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第3回契約書面電子化検討会(後) 「第三者の関与のあり方」について各委員が主張

 検討会の後半では「事業者の禁止行為」の他にも、「第三者の関与のあり方」をテーマに活発な意見交換が行われた。そこでは、(公社)全国消費生活相談員協会の増田悦子委員が提示した高齢者を65歳以上に定義してはどうかという意見も議論の対象となった。
 検討会半ば、「決定的に対立しているという感じではない」と河上正二座長が見解を述べる一幕があったが、折り合うことのできそうにない主張のぶつかり合いも散見され、取りまとめに向けた整理において、事業者サイドと消費者団体サイドがどこに着地点を見出すのかが注目される。

 次回、4回目の検討会は30日を予定。座長は個人的な感想として上で、「5回目あたりで取りまとめができれば嬉しい」とコメントした。以下に各委員の主張の概要を紹介する。

 池本委員「一定年齢以上の高齢者の場合は、家族その他の第三者にも提供することを一律に義務づけるという意見が複数あっと思う。私もそのくらいにすることで、高齢者の見守り機能が確保されるのではないかというふうに考えていたが、高齢者自身が自らこの契約をしたいという自己決定権を阻害することにならないかという意見が複数聞かれて、なかなかそこは重たい課題だなというところがあって、それでは、今日説明したものでは、まずは高齢者に対して承諾を取るときに、第三者から同時提供を希望しますかということを質問し、希望した場合には必ず同時提供せよと。
 こういうふうにすれば、その後ではもう、家族には直接送るだけだから、そこでの承諾云々の問題ではなく、あくまでも送れば契約は進行できるということでよろしいのではないか。あと事前に個人情報の問題で同意が必要かどうかという論点もあったが、これは高齢者の方がこの人に提供して欲しいということで提供するのは、家族あるいはある程度認識のある方のアドレスだろうから、そこはもう高齢者の方の内部の問題として整理できるのではないかと考える」

 小田井委員「(具体的に65歳以上を高齢者とする話も出たが)電子交付の場合に、親族に同じものを交付するとか、同意を得るとか、その辺については、もし本当に義務づけを法令でするとなればどういうケースでそうしなければならないかというところは、大変重要な課題になると思う。
 年齢で区切るというのもなかなか難しい議論があるのではないか。だからこそ、業界または企業の自主的なルールで行っていく方がよい」

 増田委員「私は消費生活相談員なので、相談を受けるヘルパーさんであるとか、契約を発見した方からのご相談を受ける立場。本人は問題だというふうに理解してない、あるいは契約したことをよく覚えてない状況であっても、こういう契約をしているということで、非常に福祉の部分と連携が強くなっている。
 そこは自分が解約したいとか言っているわけではないのに、相談として解決をしていくということが今行われている状態。振り込み詐欺などについても、銀行で止めるとか、自己決定権というのがどういうところにあるのか、法的な考え方があると思うが、今は見守るということが何よりもその人の生活を守るという意味で必要なことではないかと思っている」

 河村委員「書面を電子化するにあたっては、導入すべきものだと思っている。いろいろな意見が事業者からも出ていることへの消費者団体としての反論のようなものだが、繰り返すまでもなく、特商法のような消費者に被害が現に起こっているような取引類型の中で、書面というものが持つ消費者保護機能が重要であると、そういう大前提に立つならば、見守り機能のことを考えたら、ある一定の(65歳かどうかは今後決めていくことかなと思うが)、分かりやすい客観的な条件設定をして、事業者が考えるのではなくて同じ透明性、同じルールの中で、一定年齢以上の方に電子交付する場合には、第三者への提供をすることで、内容がきちんと家族にも共有できる。もしそれができなければ書面に戻せばいいことで、何ら問題は契約に関してないというふうに考えている。
 『デジタル機器に不慣れなお年寄りの方が事業者の言われるがままに、本意でない承諾をしてしまったりしないような仕組みも必要』という国会の政府答弁が議事録になっている。そのための方策として、きちんとルール化して、第三者への提供というものがなされない場合には紙の書面にすればいいということで、きちんとルール化すべきだと考えている」

 福長委員「皆様がお話になってることと同じだが、結局紙での交付がないということで気付かれるのが遅いということがあると思う。それで実際のところ、その書面を第三者が見て、契約の内容というのが不適切なものなのかということの判断というのが、一方で難しいところもあるかと思うが、ただそれをきっかけに消費生活センターに繋ぐというようなことがあるので、その機会というのがちゃんと担保されるべきというふうに思っている。
 高齢者の定義というのは本当に難しい。人によって変わるわけだし、そこは検討しなくてはならないが、ただ、ご自身の意思というところを優先して皆で考えるというようなことができるかと思うし、本人が書面でということであれば書面での交付になるわけだから、この第三者(家族)の承諾、承諾というか、そこにも承諾を得た場合に電子書面を送るという規定というのは盛り込めばよい」

 正木委員「まず池本委員のおっしゃる方式は全般としてはまず、良いと思っている。ある意味、65歳以上に限らなくても、例えば、本人でも第2アドレスに送ってほしいとか、1個のアドレスだとひょっとするとサーバーの関係で拒否してしまうかもしれないので、もう1個欲しいとかいうことはあると思うので、年齢では区切る必要はないとは思う。
 一方、これも高柴委員のところに指摘があるのだが、例えばお年寄りの方は家族に送ってと言われて、でも自分は契約書を読んでこれで購入したいと言った時に、送られた家族の方がいやいやこれはしないでくれというふうに事業者に言ったというときに、自己決定権なんで親御さんが言ってるんで、これ契約締結させてもらいますよということになるのだと思うが、そのトラブルの部分をどういうふうにするべきか。ガイドラインでも何でも、ちょっと整理をしないと、突然、自分の親の分の契約書の写しみたいなものを送ってきたけど、もうちょっと何か言いたかったとかいうことにならないように、その仔細の中身を詰めないといけない。電子データなので、送るのは割と簡単だと思う。
 私も国会での参考人のときに『見て欲しいと思ったら簡単に転送できるところが電子データの良いところ』と申し上げたが、第三者の人が見たら、何をいつまでにしなきゃいけないのかとか、どこまでいったら事業者にとって免責なのだとか、その両者の意見が一致しなかったときのことについては、あらかじめ準備しておく必要があると思う」

 高芝委員「家族などの第三者に同時提供するとなると、事業者に第三者の連絡先、アドレスとか氏名を提供することになる。この部分についてのトラブルというのも、やはり懸念されるところ。高齢者の方がここだったら大丈夫だろうということで懸念の少ないところの第三者の方というのが家族だろうが、連絡先などを書いて事業者に伝えることになろうかと思うが、やはり全てがトラブルなしということにもならないのではないか、という懸念が残る。その意味では、第三者の同意を得るというのも1つの検討課題にはなってくる」

(了)

【田代 宏】

関連記事:第3回契約書面電子化検討会(中)

     消費者庁ホームページ(資料掲載)

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