福祉工場で働くということ。障害者が/障害者と #2「未来への送りバント」

福祉工場で働くということ。障害者が/障害者と #2


皆さんは相撲って見ます?

僕もそんな見るわけじゃないんですけどね、昔は相撲なんて一切見なかったんですよ。太った男同士が裸でケツ出してぶつかったり抱き合ったり何してんだ。キモチ悪りぃ。つって。

でもある時、ある力士がこんな事言ってたんです。

『野球ってのは頭の良い人がやってバカが見る物で、相撲てのはバカがやって頭の良い人が見る物なんです。だから僕、力士に成ったんです』って。

いや言ってる事めちゃくちゃですけどコレ、なかなか言い得て妙で、線から出たり手付いたら負け。なんて子供でも出来る遊びを力任せに押したり引いたりしあってるのを周りで見てた人が理論的に解説とか始めて「今のは左四つの状態から右の上手で投げを打った際に組んだ相手の引き手を使ってうんぬん…」みたいに言い始めて相撲ってもんに重みが出たんじゃないかと思うんですよ。

僕、小さい頃小学校の野球チームでショート守ってたんです。飛んでくるボールがフライかゴロか、その時走者は何塁に居るかでボールの捌き方が変わる。ポジションによってその時に合った動きがあって、走者だって走るか止まるか瞬時に判断しなきゃいけない。毎回次の一球に集中ですよ。でもね、それを見てる周りの人は「ドンドンドン!あよいしょ!かっとばせー!あっ、ねーちゃんビールちょーだい」なんつって。

やってる人(当事者)と応援してる人(支援者)の間には大体のゴールは一緒なのに何とも言えない違いがあったりするもんなんです。どっちがバカとかそんな事言いたいわけじゃ無くて、普遍的な違い。そこは絶対認識しておかなきゃいけないと思います。どちらにとってもどっちも大切な必要な存在なんです。でもね、そこにある違いがお互いの熱量とか、放出するベクトルとかで化学反応起こして奇跡が起きたりするんですよ。

結局、何が言いたいかって、僕が人生半ばで交通事故にあって障害者になるなんて思っても見なかった。人生が180度ひっくり返った。プレーヤーとサポーターがひっくり返ったんです。

こーなってみると自分の積み上げて来た常識が何も通用しなくなるんです。人間って自分の考えを180度ひっくり返すのがどんなに大変か。相手の事ばっかり考えてると自分自身が見えなくなる。間違った事すら相手のせいにして。

相手も自分も教科書じゃない、人間ですからね。答えは常に変化するって話です。

日々是勉強。

長くなっちゃったんで続きはまた。

担当:荒井隆浩
製造部制作係(DTP担当)(大田区高次脳機能障害当事者会「楽花(らっか)」代表)2018年7月入社