【LinkedIn独自調査】最も勢いのある日本のスタートアップ10社

イノベーションの実現に向けて新たなアイデアが日々生まれるスタートアップ。　今年で３回目となる「LinkedIn Top Startups（トップスタートアップ）」では、今後大きな成長が期待できるスタートアップ10社を紹介します。 

ランキングの特徴は、リンクトインの実データに基づいていること。スタートアップに実際に転職した人や求人に対する反応などを数値として集め、最も勢いのある企業を順位付けしました。具体的な基準とは、（1）「社員数の伸び」（2）「企業と社員への興味」（3）「求人への関心」（4）「トップタレントを惹きつける力」ーーの4つ。優秀な人材の興味を引き、実際に獲得したスタートアップのランキングです（調査・評価方法の詳細については記事末尾に記載しています）。

コロナ禍の困難な状況にも負けないスタートアップの特徴は、どこにあるのか。今回の結果からは3つの特徴が見て取れます。

1つ目は人工知能（AI）技術の社会実装が大きく進んでいること。今回のランキングでは、ランクインした全ての企業が機械学習や画像認識、自然言語処理など、AIを使用した製品・サービスを開発・提供しています。ランクインした企業の事業領域はヘルスケア、物流、旅行・観光、宇宙、金融など多岐にわたり、その浸透の幅広さが見て取れます。AIを使った業務効率化への需要も引き続き高く、9位のWealthPark（ウェルスパーク）は不動産管理の領域でサービスを提供し、クラウド上の人事評価システムで高評価を獲得している10位のHRBrain（HRブレイン）はAIを活用したソリューション開発を発表しています。

2つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大によって生まれた新たな需要を巧みに取り込んでいること。例えば6位のCogent Labs（コージェントラボ）が提供する手書き文字の自動認識サービスは、地方自治体のワクチン接種関連書類のデータ化に活用されています。１位のUbie（ユビー）が提供する、症状から病名や医療施設を検索できるサービスも、コロナ禍で病院訪問にためらいを感じる人から支持されています。3位のZeals（ジールス）が提供するチャットボットと人を組み合わせたコールセンターのシステムも、外出制限がある中で質の高いカスタマーサービスを求める企業の要望に応えるものです。

最後は、「コロナ禍のニューノーマル」を見据えた製品・サービス作りが進展している点です。高齢化や人手不足、働き方改革の推進など、以前から存在していた産業界や社会の課題は、新型コロナによって深刻度が加速しています。こうした変化に対応するため、「非接触」「自動化」といった新しい技術の導入は多くの産業にとって急務です。2位のRapyuta Robotics（ラピュタロボティクス）が提供するクラウドロボティクスや５位エクサウィザーズの介護の自動記録システム、8位AnyMind Group（エニーマインドグループ）のD2C（消費者に対する製品の直接販売）支援サービスはニューノーマルの時代に即した課題解決を提案していると言えます。気候変動が原因とされる自然災害が増加する近年、7位のSynspective（シンスペクティブ）が提供する衛星からの地表分析システムは被害予測などの局面で必要とされていくでしょう。

今後の飛躍が期待される注目のスタートアップ。LinkedIn News編集部は連動企画として、ライブ配信なども予定しています。ぜひご覧ください。

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今年の「トップスタートアップ」は、日本を含む26の国と地域で実施しています（アイルランド、アメリカ、アラブ首長国連邦、アルゼンチン、イギリス、イスラエル、イタリア、インド、インドネシア、エジプト、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、サウジアラビア、シンガポール、スイス、スウェーデン、スペイン、ドイツ、ニュージーランド、ブラジル、フランス、ベルギー、メキシコ）。他国のランキングも是非ご覧ください。

それでは今年のランキングを見ていきましょう！

社員数：119人｜本社：東京都｜創業：2017年｜社員が身につけている主なスキル：SQL、JavaScript、Java｜社員の主なポジション：ソフトウェアエンジニア、事業開発、データサイエンティスト｜AIで適切な医療に案内：診察前にウェブ上で問診を済ませるサービスは医師の負担軽減を実現。20年4月に開始した、症状を入力すると病名や対処法が検索できる「AI受診相談ユビー」は、月間300万人以上が利用している。

関連企画：「AIは医療をこう変えている」〜LinkedIn News編集部Live!

