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弁護士が警鐘! インスタグラムで“本当に”してはいけない11のこと

実はあなたも無意識のうちにやってるかも? インスタグラムで法律的にOUTなアクションを、弁護士の海老澤美幸さんがレクチャー。

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Christian Vierig//Getty Images

私たちの生活に欠かせない存在のインスタグラム。けれど間違えた使い方をするととんでもない事態に巻き込まれてしまうことも……。自分が普段行っているふとした行動や投稿が気づかずに法に触れていたら大変! すべてが取り締まられているわけでないものの、知っておくだけでもリスクヘッジに。そこで、弁護士の海老澤美幸さんにインスタグラムで本当にしてはいけないことをASK!

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【話を聞いた人】海老澤美幸さん

海老澤美幸
MIDORI YAMASHITA

弁護士 / ファッションエディター

三村小松山縣 法律事務所所属。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、自治省(現 総務省)入省。その後、出版社に転職。海外留学を経て、フリーランスファッションエディターとして『エル・ジャポン』をはじめとするモード誌で活躍するも、36歳の時に一念発起し、弁護士を目指しロースクールへ。現在は、ファッションエディター兼弁護士の二刀流で活躍中。弁護士としてクライアントに対応しつつ、Twitter上や法律相談、セミナーなどで法律との付き合い方を人々に啓発している。

>>海老澤さんの取材記事はコチラ「果敢なキャリアに踏み出した女性たち」

Q:人の写真や動画をダウンロードして投稿するのは?

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他のユーザーの投稿やPinterestなどで見つけた写真や動画を友人にシェアしたり他のSNSに載せるために、スクショしたりそのままダウンロードして投稿したことはない? インスタグラムでも多くの人がやっているけれど、法律的にはどうなの?

答え:NG

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好きな写真や動画をシェアしたいという気持ちは理解できるものの、日本の法律的にはNG。海老澤さん曰く、実際は権利者が何も言わないケースがほとんどではあるけれど、リスクは当然あるそう。

「写真や動画については、基本的には写真や動画を撮影した人が、『自分で自由に使っていいよ』と言える権利である“著作権”を持っています。写真や動画を無断でスクショしたりダウンロードした投稿する行為は、この“著作権”を侵害する行為です。クレジットなどを掲載しても著作権侵害には変わりありません。著作権を侵害した場合、その写真や動画の著作権を持っているカメラマンなどから写真や動画の削除を求められたり、損害賠償や使用料を払ってほしいと言われる可能性もあります。

リスクを回避するためには、カメラマンなどに事前に連絡し、許可を得ること。あるいは、スクショやダウンロードではなく、インスタグラム上の機能に従った適切な方法(紙飛行機アイコンを使ってストーリーズに追加する方法など)であれば問題ないものと考えられます。また、スクショしたりダウンロードをした場合でも、『かっこいいな』『素敵だな』と個人的に楽しむことは、投稿などしなければ法律的にはセーフです

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Q:アイコン写真に芸能人やアニメの写真を使用するのは?

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これを読んでいる人のなかにもドキッとした人はいるのでは⁉ 好きな芸能人やアニメや映画のキャラクターをアイコン写真に設定するのは一体……?

答え:NG

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小さなアイコンなので問題がないように見えるけれど、実はいろいろな権利を侵害することに……。

「みんなやっているし小さいから問題ないだろうと軽く考えがちですが、れっきとした著作権侵害です。また、アイコンは自動的に丸く切り抜けれることから、著作者人格権(写真を無断で変えることを禁止するなど、著作者の人格を保護する権利)を侵害することにもなります。

人であれば誰もが肖像権を持っているのですが、芸能人に無断でアイコンなどに使った場合は著作権の侵害になる可能性もあります。さらに、芸能人のアイコンで誹謗中傷するなど、芸能人のイメージなどが傷つく使い方をすれば人格権侵害の可能性も。アイコンだからと気軽に使うのは禁物です」

Q:PR投稿の際に「#PR」をつけずに投稿するのは?

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いわゆる広告なのに広告ではないふりをして、こっそりお金や無料で金品を受け取って宣伝する“ステマ”のこと。企業や芸能人によるステマが浮き彫りになり、 ここ数年でかなり厳しく取り締まれているけれど、実際のところ法律的にはどうなの?

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答え:OKだけど気をつけて!

