日本

  • 日本は 25~34 歳人口の半数以上が高等教育修了者である 14 の OECD 加盟国の 1 つに入る。2000 年から 2021 年の間に、25~34 歳人口における高等教育修了者の割合は 17 ポイント増加した。

  • すべての OECD 加盟国と同様に、日本でも高等教育段階の在学者の大半は学士課程の学生である(70%)。次いで多いのは短期高等教育の学生で 19%を占める。

  • 初等教育から高等教育までの教育段階で、日本の在学者 1 人当たり年間教育支出は、2019 年時点で平均 12,474 米ドル(GDP 購買力平価による米ドル換算額)である。高等教育段階だけでは年間 19,504 米ドルとなる。

  • 日本の初等から高等教育段階での一般政府総支出に占める公財政教育支出の割合は 7.8%であり、これは OECD 平均を下回った。高等教育段階における私費負担の割合は 67%に達し、OECD 平均 31%を上回った。

  • 日本では、高等教育段階の学生の 79%が独立私立教育機関に在籍するが、これは OECD 平均 17%を大きく上回る。

  • 日本の年間授業時間数は初等教育段階では 750 時間、前期中等教育段階では 609 時間(普通課程)

  • 、後期中等教育段階(普通課程)では 507 時間である。日本の場合、後期中等教育段階の教員の勤務時間については、71%が公的に授業以外の業務に充てられる。この割合は OECD 平均を上回る。

  • 日本では、幼児教育が計画的教育目標の提供を開始する年齢は 3 歳である。3 歳未満児の幼児教育在学率は 3%であるが、3~5 歳児の在学率は 95%であり、これは OECD 平均を上回る。

  • 学歴水準は OECD 加盟国全体で上昇しており、特に高等教育段階において顕著である。25~34 歳人口に占める高等教育修了者の割合は、2000 年から 2021 年の間に加盟国平均では 21 ポイント増加した。それよりはペースは緩やかであるものの、日本も同様に 17 ポイント増えた(2000 年 48%、2021 年 65%)(図 1)。日本は 25~34 歳人口の半数以上が高等教育修了者である 14 の OECD 加盟国の 1 つに入る。

  • 日本を含む大半の OECD 加盟国では、高等教育修了者はそれより低い学歴の者よりも学校教育以外の教育・訓練への参加率が高い。2012 年時点で、日本の 25~64 歳人口で調査前の 1 年間に学校教育以外の教育・訓練に参加した者の割合は、後期中等教育を最終学歴とする者では 21%であったのに対し、高等教育修了者では 55%であった。

  • 高等教育への進学は、学生とその家族にとって、授業料と所得放棄、生活費による費用負担を伴うことが多いが、十分な財政支援を受けられる場合もある。そうは言っても、授業料や学生に対する財政支援政策に関しては国によってかなりの差異がある。日本では、国公立機関の授業料は学士課程で 5,144 米ドル、修士課程で 5,139 米ドルである。

  • 高等教育に対する需要の高まりを受け、この数十年間、独立私立機関の設置が続いている。OECD 平均では、独立私立教育機関に在籍する学生の割合は 17%であるが、この数値は加盟国間での大幅な差異を反映したものではない。例えば日本では、高等教育機関の学生の 79%が独立私立教育機関に在籍している。すべて の OECD 加盟国およびデータ入手可能な国(チリおよびリトアニアを除く)では、独立私立機関の年間平均授業料は、国公立機関の修士課程における授業料より高額である。

  • パートタイム在学を可能にするというのは、高等教育への進学を促す重要な方策である。パートタイム学生の多くは、例えば子育てや学費工面のために働かなければならないといった理由からフルタイムで学ぶことが難しい。日本の場合、高等教育段階に占めるパートタイム学生の割合は 7%で、OECD 平均 22%を下回る。2013 年に比べ、その割合は減少している。

  • 高等教育段階で働く職員は、資格を得るために必要な教育を受ける期間の長さから、比較的遅くにキャリアをスタートさせる傾向にある。日本では、高等教育機関で働く職員で 30 歳未満の者は全体の 2%を占めるに過ぎず、この割合は OECD 平均 8%を下回る。対照的に、50 歳以上である教職員の割合は 47%と、OECD 平均を 7 ポイント上回る。

  • 日本では、義務教育は 6 歳で始まり 15 歳で終わる。人口の 90%以上が教育機関に在学する年齢範囲は義務教育期間より長く、4~17 歳である。これは、他の多くの OECD 加盟国と同様である。

