今まで何百万回も聞いてきた。1日の食事の中で朝食が一番大事だと。けれど、ボリュームたっぷりの朝食を食べると余計にお腹がすくという人が多いのはなぜなのだろう?それに、一時的断食や朝食をいっさい食べないことにする人が増えているのはなぜなのだろうか?

そこで栄養士のジャッキー・リンチ(Jackie Lynch)に、朝食を食べると余計お腹がすくことがあるのはなぜか、何を食べればいいのか、聞いてみた。
 

朝食を抜いた時より食べた時のほうがお腹がすくのはなぜ?

糖分か精製炭水化物、あるいはその両方が多い朝食を食べると、血糖値が急激に下がります。そうした食品を食べると血糖値が急上昇するのですが、上がったものは必ず下がるのです!朝食を食べてから2〜3時間後には完全に空腹になるとしたら、それは血糖値が下がったということです。
 

では、朝食に何を食べればいい?

血糖値を一定レベルに保つために必要な栄養素は、繊維質とタンパク質の2つ。繊維質は、全粒パンや全粒オーツなど全粒穀物食品に含まれています。これらはゆっくりリリースされる炭水化物ですから、体はそれらをゆっくり燃焼させます。つまり、エネルギーがより長く持続するのです。タンパク質は消化に時間がかかるので、炭水化物がリリースされる速度を遅くしますから、エネルギーが持続し、満腹感を長く保ちます。

ポイントは、朝、何をチョイスするかです。あなたはトースト派ですか、シリアル派ですか、それとも調理した朝食を食べるタイプですか?

Smoothie bowl with banana, strawberry, blueberry, granola and pomegranate
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トースト好きであれば、迷わず全粒かライ麦パンを選びましょう。白いパンのトーストよりずっと繊維質が豊富です。それにタンパク質を加えればいいのです。簡単なのは卵で、タンパク質の優れた供給源ですが、朝そんなことをするのは面倒くさいという人もいます。その場合は糖分を加えていないナッツバターを塗りましょう。ピーナツかアーモンドバターはタンパク質の優れた供給源ですが、糖分を加えていないものを選んで。でないと、血糖値の急上昇という同じ問題が起こります。

シリアル派の人は、ラベルをチェックして、糖分がたっぷり加えられていないか確認しましょう。精製炭水化物たっぷりでないことをチェックするのも重要です。ベストなチェック法は、成分リスト(精製とか強化とか書かれているものは避ける)と、繊維質含有量の両方を確認すること。1回分あたり最低5グラムは繊維質を摂りたいですね。

解決策になるのは、糖分や精製炭水化物があまり含まれていないタイプのシリアルを選ぶこと。よくわからない場合は、100グラムあたりの糖分が5グラム以下であれば、低い値だと見なされます。その上でシリアルにパンプキンやフラックスシードなどシーズ類か、糖分が入っていないナチュラルヨーグルト(糖分量を十分意識して)など、タンパク質をプラスしましょう。

ポリッジ(オートミールを煮たもの)は1日のスタートにすばらしい食品。複合炭水化物であるオーツ麦でできているので、ナッツ類かシーズ類を加えてタンパク質量を増やせばいいだけ。こういう朝食なら満腹感が持続し、血糖値を一定に保ちますから、午前中に血糖値が急降下して、コーヒーとビスケットに手を伸ばしたくなることもありません。

高タンパク質の朝食を食べたのにお腹がすく場合は?

同じことです。血糖値が下がったのです。中には血糖値が敏感で、他の人より反応してしまう人がいます。ですから、スナックが必要な場合は、タンパク質と繊維質を摂りましょう。りんごかサツマ(みかん)にアーモンドかクルミを10粒くらい食べるのがスナックにいいですね。
 

起床後、どのくらいの時間が経ってから朝食を食べればいい?

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起きたら、すぐ食べましょう。とは言え、約11時間は何も食べていなくて空腹であることが前提ですが。また、その人のルーティーンにもよります。多くの人は急いで家を飛び出して行きます。が、その前に燃料を蓄えておくことが大事です。
 

起きた時、お腹がすいていない場合はどうすべき?

Freshly blended fruit smoothies of various colors and tastes
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食べてから9〜10時間経っていれば、起きた時はお腹が空いているはずです。前の晩に何を食べたか考えてみましょう。特に少し吐き気がするようなら、血糖値のアンバランスかもしれません。糖分や精製炭水化物、カフェインあるいはアルコールを多く摂ると血糖値の急上昇につながり、結果的にインシュリンが分泌されて、その後血糖値が下がります。

それで朝、かなり具合が悪く感じることが多いのです。コツは、タンパク質と複合炭水化物(例えば、野菜や全粒)のバランスのとれた食事をし、糖分や精製炭水化物、刺激物を避けて、夜間の血糖値を一定に保つこと。

もし、まったく食べる気にならない場合は、少しは何か口にする訓練をするつもりで、代わりに何か飲むようにしましょう。ほうれん草などの緑の野菜やベリー類、シーズ類を使ったスムージーはいいチョイスです。

一時的な断食では夜中に食べない時間を長くあけますが、これはある特定の状況下でならメリットのある人もいます。が、その日最初に食べる時は、必ずタンパク質と繊維質豊富な栄養価の高い食事を摂るようにしましょう。
 

体が発する声に耳を傾けるべき?

その通り、体の声を聞きましょう。でも、誤解を招くサインに注意することも大事です。例えば、脱水症状の時に、実際に必要なのはグラス1杯の水であるのに、体は空腹だと感じさせてしまうかもしれません。また、朝食を食べることを考えると少し気分が悪くなるのは、前夜に食べたもののせいかもしれません。体は必ずしも必要なものをはっきりとは要求しないのです。ですから、サインを的確に読み取れるように、体と波長をあわせる努力をしましょう。

Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR UK