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社員数：約110人｜本社：東京都｜創業：2014年｜社員が身につけている主なスキル：C++、Python（プログラミング言語）、C（プログラミング言語）｜社員の主なポジション：ソフトウェアエンジニア、ビジネス開発マネージャー、ロボット工学エンジニア｜マシンとマシンを繋げる：AIを活用し、クラウド上で複数のロボットを連携・制御するクラウドロボティクスのプラットフォームを提供。物流倉庫などでのDX化や省人化に注力している。

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社員数：146人｜本社：東京都｜創業：2014年｜社員が身につけている主なスキル：JavaScript、Python（プログラミング言語）、カスケーディングスタイルシート(CSS)｜社員の主なポジション：プロダクトマネージャー、コミュニケーションデザイナー、ソフトウェアエンジニア｜「おもてなし革命」に挑戦：チャットボット技術を中心としながら、有人チャットとビデオ会議ツールを組み合わせた接客のDX化をサポート。おもてなし体験のデジタル化と効率化を同時に実現する。

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社員数：79人*｜本社：東京都｜創業：2015年｜社員が身につけている主なスキル：JavaScript、Ruby on Rails、ソフトウェア開発｜社員の主なポジション：キーアカウントマネージャー、カスタマーサクセスマネージャー、エンジニアリングディレクター｜AIで効率的な顧客サポート：宿泊予約エンジン「triplaホテルブッキング」が多くの宿泊施設で採用される一方、他言語対応可能なAIチャットボットで旅行業界を超え、あらゆる業種でカスタマーサポートの効率化を目指す。

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社員数：350人｜本社：東京｜創業：2016年｜社員が身につけている主なスキル：Python（プログラミング言語）、Java、機械学習｜社員の主なポジション：ソフトウェアエンジニア、機械学習エンジニア、事業開発｜顧客と社会の課題解決：企業のAI活用やDX化促進サポートのほか、「AIで社会課題解決」をミッションに様々な事業領域でサービスを提供する。21年4月に開始した「Care wiz話すと記録」では、記録の自動化で介護施設スタッフの負担を軽減している。

エクサウィザーズの求人を見る｜エクサウィザーズ社員とのつながりを探す

社員数：65人｜本社：東京都｜創業：2014年｜社員が身につけている主なスキル：Java、ソフトウェア開発、Python（プログラミング言語）｜社員の主なポジション：機械学習エンジニア、シニアソフトウェアエンジニア｜「手書き」をデータに：手書き文字をAIでデータ変換するサービス「Tegaki」は、官民問わず幅広い組織・団体で導入されている。その技術はワクチン接種の開始後、各自治体において手書きの予診票をデータ化する際にも活用される。

Cogent Labsの求人を見る｜Cogent Labs社員とのつながりを探す

社員数：115人｜本社：東京都｜創業：2018年｜社員が身につけている主なスキル：Python（プログラミング言語）、C++、MATLAB｜社員の主なポジション：アプライドサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、カスタマーソリューションエンジニア｜衛星データをビジネスに活用：20年12月に、夜間や悪天候でも地表を観測できる自社開発のSAR衛星打ち上げに成功。送られてくる画像データから地殻変動や浸水被害状況を可視化でき、21年7月には防災科学技術研究所と災害対応の活用に向けた実証実験も開始している。

Synspectiveについてもっと知る｜Synspective社員とのつながりを探す

社員数：約900人｜本社：東京｜創業：2016年｜社員が身につけている主なスキル：JavaScript、インターネット広告、HTML｜社員の主なポジション：ビジネス開発エグゼクティブ、営業スペシャリスト、営業マネージャー｜D2Cのワンストップサービス：商品開発からECサイトの構築・運営サポートまで、D2Cに関わる個人や法人の活動を支援。21年1月にはサニーサイドアップ・グループのENGAWAを子会社化し、海外マーケティング支援の強化を図る。

