1キロ当たり約9万ベクレルと、高濃度の放射性セシウムが検出された東京都杉並区立堀之内小のシート。現在は区の施設の屋内に移して保管している=11月2日、東京都杉並区堀ノ内の同小
1キロ当たり約9万ベクレルと、高濃度の放射性セシウムが検出された東京都杉並区立堀之内小のシート。現在は区の施設の屋内に移して保管している=11月2日、東京都杉並区堀ノ内の同小
東京都杉並区の区立堀之内小学校(同区堀ノ内3丁目)で、4月上旬まで敷いていた芝生の養生シートを同区が調べたところ、1キログラム当たり9万600ベクレルの放射性セシウムが検出されたことがわかった。
国が廃棄物処理できる目安とする「1キロ当たり8千ベクレル以下」を10倍以上上回っており、福島県郡山市の下水処理施設の汚泥(2万6400ベクレル)以上の数値だ。区は「シートは表面積が大きく、原発事故直後に広く放射性物質が付着したのだろう。放射性セシウムの濃度測定はキログラムで換算するため、シートが軽い分、高い数値が出たのではないか」とみる。
環境省は12日夜になって「シート1キロに対し他の廃棄物1トンを混ぜて焼却すれば放射性物質は十分希釈される」と回答し、焼却処分を事実上認めた。これを受け、区は焼却する方向で検討している。
杉並区によると、シートはポリエチレン製。堀之内小では、今年1月から夜間にこのシート9枚を約2千平方メートルの校庭の芝生の上にかけていたが、春休みにかかる3月18日から4月6日は敷いたままにしていた。その後は体育館脇に積み上げ、現在は区の他の施設内で保管している。
保護者の要請を受け、区が11月初めにシート上の空間放射線量を測定したところ、高さ1センチで毎時3.95マイクロシーベルトを測定。さらにシートそのものの放射性セシウムの濃度を調べたところ、今月6日になって、セシウム134と137を合わせて1キログラム当たり9万600ベクレルになることが判明した。環境省によると、汚泥や焼却灰などで処理基準の8千ベクレルを超えた例はあるが、校庭のシートで自治体から相談を受けたのは今回が初めてだという。
野口邦和・日本大専任講師(放射線防護学)は「原発事故直後から4月初めごろまでは放射性物質の放出量が多く、東京でもかなりの放射性物質が漂っていたと考えられる。シートは口に入れるようなものではなく、過度に心配する必要はないが、処分までは人が近づかない所に隔離しておく方がいいだろう」と話す。(斎藤智子)