福島原発事故受け官邸で対応、班目春樹・東京大名誉教授が死去…７４歳

　旧内閣府原子力安全委員会で委員長だった東京大名誉教授の班目春樹（まだらめ・はるき）氏が２２日、脳 梗塞（こうそく） で死去した。７４歳だった。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻、千恵子（ちえこ）さん。２０１１年３月に東京電力福島第一原子力発電所で炉心溶融（メルトダウン）事故が起きた際、委員長として官邸で菅直人首相（当時）らと事故対応にあたった。

　東京都出身。専門は原子力安全工学。１９７０年東大工学部卒。２０１０年４月から１２年９月まで原子力安全委員長を務めた。

　原発事故では当時の規制当局である原子力安全・保安院が機能不全に陥ったため、代わりに班目氏が官邸に詰めて対応。東日本大震災発生翌日の１１年３月１２日、菅首相がヘリコプターで同原発を訪問した際も同行した。原子炉建屋の水素爆発を予測できず批判を浴びた。

　津波で非常用電源や冷却設備など複数の安全機能が失われて被害が拡大した。「（そんな事態は起こるはずはないという）割り切りをした。それが今回の失敗の本質ではないか」と書籍の中で振り返った。