  • 幼児教育に参加する年齢は、国によって大きく異なる。日本では、幼児教育が計画的教育目標の提供を開始する年齢は 3 歳である。3 歳未満児の幼児教育在学率は 3%である。OECD 加盟国における 3 歳未満児の幼児教育在学率は平均 27%であるが、実際は 1%未満から 63%までと大きな開きがある。3~5 歳児の在学率は、すべてのOECD 加盟国で大幅に上昇している。日本では、同年齢の幼児の 95%が幼児教育機関に在学するが、これは OECD 平均を上回る。

  • ほぼすべての OECD 加盟国で、後期中等教育普通課程修了者では女性の割合が大きい。日本の場合、 51%である(OECD 平均は 55%)。対照的に、ほとんどの OECD 加盟国で、後期中等教育職業課程の修了者には男性の占める割合が大きい。これは日本も同様で、後期中等教育職業課程修了者の 57%が男性であるが、これは OECD 平均 55%をやや上回る。

  • 各国の教育制度における大きな差異の 1 つが、後期中等教育職業課程が高等教育への進学機会を提供するか否かという点である。日本を含む 12 の加盟国およびその他の参加国では、後期中等教育職業課程在学者のほぼすべてが課程修了後すぐに高等教育に進学することができる。

  • すべての OECD 加盟国と同じく、日本の高等教育機関の学生の大半は学士課程に在籍する(70%)。しかしながら、次に一般的な課程については国ごとに違いがみられる。日本の場合、短期高等教育課程に在籍する学生が 2 番目に多く、その割合は 19%である。他の 13 の OECD 加盟国が日本と同様であるが、データの入手可能な 26 の加盟国では、修士課程に在籍する学生が 2 番目に多い。

  • すべての OECD 加盟国が、国民産出高のかなりの割合を教育機関に充てている。2019 年時点で、初等から高等教育機関に対する支出の対 GDP 比は OECD 平均 4.9%、日本では 4.0%であった。

  • 日本の一般政府総支出に占める初等から高等教育への公財政支出の割合は 7.8%(図 2)で、 OECD 平均 10.6%を下回った。また、対 GDP 比でも 3.0%となり、OECD 平均 4.4%を下回っている。

  • 教育機関への支出の対 GDP 比は、各国の予算決定において教育がどの程度の重要度を持つかを測る重要な尺度となる。しかしながら、GDP 水準および学生数は国ごとに異なるため、在学者 1 人当たりに対する資金配分の総額を示すものではない。初等教育から高等教育までの在学者 1 人当たりの年間教育支出は OECD 平均で 11,990 米ドル(GDP は購買力平価による米ドル換算額)である。これに対して、日本の 2019 年時点での 在学者 1 人当たり教育支出は 12,474 米ドルであった。6~15 歳の在学者 1 人当たり教育支出の累計総額 は 101,399 米ドルで、OECD 平均 105,502 米ドルをやや下回った。

  • OECD 加盟国では、カリキュラム、教授法、組織的な運営という面で、初等から中等教育段階における教育の提供は類似性を持つことが多い。このため、初等から高等教育以外の中等後教育における在学者 1 人当たり平均教育支出も類似する傾向を持つこととなる。OECD 加盟国の平均では、在学者 1 人当たり教育支出は初等教育段階で 9,923 米ドル、中等教育段階では平均 11,400 米ドルとなる。日本の場合、初等教育段階 で平均 9,379 米ドル、中等教育段階では平均 11,493 米ドルである。

  • 下位の教育段階とは対照的に、高等教育段階の支出は OECD 加盟国内で著しく異なる。ほぼすべての OECD 加盟国と同様に、日本の高等教育段階での在学者 1 人当たり教育支出額は、他の教育段階より大きい。日本の場合、在学者 1 人当たり平均年間教育支出は 19,540 米ドルで、初等教育段階の支出と比べると約 10,100 米ドル、中等教育段階の支出では 8,000 米ドル高くなる。OECD 平均を上回る額であるが、これは他の多くの国でも同様である。

  • すべての OECD 加盟国で、非高等教育(初等教育・中等教育・高等教育以外の中等後教育)では、私的部門への資金移転後であっても公財政支出が教育資金の財源の大半を占める。2019 年時における私費負担の割合は、初等教育・中等教育・高等教育以外の中等後教育段階ではOECD 平均 10%であるが、日本の場合 7%であった。対照的に、高等教育段階では、すべての OECD 加盟国で私費負担の割合がより大きかった。日本では、高等教育段階で私費負担の占める割合は 67%に達し、OECD 平均 31%を上回った。

