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新書コーナーの棚端にある平台に展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

新書コーナーの棚端にある平台に展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。平日の夕方のビジネス書売り場は閑散としている。「前年比で5~7割の水準を行ったり来たり」というのがこのところの売り上げ状況だ。そんな中、書店員が注目するのは、10~20代の若者に向けて気鋭のエンジェル投資家が檄(げき)を飛ばした伝説の講義を一冊にまとめた新書だった。

聴衆は29歳以下に限定

その本は瀧本哲史『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社新書)。19年8月に病のため47歳の若さで亡くなった瀧本氏が死の7年前、東京大学伊藤謝恩ホールに29歳以下の聴衆約300人を集めて行った2時間の伝説的講義を完全収録したという一冊だ。瀧本氏はエンジェル投資家や経営コンサルタントとして活躍したのに加えて、京都大学客員准教授として教壇に立ち、「起業論」や「交渉論」などの授業を担当し、次世代への教育に力を注いだ。

本書を編集した星海社新書初代編集長の柿内芳文氏が当時、「京大生だけしか受けられないなんてもったいない! ズルい!!」と強くお願いして実現したのが収録された東大講義だという。「生前の瀧本さんの生の声と熱量の大きさ、そしてその普遍的なメッセージを、リアルに感じてもらえると思う」と、柿内氏はカバー見返しに書きつける。「これから何を学び、どう生きるべきか」。瀧本氏が熱く説いた8年前の言葉は今も色あせない。

目次なし、一気読みの2時間

講義に立ち会っているかのように、目次を置かずに一気に読ませていく。「第一檄 人のふりした猿にはなるな」。最近ヒトを支援していかないとまずいなと思い始めたと語り出し、20代の若者に武器を与え、支援するような活動をした方が世の中を変えられる可能性は高いんじゃないかと語り、本を読んで終わりじゃなくて行動せよと呼びかける。

「第二檄」では教養の重要性を語り、「第三檄」では「下の世代が正しい選択をしていけば、いつかは世の中は変わる」と、時間がかかっても正しい選択をし続ける、それを広めることの意義を語る。休憩を挟んでの「第四檄」になると、会場に集まった約300人とのやりとりを交えながら、「交渉」という武器を持とうと実践的な教えを語り、「第五檄」では、仲間やつながりについて様々な示唆的なエピソードを語っていく。

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