AnyMind Groupの求人を見る｜AnyMind Group社員とのつながりを探す

社員数：110人｜本社：東京都｜創業：2014年｜社員が身につけている主なスキル：JavaScript、カスケーディングスタイルシート(CSS)、Python（プログラミング言語）｜社員の主なポジション：ソフトウェアエンジニア、カスタマーサクセス、バックエンド開発者｜不動産投資をより多くの人に：不動産管理会社を主な顧客に、物件の管理業務やオーナー・投資家とのコミュニケーションのDX化をサポートする。利用する不動産管理会社は80社、投資家数は17000人を超える。21年3月には25億円の資金調達を完了。

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社員数：非公開｜本社：東京｜創業：2016年｜社員が身につけている主なスキル：プロダクトマネジメント、デジタルマーケティング、データ分析｜社員の主なポジション：事業開発、製品スペシャリスト、人事・採用｜戦略的人事の意思決定をサポート：人材データや人材評価業務をクラウド上で一元管理できるサービスを提供。1000社以上に導入され、20年12月には13億円を調達。人事管理業務だけでなく、組織課題の分析サービスなどにも展開を始めている。

HRBrainの求人を見る｜HRBrain社員とのつながりを探す

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ランキングの分析手法について

リンクトインでユーザーのデータを4つのポイント――「社員の増加率」、「企業や社員への興味」、「求人への関心」、「トップ人材を惹きつける力」――に基づいて分析しました。調査期間は、2020年7月１日から2021年6月30日まで。情報は匿名化し、個人情報保護に十分配慮して処理しています。各ポイントの詳細は以下の通りです。

①社員の増加率：リンクトインに登録している社員が前年同時期に比べてどの程度増加しているかを測定します。最低でも10%増えていることが条件となります。

②企業や社員への興味：その企業のリンクトインページがどの程度フォロー／閲覧されているか、社員のアクティビティ（投稿やシェアなど）やプロフィールが、どれだけ他のリンクトインメンバーから閲覧されているかを基に算出しています。

③求人への関心：リンクトインに掲載した求人に対して、当該社員以外のメンバーがどれだけ閲覧し、実際に応募したかを測定しています。

④人材を惹きつける力：リンクトイン上で最も魅力的な企業を調査する「TOP COMPANIES（トップカンパニー）」（2021年版）にランク入りした企業から、どれだけの人材が入社しているかを集計します。

調査対象としたスタートアップの条件は、リンクトインのカンパニーページを開設している企業の中で、創業8年以内であること、30人以上の社員を雇用していること、非上場企業であること、日本に本社を置いていることを必須としました。人材派遣会社、シンクタンク、ベンチャーキャピタル、法律事務所、マネジメントおよびITコンサルティング会社、非営利および慈善団体、アクセラレーター、政府所有の事業体は除いています。また、調査期間中に社員の20％以上を解雇したスタートアップも対象外としています。 

企業データについて

*ランキングの対象となる企業情報（社員が身につけているスキル、積極的に採用している分野）はリンクトインの採用支援ツールであるLinkedIn Talent Insights（2021年8月時点の情報）を基にしています。日本国内で登録されているリンクトインメンバーの公開プロフィールに掲載されているデータを集計したものであり、これには当該企業に在籍する正社員が含まれます（パートタイムや契約社員は対象外）。社員数は、*印で注記されていない限り、企業から提供された情報を使用しています。*印の情報は、リンクトインの2021年8月時点の企業データに基づいています。

− 蛯谷 敏（Satoshi Ebitani）、村井 秀輔（Shusuke Murai)、高桑 明日香 (Asuka Takakuwa)、佐々木 希世（Kiyo Sasaki）