフトさがあります。
これを撮影段階で、どう可能にするか考えてみました。
ソフトフィルターには様々な種類があり、このケースでは効果の控え目のものが適していると思います。
中でも市橋織江さん風の柔らかさに近い効果を出せる点で言えば、ケンコーから発売されてある「ソフトンA」という種類が、あれに近い感じをある程度、醸し出せると私は思います。(ソフトンBだと効果が大きすぎます)
また市橋織江さんの作品とは少し違うソフト効果になりますが、霧のかかった様な雰囲気を醸し出す「フォギー」も明るい柔らかさを作り出すには効果的なフィルターです。(こちらも効果が控え目の「フォギーA」がよいと思います)
(4)プリントオーダー時に留意すべき点
ネガからのプリントは技術者の腕やセンスに大きく左右されます。
まずフィルム現像は、カメラ店などにメーカー指定の現像所に取り次いでもらうか、即日現像を希望なら都市部の客の出入りが多い大手カメラ店などの写真専門店が無難です。(フィルム現像処理本数が少ないと、良好な現像コンディションを維持できません)
まず同時プリント時に「ハイキーに淡く」などと注文してみてください。しかし、この段階で理想的なプリントはなかなか仕上がりません。
ここからは、技術者が直接写真を仕上げているカメラ店などの写真専門店にネガを持ち込んで「ハイキーに淡く」などと具体的に注文して、まずL判などでプリントしてみます。
そこで、出来るだけ客の要望によく反応して、センスの良いプリントを仕上げてくれる店を選びます。
その店に「明るくハイキーに、色は○×を強く」などと具体的な希望を伝え、先ずはL判などで出来るだけ理想的なプリントを作成してもらって、そのL判などを色見本として、本番の大伸ばしプリントなどを作成するのがよろしいと思います。
一番理想的な手段は、最寄りにプロラボ(プロ向けの現像所・クリエイトや堀内カラーなど)があるなら、プロラボに具体的な希望を伝えてプリントを委託する事であると思います。
最近は、独自のこだわりで写真を仕上げる写真屋さんもあるようで、ネットで検索するといろいろあるようです。
質問者さんの最寄りに、そんな写真屋さんがあれば、試してみると面白いかもしれません。
フィルムスキャナーを使ってネガを読み取ってPCに取り込んで市橋織江さん風の写真を作成する方法もあります。
PCを使った編集については、ネット上で数多く紹介されています。
Yahoo!やGoogle等で「市橋織江 撮り方」などで検索すると、PC編集の方法を解説したページが複数ヒットいたします。