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意外にもステマを直接規制する法律はないとのこと。ただステマは、実際に使った人の中立的な感想だから信頼できる、という消費者の心理を悪用するモラルに欠けた行為なので気をつけたい。

「実際にはそんな事実はないのに『品質がいい』『安い』などと偽って宣伝するような詐欺的な場合を除き、日本にはステマを直接取り締まる法律は今のところありません。広告業界で自主的に規制している状況です。ただ、海外ではかなり規制が進んでおり、アメリカでは、例えばフィード投稿で表示される『続きを読む』の前にPRと入れることなど細かいルールが記載されたインフルエンサー向けのガイドがあるほど。海外の状況も含め、ただ世の中の流れとしてPRと書かないことはその人の信頼の問題になりますし、炎上リスクも高まっています。

このようにステマを規制する法律はないものの、根拠はないのにあるかのように発信すれば景品表示法という法律上問題となりますし、『翌朝にはニキビがなくなりました!』『飲むだけで痩せました!』といった投稿は、いわゆる薬機法という法律により厳しく規制されています。知らずに投稿してしまい、行政府から指導や処分を受けたり、最悪の場合は逮捕なんてこともあり得ますので、ぜひご注意ください」

Q:雑誌の表紙を撮影して載せるのは?

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好きな芸能人が表紙になった雑誌や、インテリアとして飾っている雑誌をインスタグラムに載せたことはある? まったく問題がないように見えるけれど、法律的にはOK? それともNG?

答え:NG

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なんとNG! 表紙の写真に対しての著作権侵害や、場合によってはモデルの肖像権侵害などになってしまうとのこと。けれど、海老澤さんに詳しく聞いてみたところ、著作権侵害にならない例外的なケースもあるよう。

「著作権法には実は例外的に侵害にならないOKな使い方がいくつかあります。そのなかのひとつが“引用”。例えば表紙の写真について語りたいような場合、語りがメインで表紙の写真はあくまでサブ、語り部分と表紙の写真部分が明確に区別されている、きちんと雑誌名やカメラマンの名前などのクレジットを記載するなど一定の条件を満たす場合は、例外的に著作権侵害にはなりません。また、例えば表紙の写真がポスターとして飾られており、それがたまたま背景として映りこんでしまったような場合は、“写り込み”の例外を使える可能性もあります。“引用”も“写り込み”も法律上の条件はなかなか厳しいので、その条件を正確に理解しておくことが重要です」

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Q:芸能人の隠し撮りをして載せるのは?

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街中で芸能人を発見! どうやらプライベートのようだけれど、滅多にない機会だから写真に収めたい……。そこで写真を撮ってインスタグラムのストーリーに投稿! この場合はOK? NG?

答え:場合によってNG

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プライベート中の芸能人を撮影してSNSにアップすることは、プライバシー侵害や名誉権などの侵害のリスクも。明らかに撮られたくない雰囲気なのに撮影したり、必要以上に追いかけ回したり、お忍びの場所を隠し撮りするのはNG。芸能人でいる限り注目を集めてしまうのは本人たちも理解しているとはいえ、相手の立場に立ってぐっと我慢する気持ちも大切!

「ある程度露出されるのは有名税として仕方がないところはありますが、芸能人にも当然プライバシーがあります。嫌がっているのに無理やり撮影したり、お忍びで訪れたお店の個室の様子をこっそり撮ってSNSにアップするような行為は、プライバシー侵害となるのでNG。公園などの公共の場で、特に嫌がる様子もなく撮影させてもらえたような場合は、誹謗中傷等でない限りSNSに投稿しても問題になりにくいとは思います。ただ、事務所から削除リクエストが来る可能性もゼロではなく、その場合には素直に対応しましょう。

なお、写真を撮影させてもらえた場合でも、その写真をプリントしたTシャツを許可なく発売するなど、芸能人の顧客誘引力(芸能人が持つ、顧客を引きつける力)を利用するケースはパブリシティ権侵害となります」

Q:ものすごく古い写真や絵画をダウンロードして投稿するのは?

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昔のものであれば、著作権も関係なさそう! とインスタグラムだけでなく他のSNSで投稿した場合は? 昔であっても著作権や肖像権はまだ有効?

