緊急事態エリア、新規感染ステージ3下回る 首都圏解除は判断難しく

 新型コロナウイルスの感染状況を評価するため政府の対策分科会が示した6指標のうち、人口10万人当たりの新規感染者数が、緊急事態宣言が発令されている全10都府県で宣言解除の目安となる「ステージ3」相当の15人を下回ったことが、厚生労働省が26日に公表したデータで分かった。東京は前週の17・86人から14・07人まで減少した。

 宣言が月末で解除される岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県では、6指標はおおむね前週から改善してステージ3となったが、大阪で感染経路不明の割合が51・4%(前週48・2%)に悪化した。

 一方、首都圏の埼玉、千葉、東京、神奈川でみると、千葉と東京の感染経路不明の割合が悪化し50%を超えた。他に全入院者の病床使用率で埼玉と千葉が、人口10万人当たりの療養者数で千葉と東京が、ステージ4相当のままとなっている。政府は1都3県について、今後の感染状況を見極めた上で期限の3月7日に合わせた解除の可否を決めるが、厳しい判断を迫られそうだ。

 宣言の対象地域外では、全入院者の病床使用率が37道県のうち10道県でステージ3に相当。沖縄が前週の50・5%から38・9%に下降、静岡が15・7%から21・6%に上昇した。佐賀で人口10万人当たりの新規感染者数が0・25人から6・01人となった。

 ■医療負荷高い東京・千葉…宣言延長、現実味増す

 東京医科大・濱田篤郎(はまだ・あつお)教授の話

 緊急事態宣言地域のうち首都圏以外の6府県は、感染状況の指標がステージ3相当まで下がり、月末での解除は妥当だ。ただ、リバウンドで感染者数が増加すれば医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は必至で、飲食店への営業時間短縮要請などは段階的な緩和が重要になる。

 一方、首都圏は宣言解除が見通せない。新規感染者数の前週比は東京、神奈川、千葉で上昇し、減少ペースは鈍化している。感染経路不明の割合が高い東京、千葉ではクラスター(感染者集団)が見えないまま広がっている可能性がある。2都県は人口10万人当たりの療養者数からも医療への負荷が高いことが分かる。首都圏と北関東では全入院者の病床使用率がステージ3以上で厳しい状況が続いている。

 地方への感染拡大の可能性や、人の往来が増える東京五輪を見据え、東京では新規感染者をできる限り減らしておきたい。都内の医療体制を改善するには、日々の感染者数を100人程度まで減らさなければならない。都には、3月7日に宣言が解除できないという危機感もあるだろう。このままでは首都圏全体で宣言の延長が現実味を増してくる。(談)

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