エリザベス2世女王の崩御により王位と共に女王の莫大な個人資産を受け継いだと言われているチャールズ3世国王。しかし、世界を見回してみると、英国君主をしのぐケタ違いの資産を有するロイヤルたちがずらり。実はチャールズ国王はヨーロッパの王室に限っても、総資産額は1位から程遠い。ここでは世界各国の君主たちの驚きの資産額を昇順で見てみよう。
第18位 フェリペ6世国王(スペイン)
総資産:280万ドル
美人王女姉妹レオノール王女&ソフィア王女の父王であるフェリペ6世。スペイン王室は今年4月、王室の透明性を高めることを目的にフェリペ6世国王の資産額について初公開。約280万ドル(現在のレートで約3億8,000万円)であることを明らかにした。内訳は有価証券と銀行預金で240万ドル、さらに美術品、骨董品、宝飾品などで32万5,000ドルとなっていた。
フェリペ国王がこのかなり控えめな額の総資産について公にしたのは、2014年に退位した父の前国王ファン・カルロス1世の不正金銭授受疑惑を巡って王室への信頼が大きく揺らいでいたため。王室の汚職スキャンダルとは自身は無関係であることを国民に向けてアピールした。
なお、スペイン政府が発表している2022年の王室予算は約843万ユーロ(約12億3,000万円)で、その中からフェリペ国王に約25万ユーロ(約3,650万円)、妻レティシア妃に約14万(約2,050万円)ユーロの給与が支払われている。
写真/フェリペ国王を中央に左から、母ソフィア妃、レオノール王女、国王を挟んで妻レティシア妃、ソフィア王女
第17位 フィリップ国王(ベルギー)
総資産:1,300万ドル
2013年に父アルベール2世からベルギー王座を譲位された際、自分の資産は1,300万ドル程度と発表したフィリップ国王。ベルギーの王室費はフィリップ国王のために直接使われる費用の全額をカバーしており、その額は最低でも毎年1155万4,000ユーロ(約16億9,000万円)となっている。また、ベルギー王室の財産は国か公的機関である王室信託が所有しており、勝手に信託財産が売却されることは決してないそう。
写真/フィリップ国王と妻マティルド妃
第16位 ハーラル5世国王(ノルウェー)
総資産額:3,000万ドル
1991年よりノルウェー王国の君主を務めるハーラル5世国王は1968年の王太子時代に平民出身のソニア妃と結婚し、マッタ・ルイーセ王女とホーコン王太子をもうけた。総資産額は3,000万ドルと予想されており、欧州王室の中では比較的質素。王室メンバーたちも公共交通機関を気軽に利用したり、公立校に通うなど普通の暮らしぶりが伝えられている。
写真/ハーラル国王と妻ソニア妃
第15位 マルグレーテ2世女王(デンマーク)
総資産:4,000万ドル
今年で在位50周年を迎えたデンマークの女王マルグレーテ2世はエリザベス女王の崩御に伴って、現在最も裕福な女王としてギネスワールドレコーズで紹介されている。女王には王室を運営するための手当てが毎月70万5,000デンマーク・クローネ(現在のレートで約1億4,000万円)支払われており、ここからスタッフへの支払いや、運営費、居住費をまかなっている。
王室のスリム化を進めるマルグレーテ2世女王は今年9月に、2023年1月1日より次男ヨアキム王子の4人の子どもたちから王子、王女の称号をはく奪すると発表して話題に。
写真/マルグレーテ2世女王(中央)と、長男夫妻であるフレデリック王太子&メアリー妃とその子どもたち。世継ぎのクリスチャン王子(右から2番目)を始め、彼らは今後も王子・王女であり続ける予定。
第14位 カール16世グスタフ国王(スウェーデン)
総資産:7,000万ドル
1973年、わずか27歳で王位に就いたスウェーデンのカール16世グスタフ国王。1976年からシルヴィア王妃と結婚し、2人の間にはヴィクトリア王太子、カール・フィリップ王子、マデレーン王女の3人の子供がいる。2019年には王室の人数が増えて、費用がかかりすぎている、という国民の声を受けて5人の孫たちを正式な王室から除名し、欧州王室のスリム化の先鞭をつけた。推定総資産7,000万ドルの中には、エーランド島にある王室の夏の邸宅であるソリデン宮殿の私的所有権なども含まれている。
