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飼い猫に多い腎臓病の治療薬の臨床試験を、東京大などが来春にも計画していることがわかった。薬の開発はコロナ禍の影響で中断していたが、東大に愛猫家らから計2億円超の寄付が集まったことをきっかけに、臨床試験に協力する企業が現れたという。
猫は5歳頃から腎機能に異常が出始め、死に至ることもある。しかし、現在、有効な治療法がない。東大の宮崎徹教授(免疫学)らの研究チームは2016年、腎臓にたまる老廃物の除去に必要なたんぱく質「AIM」が、猫ではうまく機能していないことを解明した。
そこで、チームは猫に人工のAIMを薬として投与し、腎臓病の進行を抑える臨床試験を計画した。ところがコロナ禍で協力企業が出資を見送り、開発は中断に追い込まれた。今年7月、苦境がインターネットの記事で伝えられると、東大に寄付が殺到し、新たに国内の製薬企業が支援を申し出たという。
臨床試験では、30匹以上の猫にAIMを投与し、偽薬を与えたグループと比較して、安全性や効果を検証する。結果が出るのは試験開始から約1年後で、チームは猫用の医薬品として農林水産省の承認を得たい考えだ。
東大への寄付金は10月末時点で2億2000万円以上が集まり、創薬に必要な基礎研究に活用される見込みだ。臨床試験全体では10億~20億円の費用が必要だという。宮崎教授は「一般の方からの応援や寄付が力になった。成功させたい」と話している。