ニュース
白内障の手術
「多焦点」に一部保険適用
レンズ代差額など 追加分は自己負担
白内障治療の眼内レンズ挿入手術で、遠近両用の多焦点レンズを選択した場合も、公明党の推進で今年度から、手術費用の一部に健康保険が適用されるようになり、経済的な負担が軽くなった。これまでは、多焦点を選択すると、手術費用は全額自己負担だった。
一部保険適用は、多焦点レンズ挿入手術が、歯科治療で金歯などの特別な材料を用いる場合と同様の「選定療養」に位置付けられたため。保険適用の単焦点レンズを挿入する場合より余分にかかる費用(レンズ代の差額など)が自己負担となる。
公明党は、1992年に白内障手術の保険適用を実現。その後、多焦点レンズの開発・普及が進んだため、単焦点レンズと同様に、手術費用全額を保険適用するよう訴えてきた。これを受け政府は2008年7月、多焦点レンズ挿入手術を「先進医療」(全額自己負担)とし、保険を適用するかどうか評価を行うことにした。
しかし、多焦点レンズを挿入しても、視野が暗いといった理由で単焦点に切り替えを希望する例が数%程度存在することなどが判明。視力の回復といった「疾病に対する治療」の観点では、単焦点より優れていることが確認できず、多焦点レンズ挿入手術を保険適用することは見送られた。
ただ、多焦点レンズのニーズは少なくないため、20年度からは追加費用を負担することで保険適用の治療と適用外の治療を併せて受けられる「選定療養」に切り替えられた。
党医療制度委員長の秋野公造参院議員は「多焦点を選んだ場合の患者の負担が軽減されることは一歩前進だ。『疾病の治療』の観点で単焦点より質の高い多焦点レンズが登場すれば、レンズ代も含めた保険適用が期待できる。メーカーなどの動向を注視しながら、それを待ちたい」としている。