第13位 ウィレム=アレクサンダー国王(オランダ)
総資産:2億~3億ドル(ベアトリクス前国王)
不動産を所有するほか石油会社「ロイヤル・ダッチ・シェル」の大株主であり、他の複数のオランダ企業にも投資するオランダ国王。その正確な保有資産額は明らかにされていないが、現在ベアトリクス前国王(中央)が所有する2億~3億ドルと言われる莫大な資産は、ウィレム=アレクサンダー国王に、そして将来は未来のオランダ女王となるカタリナ=アマリア王女(左)へと引き継がれていくだろう。
オランダ王室は経費が高いことでも知られており、2021年の王室予算は4,750万ユーロ(約63億円)。ウィレム=アレクサンダー国王は99万ユーロ(1億3,000万円)の収入と510万ユーロ(約6億8,000万円)の経費を受け取ったと言われている。
第12位 チャールズ3世国王(イギリス)
総資産:5~6億ドル
2022年9月8日に母エリザベス2世女王の崩御により、新たに英国の君主となったチャールズ3世は、同時に、エリザベス女王の個人資産約5億ドルを非課税(!)で相続。これは、君主から君主へ継承される資産は相続が免除されることがイギリスの法律で定められているからだそう。
ちなみに、チャールズ国王は皇太子時代はコーンウォール公領から年間2,000万〜3,000万ドルの個人所得を得ていたが、現在はウィリアムに引き継がれている。
第11位 アブドゥッラー2世国王(ヨルダン)
総資産:7億5,000万ドル
1999年2月、父フセイン国王の死去に伴い、ヨルダン国王となったアブドゥッラー2世の所有する総資産は7億5,000万ドルと言われる。2021年にはリークされたタックスヘイブンの会社の内部資料「パンドラ文書」で過去10年間に米国と英国で密かに1億ドル相当の不動産を購入したことが明らかになっているが、アブドゥッラー国王は不正はないと反論している。世界で最も美しくエレガントなロイヤルの1人とされる妻ラーニア妃との間には4人の子どもがいる。
第10位 アルベール2世公(モナコ)
総資産:10億ドル
人口3万9千人、世界で2番目に小さい国ながら、富裕層優遇の税制に世界中からセレブが集まり、居住者の32%が資産100万ドル以上の億万長者というモナコ。この国を治めるモナコのアルベール2世公はイギリス国王チャールズ3世よりリッチ! 個人資産の多くを占めるのは不動産で、モナコの4分の1の土地を所有するほか、フランスやアメリカにも不動産を所有。また、モナコにおけるカジノ経営の独占的権利を持つ企業「ソシエテ・デ・バン・ド・メール」の株主でもある。
2011年に南アフリカ出身の元オリンピック競泳選手であるシャルレーヌ・ウィットストックと結婚。2人の間には愛らしい双子ガブリエラ公女とジャック公世子がいる。
第9位 タミム・ビン・ハマド・サーニ首長(カタール)
総資産:12億ドル
現在2022 FIFAワールドカップが開催されているカタールのタミム首長。2013年に即位し、42歳と世界の君主の中で最年少だ。カタールは石油や天然ガスなどエネルギー資源に恵まれ、第二次大戦後に急速に経済発展。サーニー家は豊富な石油と天然ガスの資金を投資する政府系ファンド、カタール投資庁を通じて、莫大な富を積み上げている。
写真/2022 FIFAワールドカップのカタール対エクアドル戦をFIFA会長のジャンニ・インファンティノ氏(右)と観戦するタミム首長
第8位 ムハンマド6世国王(モロッコ)
総資産:20億ドル~
1999年、父王ハサン2世の崩御によりモロッコ国王に即位したムハンマド6世は国内最大の銀行や鉱山会社、砂糖メーカーなど複数の上場企業の株式を保有する持ち株会社「SNI」の株式を所有。総資産は少なくとも20億ドル以上と言われており、2015年のフォーブズ誌はムハンマド国王の総資産を57億ドルと見積もっている。
2002年に一夫一妻で娶ったラーラ・サルマ王妃との間には一男一女をもうけており、長男で王位継承順位第1位のハサン王太子(左)はその見目麗しさで注目されている。
第7位 アンリ大公(ルクセンブルグ)
総資産:40億ドル
