デンモクを手にすると、すでに他の常連の予約でいっぱいだ。木村さんがよく歌うのは高橋真梨子、大橋純子、小林明子、松田聖子、竹内まりや。その中から小林明子の『恋におちて-Fall in love-』をリクエスト。

カラオケの順番を待つ間も楽しい

慣れた手付きでデンモクを操作する木村さん
慣れた手付きでデンモクを操作する木村さん

木村さんの順番まで20分ほどは待っただろうが、飽きない。聴かせるテクニックを持っている人ばかりなこともあるし、他の客や宮野さんが一体となって場を盛り上げているので自然とその輪の中に引き込まれたからだ。

他の人の歌声を聴きながら、映像に見入る
他の人の歌声を聴きながら、映像に見入る

オーディエンスが悪目立ちするような騒ぎ方ではなく、あくまでマイクを持つ人が気持ち良く歌えるようにする思いやりが感じられた。歌を愛する人が集まっているからこそ、品のある盛り上げ方をしてくれる。

木村さんの番が巡ってきた。

常連客の冷やかしに「恥ずかしい!」と照れ笑い
常連客の冷やかしに「恥ずかしい!」と照れ笑い

常連客に囃し立てられながら、照れながらマイクを持つ。見た目どおり、上品で艶っぽい歌声だ。

感情を込めて『恋におちて-Fall in love-』を熱唱
感情を込めて『恋におちて-Fall in love-』を熱唱

小気味よく合いの手を入れてくれながら、サビなどの聞かせどころでは聴く常連たちの姿に大人が楽しいカラオケってこういうことだよな、と思う。

30代になって、スナックの良さがわかるようになった

『恋におちて-Fall in love-』を歌い終わり、他の客の歌声が響く。その間にも女性ひとり客が次々に訪れ、先客と挨拶を交わして席に着いていく。

カウンターにもユリが飾られていた
カウンターにもユリが飾られていた

「酔うとメトロノームみたいに揺れるんですよね、私」と笑う木村さんがポツリとつぶやいた。

アルコールに弱かったとは思えないほど、楽しく飲んでいた木村さん
アルコールに弱かったとは思えないほど、楽しく飲んでいた木村さん

「ひとりでの時間を持て余したり、自意識が強い20代だったら、ひとりでスナックに来ることはなかったかもしれないですね。30代後半になって他人や自分との付き合い方がわかるようになって、初めてスナックの楽しさがわかったかもしれません」

木村さんのように精神的にも自立した女性のひとり客が多い『バー エミーズ』。店の近所にあるレストランからのデリバリーもあるので、食事がてらカラオケを楽しみたい夜にもぴったりだ。

【バー エミーズ】

バー エミーズ

問い合わせ先

  • バー エミーズ TEL:03-5906-5241
    住所/東京都豊島区目白3-5-11 NOBビル2F
    営業時間/18:00〜26:00
    定休日/日曜
    メニュー/ショットチャージ¥2,000、グラスワイン¥900〜、瓶ビール・ウイスキー・焼酎・リキュール¥1,000〜 ボトルキープチャージ¥4,000、焼酎ボトル¥5,000〜、ウイスキーボトル¥8,000〜、カラオケ無料
この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