中国・習近平来日、安易な「国賓」批判に賛同できない理由

中国は「対日関係改善」に本気のようだ

習近平は今回、「本気」だった

安倍晋三首相が12月23日、北京で中国の習近平国家主席と会談した。予想外の展開はなかったが、私は対日関係の改善を目指す中国の本気度に、むしろ驚いた。中国はそれほど、米国のトランプ政権に追い詰められているのだ。

 

安倍首相は首脳会談で、習氏と北朝鮮の非核化に向けて連携することで一致したほか、日本人拉致問題の解決に協力を求めた。また、中国で拘束されている日本人の早期釈放を訴え、尖閣諸島周辺で活発化している中国公船の活動自粛を求めた。

デモが続く香港情勢や新疆ウイグル自治区でのウイグル人弾圧問題についても、懸念と憂慮を伝えた。習氏は香港とウイグル人問題について「内政問題」と一蹴したが、尖閣諸島を含む東シナ海情勢については「平和と協力、友好の海とすべく、防衛当局間の交流促進などを含め、取り組んでいきたい」と述べた、という(https://www.yomiuri.co.jp/politics/20191223-OYT1T50287/)。

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首脳会談の議題と双方の発言内容は、事務方が事前に協議して、腹合わせするのが通例だ。事前に合意できなかった話は基本的に取り上げない。決裂したら、良くて会談失敗、悪くしたら「そんな首脳とは、二度と話ができない」という結果になりかねない。

したがって、今回も安倍首相が中国側に耳の痛い話をするのは、中国も事前に了解済みである。つまり、日本人の早期釈放要求や尖閣諸島、それに香港デモへの対応と新疆ウイグル自治区の人権弾圧問題などだ。

マスコミは、これらをめぐって「厳しいやりとりが続いた」などと報じているが、実際は厳しくもなんともない。その話は「とっくに織り込み済み」であり、事前に調整されたシナリオに沿って、双方が用意された台詞を喋っているだけだ。

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