  • 全調査年のデータがあるOECD 加盟国では、前期中等教育段階(普通課程)で、最も一般的な教員資格を持つ勤続年数 15 年の教員の法定給与は 2015 年から 2021 年にかけて平均 6%上昇した。対照的に日本では、前期中等教育段階の教員の法定給与上昇幅は概ね低水準にとどまった(実質ベース)。

  • 国公立教育機関で標準的な教員の平均法定授業時間数は、OECD 加盟国では教育段階が上がるにつれて減少する傾向にあるが、これは 日本にもあてはまる。

  • 当局が定めた規定または契約に基づき、日本では、年間授業時間数は初等教育段階で 750 時間、前期中等教育(普通課程)では 609 時間、後期中等教育段階 (普通課程)では 507 時間となっている(図 3)。

  • 教員は、勤務時間内に授業計画や準備、採点や保護者対応など様々な授業外業務に従事する。後期中等教育段階では、OECD 平均 56%に対し、日本の教員は勤務時間の 71%を、授業の計画や準備、課題作成といった授業以外の業務に公的に費やしている。

  • 初等および前期中等教育段階の教員の教員養成期間は、OECD 加盟国では 2.5~6.5 年とばらつきがある。日本の場合、前期中等教育(普通課程)の教員志望者は通常 4 年間、教員養成課程を履修する。初等教育段階の教員志望者の履修期間も同様である。ほぼすべての OECD 加盟国で、初等および中等教育段階の教員志望者には教員養成課程修了と同時に高等教育の学位が授与される。

  • データのあるほとんどの国で、普通課程のすべての教員に継続的な職能開発が義務づけられているが、日本は例外である。中等教育段階の教員では職能開発活動が義務づけられている場合がある。

  • ほとんどの国が、休校措置が学習成果に与える影響について各教育段階や様々な側面にわたる評価を実施した。日本の場合、パンデミックの影響およびそれが初等・前期中等教育にどのようなインパクトを与えたかの評価調査が行われた。調査は数学と読解力についての評価を含んでいる。

  • 2022 年度は、パンデミックの影響を受ける在学者への支援政策として、就学前・初等・前期中等・後期中等普通課程および職業課程を対象とする取組みが実施された。初等から後期中等教育段階では、新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえた取組みとして、児童生徒への心理社会的・精神保健支援、飲料水や生理衛生用品の提供が行われた。

  • 多くの OECD 加盟国で、パンデミックは教育のデジタル化を推し進めることとなった。日本の場合、初等および中等教育(普通課程)段階で、1 人 1 台の学習者用 PC 整備、電子評価・試験の強化、学校におけるデジタルツールの活用、遠隔学習、ハイブリッド学習、教員および生徒へのデジタル研修といった対応がとられている。

参考文献

OECD (2021), Education at a Glance 2022: OECD Indicators, OECD Publishing, Paris, https://doi.org/10.1787/3197152b-en.

OECD (2022), “Regional education”, OECD Regional Statistics (database), https://dx.doi.org/10.1787/213e806c-en.

  • 『図表でみる教育 2022 年版』についての詳しい情報及び全インディケータは下記ウェブサイトでご利用になれます。https://doi.org/10.1787/3197152b-en

各指標のデータ収集の際に用いられた方法論、出典資料、各国についての注記などの詳細は、Annex3 をご覧ください。https://www.oecd.org/education/education-at-a-glance/EAG2022_X3.pdf)

方法論についての一般的な情報は、下記資料をご覧ください。OECD Handbook for Internationally Comparative Education Statistics: Concepts, Standards, Definitions and Classifications (https://doi.org/10.1787/9789264304444-en)

最新のデータは https://doi.org/10.1787/eag-data-en、および報告書に掲載されている各図表の下にある StarLinks2 で閲覧可能です。

さらに詳しいデータ及び分析は、Education GPS をご覧ください。https://gpseducation.oecd.org/

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)への教育的対応に関するデータは、国際連合教育科学文化機関( UNESCO)、ユネスコ統計研究所(UIS)、国際連合児童基金(UNICEFF)、世界銀行及び OECD による協同事業である Survey on Joint National Responses to COVID-19 School Closures に基づき OECD が収集し所有するものです。

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