次はハーフタイツが箱根で躍動か 学生長距離界に浸透中 厚底シューズに続き選手の装いにも注目を

前回大会の1区で東海大・塩沢(右)と競り合う法大・鎌田
前回大会の1区で東海大・塩沢(右)と競り合う法大・鎌田

 厚底シューズの次は―。22年箱根駅伝を控える大学長距離界で、ユニホームにハーフタイツを導入する動きが広がっている。前回往路Vの創価大、法大など6校にタイツを提供するミズノの美濃辺淳さん(55)が、このほどスポーツ報知の取材に応じ、タイツ着用の利点や選手の反応を明かした。骨盤を固定し、太ももの振動を抑えることで、効率よい走りにつながるメカニズムを解説した。(取材・構成=細野 友司)

 来年の箱根路は、タイツが席巻するかもしれない。東京五輪男子マラソン6位入賞の大迫傑氏が着用していたことも記憶に新しいが、大学長距離界にも着々と浸透している。ミズノ・グローバルアパレルプロダクト本部の美濃辺さんは「今まで箱根でタイツの選手は少なかったですが、今年は練習からはく選手が増えました。試合でも増えるのではないかと思います」と明かした。

 タイツは骨盤を固定し、太ももの筋肉の振動を抑制する働きがある。「大きな筋肉が揺れると、体は無意識に揺れを止めようとしてエネルギーを使ってしまいます」。ミズノが展開する「バイオギアソニックタイツLD」は、筋振動の軽減により、走行時の酸素消費量を約2.7%削減に成功した。「無駄な力を使わないので、少ない酸素量で効率的に走れる。その分、終盤体力が持って粘れます」。

 科学的な裏付けがあり、タイツ型の着用者も増加。20年大会では210人中11人だったが、21年大会は24人と倍増(ミズノ調べ)。21年大会では、1区の鎌田航生(法大)が区間賞。2区ではライモイ・ヴィンセント(国士舘大)が区間2位の力走につなげた。22年大会も「バイオギアソニックタイツLD」の改良品が6校に提供される。着用するかは各選手の判断だが、美濃辺さんは「夏合宿で試してもらっても好評。手応えが全然違います」と力を込めた。

 これまで長距離界は、動きやすさを重視して短パンが主流。タイツは、動きにくいイメージから敬遠されてきた。ミズノは、得意分野の競泳水着の技術を応用し、動きやすさと適度な締め付けを両立。脚を大きく振り上げて走る障害種目の選手からも「動きを妨げない」と好評を得ているという。厚底シューズの登場で、箱根も一気に高速化が進んだ。タイツの技術革新が、どう貢献するか。選手の装いからも、目が離せない。

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