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答え:OK

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実は著作権が有効なのは、原則としてカメラマンやアーティストの死後70年まで(一部例外あり)! そのため著作権が切れいている写真であれば、基本的には自由に使ってOK。とはいえ、自己判断で使うのは危険な場合も。

「著作権は登録されているわけではないので、本当に著作権が切れているのか分かりにくいのが実情です。古い写真だから大丈夫と思っていても、さまざまな事情で実際には著作権が切れていなかったというケースもあるので注意が必要。最近は著作権が切れた作品などのいわゆる“パブリックドメイン”を積極的に公開する動きが広がっており、例えばNYのメトロポリタン美術館も40万点の作品画像を無料公開しています。パブリックドメインの作品は基本的にはSNSに自由に投稿できますので、ぜひ活用してみてください」

Q:建築物を撮影して投稿するのは?

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話題の建物や歴史ある建築物、有名建築家による建築物など、思わず写真を撮りたくなるものは随所に溢れている。これらを撮影してインスタグラムにアップするのは?

答え:OK

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思わず写真を撮りたくなるような創作性・芸術性のある建築物には著作権が発生する可能性も。写真を撮ってアップしたら著作権侵害になりそうだけど、実は例外的にOKなのだそう。

「著作権で保護されるのは、個性や世界観を創作的に表現したものなので、誰が作ってもほぼ同じになる一般的な住宅やビルには著作権が発生しません。他方、独創的なデザインの建築物などはありふれた表現とはいえず、著作権で保護される可能性があります。

ただ、著作権が発生する建築物であっても、建築を建築として再現しない限りは著作権侵害にならないものとされているため、建築物を撮影して投稿するのはOK。また、すごく凝ったデザインの教会などはアート作品と同様に扱われる可能性もありますが、この場合でも、外観を撮影して投稿しても例外的に著作権侵害にはならないとされています。ただし、たとえばその写真をポストカードとして販売するなど、販売目的で撮影したり写真を販売することはできません。なお、建築物をその敷地内で撮影する場合は、きちんと権利者の許諾を得ましょう」

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Q:親しい友人のみ見られるストーリーで掲載禁止のイベントの様子を載せるのは?

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「SNSでのアップはお控えください」と事前に注意事項が提示されたイベントの様子を、親しい友人のみ見られるストーリーに投稿。限られた人のみの投稿だから問題はなさそうだけれど実際のところは?

答え:NG

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いくら限定された人しか見ることができない発信でも、SNSにアップしていることに変わりはないので基本的にはNG。運営側との契約違反のほか、場合によっては肖像権侵害やプライバシー侵害の可能性もあるとのこと。

「SNSは情報が広がる恐れもあるので安心は禁物。イベントに入る段階で運営側と『イベントの様子をSNSにアップしない』という約束をしているので、SNSにアップすればこの約束を破ったことになります。また、“SNSにアップしない”ことが条件となっている以上、イベントに出席している人も、SNSにアップされることは想定していないはず。それにもかかわらずアップすれば、運営側から損害賠償を請求されたり、写り込んでいる人から肖像権やプライバシー侵害を主張されるなどトラブルに発展する可能性が高いと思います

Q:親しい友人のみ見られるストーリーで特定の個人や会社の悪口を載せるのは?

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思わず愚痴を吐いたり悪口を言いたくなるのは人間であれば誰でもあるはず。それをSNSにアップするのは? 親しい友人のみ見られるストーリーならOK?

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答え:NG

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限られた人のみが見られるストーリーだとしても特定の個人や会社の悪口を載せるのはNG。

「公開範囲を限定すれば名誉毀損などには当たらないと思っている方がいますが、それは間違い。例えば名誉棄損は、“公然”と事実を指摘し、人の社会的評価を低下させる場合に成立しますが、ごく限られた人のみが見られる場合であっても“公然”に当たる可能性は十分にあります。そのため、例えば『〇〇課長は不倫している』といった悪口を親しい友人のみ見られるストーリーに載せた場合、名誉棄損などにあたる可能性が。なお、その悪口の内容が真実であったとしても同じです。

政治家の不祥事など公共性、公益性があり、真実であれば例外的に名誉棄損は成立しないとされています。が、一般的な悪口がこの例外にあたることは考えにくいと思います」

Q:おしゃれな人の投稿を真似して投稿するのは?

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おしゃれな投稿が溢れかえっているインスタグラム。ついつい撮り方や雰囲気を真似してしまうことも……。お気に入りのアイテムやその日のコーディネートなどを撮影するとき、他のユーザーの投稿を参考にするのはあり?

ファッションコラム

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