新型コロナ 感染者数拡大で医療ひっ迫 救急搬送受け入れ困難も

感染のピークがいまだ見えない新型コロナ。

19日は全国で6万6745人の感染が発表されています。
東京都は、都内で新たに1万1018人が感染していることを確認したと発表しました。都内で感染確認が1万人を超えるのは8日連続です。
福井県は過去最多となりました。

このような中、負担が増えているのが医療機関です。

2週間前の“1.7倍” 全国で往診の要請相次ぐ

新型コロナウイルスの感染が再び急拡大するなか、夜間や休日に往診を行う医師グループへの依頼が2週間前の1.7倍まで増え、検査で陽性と判断される患者の割合も半数を超え、医師グループは、基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけています。

夜間や休日に登録した医師たちが往診を行う「コールドクター」によりますと先月下旬から発熱などを訴える患者からの往診依頼が急増し、17日までの1週間では、2週間前の1.7倍まで増えました。

検査で陽性と判断される患者の割合を示す「陽性率」も2週間前より18ポイント高い51%となり、半数を超えています。

また、陽性と判断された患者のうち、10歳未満が全体の3割を占め、最も多いということです。

医師グループは、18日までの3連休中も対応に追われ、このうち今月16日に家族からの依頼を受け往診した都内に住む3歳の男の子は38度の発熱やせきの症状がみられ、検査した結果、陽性でした。

また、10代から30代までの若い世代では、3回目のワクチン接種を受けていない人の感染が目立つとしています。

今月16日にせきなどの症状が出て往診を依頼し、検査で陽性が確認された都内に住む30代の男性も、3回目のワクチンを接種していませんでした。
往診を担当した丸山浩司医師は、「若い世代を中心に感染が広がっているが、患者に対応する医師が感染したり、濃厚接触者となって勤務できなくなったりする状況も出てきているので、基本的な感染対策を改めて徹底してほしい」と呼びかけています。
東京都内に住む30代の男性は、今月16日、38度の発熱やせきの症状がみられたため、コールドクターに往診を依頼しました。

医師が診察に訪れた時、解熱剤を使い熱は36度台まで下がっていましたが、けん怠感があり、検査を受けたところ、陽性が確認されました。

一方、男性の血液中の酸素の値に問題はなく、肺炎の疑いもないことなどから、医師は軽症の範囲だと判断し、自宅療養を指示しました。

この男性は、3回目のワクチン接種は受けていなかったということです。
東京都内に住む3歳の男の子は、今月16日、38度の発熱やせきの症状がみられたため、家族がコールドクターに往診を依頼しました。

訪れた医師が診察したところ、熱は37度台に下がっていて、肺炎の疑いはありませんでしたが首のリンパ節が腫れていました。

男の子はPCR検査を受け、翌日に結果が出るまで、解熱剤やせき止めの薬を処方されて自宅で様子を見ることになりましたが、翌日、陽性が確認されたということです。

救急搬送受け入れ困難の医療機関も

新型コロナウイルスの「第7波」の感染が急拡大して東京都内の救急病院ではコロナ疑いの患者が殺到し、要請を受けた患者の半数程度しか受け入れられなくなっているところも出てきています。
厳しい暑さで熱中症の患者も増えると見込まれ、現場の医師はコロナだけでなく一般の救急患者の受け入れも厳しくなっていると危機感を募らせています。

東京 八王子市にある2次救急の指定病院、「南多摩病院」は新型コロナの専用病床を23床確保し、中等症までの患者に対応してきました。

コロナ病床は、今月初めの段階ではほとんど使用されていませんでしたが、先週からコロナ疑いで救急搬送される患者が急増し、先週末の時点でほぼ埋まりました。
さらにこの3連休の間、患者が殺到したため、別の病棟の一部を閉鎖してけさの時点で31床に増やしましたが、すぐに埋まり、これ以上コロナ患者を受け入れるのは厳しいということです。

また、熱中症の疑いで搬送される患者も相次いでいて、発熱やけん怠感など、症状を見分けるのが難しいため、感染対策を徹底して対応に当たっていますが、隔離できるスペースが少なく、一度に対応できる患者は限られているということです。

病院では、ふだんは要請を受けた救急患者の9割以上を受け入れてきましたが、いまは病床が足りないため、一般の救急も含めて半数程度の受け入れを断らざるを得ないとしています。
救急部門の責任者を務める関裕副院長は「夏場は熱中症のほか、若い人のけがも増える傾向にある一方で、感染のピークはまだなので、救急の受け入れはさらに厳しくなると予想される。この感染状況で職員も家族などから感染してしまい、働ける人が少なくなっていて危機的な状況を迎えている」と強い危機感を示しています。

都内の病床使用率 上昇続き40%超に

東京都内では新型コロナの患者用の病床使用率が上昇していて、19日速報値で40%を超え、40.5%になりました。

今月1日時点では18.9%だった病床使用率は上昇が続きました。

その後病床を2000床増やしておよそ7000床に拡充したことで、いったんは下がりましたが、感染の急拡大で再び上昇した形です。

都内の病床使用率は、第6波で最も高かった時は60%近くまで上昇しました。

一方、オミクロン株の特性を踏まえた重症患者用の病床使用率は、ピーク時には36.3%だったのに対して、19日時点の速報値で11.2%となっています。