EANコード

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EANコードの例

EANコード(イアンコード、European Article Number)は、商品識別コードおよびバーコード規格の一種である[1]。日本の規格は「JANコード」(Japanese Article Number) と称し、日本で最も普及している商品識別コードである[2]

EANコードから生成されたバーコードシンボルは、市販される多くの商品にソースマーキングとして印刷または貼付され、POSシステム、在庫管理、サプライチェーン・マネジメントの受発注システムなどで価格や商品名を検索するためのキーとして使われる。EANコードの前に1桁あるいは拡張型として0で始まる3桁の物流識別用の数字を付加したものは、集合包装用コード、あるいはバーコードシンボルの体系をそのまま呼称としてITFコードと呼ばれ、チェックディジット部は元のEANコードと異なる。

EANコードは単なる「コード」であるため単体では利用されず、商品名や価格などの情報を蓄積したデータベースシステムに連動し、検索キー入力作業を機械化する目的で使用される(EANコードは商品を識別する番号として使われ、商品番号、商品名、価格などの情報は別の台帳で管理される。EANコードの商品コードと商品番号は一致していることが多いが必須ではない。)。

JANコードの規格・構成[編集]

JANコードは、欧州で規格化された「EANコード(イアンコード)」や、これより先に米国で規格化されて主に北米で使用される「UPCコード英語版」などと互換性がある。「JIS B 9550 共通商品コード用バーコードシンボル」として1978年に標準化され、1987年にX(情報処理)部門が新設されてJIS X 0501となった。

UPCコードを参考に規格化したEANコードをベースとしており、UPCコードに上位互換している。

JAN/EANは13桁または8桁で構成され、日本のPOSシステムは多くがUPCを利用可能だが、UPCは12桁または8桁で構成され、UPCのみに対応する北米のPOSシステムはJAN/EANを利用できない。8桁コードもUPCとJAN/EANは互換性がない[注釈 1]。対象国を限定しない商品はUPC単記あるいはUPCとEAN併記している。

UPCは2005年からEAN/JANと同じコード体系へ移行し、国コードの10 - 13を米国とカナダに割り当てる。

※UPCの体系変更に伴い、従来“10”と“11”を使用していた雑誌バーコードは、2004年6月1日発売分の雑誌から、“491”で始まる13桁にアドオンコード5桁を追加した合計18桁で構成するJANコード体系に沿った仕様へ変更した。

コード体系[編集]

日本は、国コード“49”または“45”の13桁標準タイプまたは8桁短縮タイプを使用している。13桁は

または

  • 国コード(2桁)
  • メーカコード(7桁)
  • 商品コード(3桁)
  • チェックディジット(1桁)

で構成する。

8桁は

  • 国コード(2桁)
  • メーカコード(4桁)
  • 商品コード(1桁)
  • チェックディジット(1桁)

で構成する。

日本のメーカコードや商品コードなどの情報は「一般財団法人流通システム開発センター」が一元管理している。

生鮮食品や会員証など販売店がバーコードラベルを作成して貼付するインストアマーキングは、先頭の国コードにUPC互換の“02”“04”、または“20” - “29”を使用する[注釈 2]。先頭が02のコードは、データベースの売価を参照しないNON-PLU (non-price lookup) で、計量商品などで使用する。

  • 国コード(2桁)02 ※UPCでは1桁で2
  • 商品コード(5桁)
  • 価格チェックディジット(1桁)
  • 価格(4桁)
  • チェックディジット(1桁)

仕様[編集]

EANコード(JANコード)は、13桁または8桁の数字のみで構成する。これを幅の異なるスペースとバーで表現し、商品にマーキングする。バーコードは「白い隙間と黒棒」と表現されることが多いが、投射光に対する反射率の差異が規定を充たせば、色調に規定はない。

多くはバーコード下部に数字が記載され、バーコードスキャナで読取できない場合にコードを目視する。OCRBフォントが多い。

バーとスペースを構成する一定幅の単位要素を「モジュール」と呼び、各モジュールは白または黒の情報をもつ(即ちモジュールはバーあるいはスペースの最小幅であり、ここでいう白または黒の情報はそれぞれ最小幅のスペースとバーを指す)。このモジュールを複数並べて、いろいろな幅のバーやスペースを表現する。EANコードは、バーおよびスペースの幅が4種類ある「4値コード」で、1キャラクタ(1桁)は7モジュールで、2つのバーと2つのスペースで構成される。

1キャラクタ分の7モジュールを順に「白黒黒黒黒白黒」とした場合は、「幅が1のスペース」「幅が4のバー」「幅が1のスペース」「幅が1のバー」となる。これで1キャラクタとなり、このようにして作成したキャラクタを連続して配置する。さらに左右にマージンとガードバー、中央にセンターバーを配置し、合計113モジュールで13桁のEANコード「標準バーコード」となる。

※左マージン(11)+左ガードバー(3)+データキャラクタ6桁(42)+センターバー(5)+データキャラクタ5桁(35)+チェックディジット1桁(7)+右ガードバー(3)+右マージン(7)=113モジュール

8桁で構成される「短縮コード」の場合は、左右のマージンが7モジュールに短縮されることと、データキャラクタが4+3桁になる点が異なるだけで他は同様となり、全体では81モジュールで構成される。

※左マージン(7)+左ガードバー(3)+データキャラクタ4桁(28)+センターバー(5)+データキャラクタ3桁(21)+チェックディジット1桁(7)+右ガードバー(3)+右マージン(7)=81モジュール

EAN国コード一覧[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ UPCの8桁コード(UPC-E)は、ソースマーキングの場合は元の12桁コード(UPC-A)の0を規則に従い省くことにより導き出す。先頭の数字は必ず0で、シンボル上には表現されない。チェックディジットは元の12桁で計算する。インストアコードの場合は中間の6桁を010000〜079999で表す
  2. ^ 商店によっては、ポイントカードの会員番号に“04”(UPC 4)・“20”〜“29”ではない番号から始まるものがあり、重複するコードの商品を扱えないという問題がある

出典[編集]

  1. ^ EANコード一般財団法人日本情報経済社会推進協会.2023年12月5月閲覧
  2. ^ GTIN(JANコード)一般財団法人日本情報経済社会推進協会.2023年12月5月閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]