青学大・原晋監督が創設のクラブチーム「絆RC」がいよいよ始動 会員募集開始 第1回練習会は5月30日予定

スポーツ報知
青学大・原晋監督

 青学大を箱根駅伝で5回の優勝に導いた原晋監督(54)が陸上の競技人口拡大や選手のセカンドキャリア支援など競技発展を目的にたちあげた一般社団法人「アスリートキャリアセンター(ACC)」が14日、始動した。公式ホームページを開設し、会員の募集を開始。活動の一環として、クラブチーム「絆ランニング倶楽部(絆RC)」を創設し、青学大駅伝チームとの合同練習会などを開催する。競技レベルは問わず、初心者からトップレベルの市民ランナーの参加を呼びかけている。将来的には絆RCのトップチームがニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)出場という壮大な目標も持っている。

 原監督は公式ホームページで「陸上界を活気のあるスポーツ業界にしていきたい。この挑戦はその第一歩。様々な取り組みを行いますので、楽しみにしていてください」とACCの活動指針を説明。同時に会員の募集を開始した。

 会員は3つのカテゴリーに分けられている。サイト会員(無料)、シルバー会員(入会金3万3000円、年会費1万2000円)、ゴールド会員(入会金3万3000円、年会費3万6000円)。シルバー会員とゴールド会員には入会時にACCのウィンドブレーカーとTシャツがプレゼントされる。

 ACCの活動のひとつが絆RC。「最近では、強い市民ランナーがたくさんいます。彼らにニューイヤー駅伝出場のチャンスを提供したい。また、実業団ランナーのセカンドキャリアにも貢献したい。まだ、現役を続けたいのに実業団チームから戦力外通告を受けた選手は、その企業で一般社員として働きながら自分が納得するまでクラブチームで走ってほしい。東日本実業団駅伝に出場し、ニューイヤー駅伝出場を目指します」と原監督は壮大なプランを明かす。

 ただ、現状、クラブチームはニューイヤー駅伝に出場ができない。今年の元日に行われた第65回ニューイヤー駅伝の開催要項の出場資格は「日本実業団陸上競技連合に登録されている男子競技者により編成されたチームで、各地区予選を経たチームであること」とされているが、その一方でチーム編成は「同一企業の単独チーム」という条件がある。原監督は「実業団連合はせっかく20年度からクラブ登録という画期的な制度を設けたのだから、駅伝競技もクラブチームの参加を認めた方がいいでしょう。その方が陸上競技の発展につながると思います」と主張する。

 将来的にニューイヤー駅伝出場を目指す一方で陸上、マラソン人口の拡大にも力を入れる。「ランニング文化を全国に広げていくことも目的の一つです。楽しく走りたい市民ランナーや健康目的ランナー、夢を目指すジュニアアスリートの指導や懇親会を開催し、コミュニティーを作ります」と原監督は話す。

 コロナ禍の状況次第で、変更される可能性もあるが、現時点では、5月30日に第1回の練習会と会員総会を開催予定。その前の5月19日には日本陸連に登録した競技者に参加資格がある公認の「第1回絆記録挑戦会」が東京・町田市立陸上競技場で行われる。「第2回以降は登録選手向けの公認競技会と、登録していない選手も参加できる非公認の競技会も計画しています」と原監督は説明する。自他ともに認める日本陸上界の“革命家”原監督の新たな挑戦が、いよいよ始まった。

 ◆原監督の「型破り挑戦」

 ▽テレビ出演 ワイドショーのコメンテーターで準レギュラーを務める。バラエティー番組の出演も多数。

 ▽実業団アドバイザー 2016年から実業団チームのGMOインターネットグループのアドバイザーを兼任。

 ▽大学院生 2017年に早大大学院スポーツ科学研究科に入学。1年後、最優秀論文賞を受賞した。

 ▽大学教授 2019年に青学大地球社会共生学部の教授に就任した。

 ▽社外取締役 今年から幼稚園やスポーツクラブなどを運営する「株式会社バディ企画研究所」の社外取締役を務める。

 ◆原晋(はら・すすむ) 1967年3月8日、広島・三原市生まれ。54歳。世羅高3年時に全国高校駅伝4区2位。中京大3年時に日本学生5000メートル3位。89年、中国電力陸上部に1期生で入社。27歳で競技引退。その後、抜群のアイデアと行動力で実績を残し「カリスマ営業マン」と呼ばれた。2004年、青学大監督に就任。09年に箱根駅伝史上最長のブランク出場となる33年ぶりの復活出場に導く。箱根駅伝は15年に初優勝し、18年まで4連覇。20年に5度目の優勝。出雲駅伝は優勝4回(12、15、16、18年)。全日本大学駅伝は優勝2回(16、18年)。学生3大駅伝で計11勝。16年度は3冠を成し遂げた。

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