陸上のセイコー・ゴールデングランプリ東京は23日、東京・国立競技場で行われ、女子1500メートルで兵庫・西脇工高出身の20歳、田中希実(豊田自動織機TC)が4分5秒27の日本新記録をマークして優勝した。従来の記録は北京五輪5000メートル代表の小林祐梨子が須磨学園高時代の2006年にマークした4分7秒86。新旧の日本記録保持者に共通するのは、田中(小野南中出身)、小林(旭丘中出身)ともに兵庫県小野市出身であること。さらに、そろって高校時代、同県高校駅伝で3年連続区間賞・区間新の偉業を打ち立てていることだ。人口約4万8000人(7月末現在)の小野市が輩出した新旧の日本記録ホルダーの軌跡を追った。
昨年の第36回大会までに県高校駅伝女子で3年連続区間賞を達成したのは計8人。だが、3年連続で区間記録を更新したのはこの2人だけだ。
田中は西脇工時代、最長6キロの「花の1区」を担い続けた。ルーキーだった2015年は当時の区間記録(19分28秒)を11秒上回る19分17秒の区間新記録をマーク。2位に1分3秒差をつける圧巻のデビューを飾った。
翌年は自身の記録を3秒短縮するにとどまったが、最終学年では18分45秒の驚異的なタイムをたたき出し、チームの4連覇に貢献した。区間歴代1~3位はすべて田中。区間記録の更新だけでなく、18分台に突入するランナーさえ当分は現れないかもしれない。
一方の小林は須磨学園時代の3年間、すべて異なる区間で記録を塗り替え続けた。1年から順に、3区(3キロ)=従来の記録を4秒更新▽4区(3キロ)=30秒更新▽2区(4・0975キロ)=25秒更新-を担当してチームを支え続けた。
2人が1~4区でつくった記録は現在も区間歴代最高記録として残る。これらの記録が破られるとしたら、それは世界基準の可能性を秘めた逸材が登場したことになるだろう。(大原篤也)
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【兵庫県高校駅伝における田中希実と小林祐梨子】
■小林祐梨子(須磨学園)
1年=3区(3キロ)◎9分7秒(04年)
2年=4区(3キロ)◎8分57秒(05年)
3年=2区(4・0975キロ)◎12分53秒(06年)
■田中希実(西脇工)
1年=1区(6キロ)○19分17秒(15年)
1年=1区(6キロ)○19分14秒(16年)
1年=1区(6キロ)◎18分45秒(17年)
(注)○は区間新、◎は区間新で現在も残る区間記録