箱根駅伝 “元祖コース間違い”「寺田交差点」誕生には“伏線”があった？ 寺田夏生「ちゃんと箱根を見たのは、走る前日の往路が初めてでした」

　先の東京マラソンで、世界記録保持者のエリウド・キプチョゲを含む先頭集団が一瞬コースを間違えたことは記憶に新しい。今年の箱根駅伝でも、最終10区で法政大の川上有生がゴール直前にコースを外れかけたことが話題となった。

　この2つのシーンを見て、寺田夏生（JR東日本）はこんなことを思ったという。

「東京マラソンは白バイの先導が原因でしたよね。だから、それほど……。でも箱根の方はまさに自分と同じ場所だったので、思わず『分かるよ』ってつぶやいてしまいました（笑）」

　復路当日、寺田のTwitterにリアルタイムでつぶやかれたこの一言は、ネット上を大いにざわつかせた。元祖「コースを間違えた選手」が率直な反応を示したことに、駅伝ファンが歓喜の声を上げたのだ。

あの交差点について「ここが僕のアナザースカイです」

　今から11年前の第87回箱根駅伝で、國學院大の1年生だった寺田は復路10区を走り、劇的なアンカー勝負を演じた。残り1kmを切ってなお、4人のランナーが8位集団を形成。内1人だけがシード権を逃すという状況で、そのハプニングは起きた。ゴールまで残り200mとなったところで、寺田が渾身のラストスパートをかける。勝負あったかと思った次の瞬間、コースを大きく逸れて、沿道の観衆の悲鳴を誘ったのだ……。

　今、その場所は「寺田交差点」と呼ばれ、駅伝ファンが語り継ぐ名（迷）シーンのひとつとなっている。

「寺田交差点」を訪れた寺田夏生（2016年）　©Shiro Miyake

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　もちろん、本人にとっても忘れがたい記憶なのだろう。寺田のTwitterにはこんなつぶやきも見られる。「ここが僕のアナザースカイです」のひと言とともに、寺田交差点に立つ自身の姿を写真で公開しているのだ。

「あれを撮ったのは確かコロナになる前の年だったかな。毎年、大学の先輩と大手町まで母校の応援に行っていて、大会終了後に撮ろうかみたいな話になったんです。大学1年生の時にあそこでコースを間違えてから、本当にいろんな人に応援してもらえるようになった。自分もそれを楽しんでますし、あの場所こそが原点ですね」

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