神戸

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駅の北側にある「神戸駅南駐車場」=神戸市中央区東川崎町1
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駅の北側にある「神戸駅南駐車場」=神戸市中央区東川崎町1
駅の東側にある「神戸駅南口バス停」=神戸市中央区東川崎町1
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駅の東側にある「神戸駅南口バス停」=神戸市中央区東川崎町1
駅の西側にある「中央口北」と記した案内板=神戸市中央区相生町3
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駅の西側にある「中央口北」と記した案内板=神戸市中央区相生町3

方角の不思議

 1874(明治7)年5月、神戸-大阪間の鉄道が開通した。現在の神戸駅は3代目で、1930(昭和5)年にできたときから場所は変わらない。実はこの駅舎、長年にわたって神戸人を惑わせてきたある不思議が存在する。それは、誰が悪いわけでもなく…。

 神戸駅(神戸市中央区相生町3)の北側に「駅南駐車場」があり、東側には「駅南口」のバス停が存在する。他にも、駅から見た方角を冠しているものの、名前がおかしな施設があちこちに点在している。

 なぜこのような事態になっているのか。奇妙な現象について取材を進めると、神戸特有の興味深い背景が分かってきた。

 JR神戸線は県内の瀬戸内海沿いを東西に結び、駅舎も基本的には東西に長いケースが多い。そのため、改札口を通った後の出口は「山側が北、海側が南」という駅がほとんどだ。

 しかし、神戸駅は南北に長く、中央口の改札も南北に出入りする形になっている。そこから山側に出ると方角的には「西」となり、海のあるハーバーランド側は「東」となる。

 ここに「山は北、海は南」と刷り込まれた私を含む神戸人にとって、少し頭の混乱する事態が発生する。

 海があるのは神戸駅の東側だ。しかし「海=南」という神戸特有の“常識”からか、東側の出口すぐの場所にあるバス停は「神戸駅南口」と名付けられている。バス停の反対側(山側)出口に立つ神戸市制作の案内板には「中央口北」と明記されている。

 バス停に並ぶ利用者に声をかけたが「おかしいと思ったことはない」「反対側に山があるから、こっちは南」などの返事だった。

 また、駅をハーバーランド側に出てしばらく北に歩くと「神戸駅南駐車場」があるが、これは駅のほぼ真北に位置する。駐車場を設置した神戸市道路計画課に尋ねると「30年ほど前にできたので詳しい経緯は分からない」とした上で、「類推ですが、やはり駅より海側なので南と名付けたのでは」とのこと。ちなみに駐車場利用者などからの問い合わせや苦情は「聞いたことがない」という。

 ほかにも、ホテルや携帯電話ショップなど、神戸駅周辺の施設名は混沌(こんとん)としているが、神戸上空からの目線で多くの鳥瞰図(ちょうかんず)を描いてきた絵師の青山大介さんは「神戸で生まれ育った人は、どうしても『山は北、海は南』と思い込んでいるので仕方がない。誰に罪があるわけでもなく、神戸ならでは-ですよ」と笑う。

 では、当の神戸駅はどうか。構内を歩き、JR西日本にも尋ねてみることにした。(安福直剛)

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