ベルギー・フランス・ドイツに囲まれた、人口65万人ほどの小さな国であるルクセンブルグだが、租税地(タックスヘイブン)として栄え、2022年の国民一人当たりのGDPが11万ドルを超えて世界1位になるなど、ヨーロッパで最も裕福な国として知られる。この国を世襲制で治めているのがナッサウ=ヴァイルブルク家で、現国家元首アンリ大公の総資産は40億ドルと言われている。ルクセンブルグ公室は給与は受け取っていないが、ロイヤルとしての出費を賄うために、毎年32万5,000ドルが助成金として国庫から支出されている。
写真/アンリ大公と妻マリア・テレサ大公妃
第6位 ムハンマド・ビン・ラシド・マクトム首長(ドバイ)
総資産:40億ドル
2006年、アラブ首長国連邦のうちの1つであるドバイの首長に就任。アラブ首長国連邦の副大統領、首相も兼任する。ドバイに投資マネーを呼び寄せ、観光の中心地へと転換させた立役者だが、一方で娘のシャムサ王女やラティファ王女らが過去に逃亡を試みたほか、2019年には妻ハヤ妃(右)が子どもをつれて英国へ亡命するなど影の部分も。ハヤ妃との離婚調停で2021年、英裁判所がマクトム首長に800億円を超える支払いを命じて話題に。
第5位 ハンス・アダム2世公爵(リヒテンシュタイン)
総資産:50億ドル
リヒテンシュタインを治めるのは、国名にもなっているリヒテンシュタイン家。スイスとオーストリアに囲まれた、日本の小豆島とほぼ同じ大きさしかない小国だが、タックスヘイブンとして知られ、金融業で栄えるほか、切手印刷、精密機械や化学製品の製造業、観光業なども盛んだ。
現在の国家元首であるハンス・アダム2世公爵は国内の主要銀行や投資会社のオーナーを務め、美術品、オーストリアに所有する不動産などから収益を得ており、ヨーロッパの君主のなかで最も多くの資産を有している。
第4位 ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領(アラブ首長国連邦)
総資産:150億ドル~
2022年5月に兄であるハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領(当時)の死去に伴い、アブダビ首長兼UAEの第3代大統領に就任。“世界最大の投資ファンド”の一つと呼び声高い余剰石油埋蔵量を管理するアブダビ投資庁(ADIA)の会長を務め、そこから多くの富を得ている。
第3位 サルマン国王(サウジアラビア)
総資産:180億ドル
世界2位の原油生産国サウジアラビアの第7代国王サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウード。現在86歳と高齢で、認知症を患っているとも噂されており2015年の即位時から統治関係は息子のムハンマド・ビン・サルマーン王太子に任せている。2015年には3週間で約6,800億円使ったと言われるサウジ王族の南仏のバカンスが話題に。
第2位 ハサナル・ボルキア国王(ブルネイ)
総資産:200億ドル
首相、財務大臣、国防大臣、外務貿易大臣を兼任し、事実上の絶対君主と言えるブルネイ国王。現在のハサナル・ボルキア国王は1967年に即位した。ブルネイはボルネオ島にある小さな国だが、石油・天然ガスの資源に恵まれており、国王の個人資産200億ドルは主に、石油・ガス産業からの利益によるものだ。部屋数1,788室を誇る世界最大級の宮殿で暮らし、高級車を約7,000台(!)所有しているそう。
第1位 ラーマ10世国王(タイ)
総資産:440億ドル
2016年にラーマ9世の崩御によりタイ王国の国王になったラーマ10世は現在、世界で最も裕福な王として知られる。その資産は440億ドル(約5兆9,688億円)とも。皇太子時代から主にドイツに滞在しており、コロナ禍ではドイツの高級ホテルに複数の愛人と長期滞在のスキャンダルが報じられ問題に。545カラットと世界最大の研磨済みダイヤモンド「ザ・ゴールデン・ジュビリー」を所有している。
写真/2019年に行われた戴冠式の様子
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