首都の顔選びが無風で済むハズがない。東京都知事選(7月5日投開票)の告示(6月18日)が1か月後に迫る中、再選出馬が確実視される小池百合子都知事(67)の有力対抗馬がいまだ名乗り出ていない。小池一強&コロナ禍で各党が擁立にあえぐ中、ダークホースとして名前が取り沙汰されているのが実業家のホリエモンこと堀江貴文氏(47)だ。出馬すれば小池都知事に一泡吹かせるどころでは済まない情勢となってくる。

 毎回、著名人候補が乱立し、お祭り選挙と化す都知事選が、今回は不気味な静けさを保っている。これまで出馬を表明しているのは、NHKから国民を守る党の立花孝志党首(52)、幸福実現党の七海ひろこ広報本部長(35)、マック赤坂・港区議(71)の元秘書で介護士の込山洋氏(46)ら数えるほどしかいない。

 小池都知事と対立していた自民党都連が対抗馬の擁立を断念し、立民、国民、共産、社民は統一候補の擁立を模索するも、小池氏に対抗できるほどのタマが見つかっていない。野党関係者は「野党勢は一時期、れいわ新選組の山本太郎代表に白羽の矢を立てたが、緊急事態宣言下で街頭演説活動もままならない。勝算が見込めない以上、山本氏の出馬は難しいでしょう」と話す。

「コロナ対応で手一杯な上に負け戦と覚悟して出てくれる著名候補がいるかどうか。都知事選に2度出馬している元日弁連会長の宇都宮健児弁護士を担ぐしかないのでは」(同)。宇都宮氏は前回の都知事選では、出馬を取りやめ、野党統一候補となったジャーナリストの鳥越俊太郎氏に譲った過去もある。

 野党がぐずついている中、唯一、小池氏の脅威となりそうなのが堀江氏だ。「堀江さんが出るんじゃないか。出たらいい勝負になるどころか、いけるんじゃないか」と公言し、猛プッシュしているのは、ほかならぬ出馬を予定しているN国党・立花氏だ。

 堀江氏はコロナ禍当初から、国や東京都による外出自粛、休業要請までに至った“国民総ステイホーム”に「騒ぎ過ぎ」「(店を閉めさせられて)自殺者がどれだけ出るのか」と異議を唱え、いち早い経済活動の再開を訴えている。ツイッターやユーチューブを通じた自粛派への過激な批判は反響を呼び、いまや反自粛派の筆頭論客ともいえる。

 小池氏は15日にようやく都の出口戦略を示したが、コロナ禍の真っただ中で行われる都知事選では、コロナ対応が最大の争点になる。堀江氏が出馬すれば、小池氏の自粛路線を痛烈に批判し、都政どころか日本経済立て直しのドラスティックな戦略を示すこと必至。“コロナ疲れ”している無党派層や反小池の自民党票も取り込める可能性が出てくるワケだ。

 また、堀江氏は自身の秘書をN国の衆院選候補者に送り込んでいるように、立花氏の奇抜な選挙手法に感心している。自身が出馬するようならば、街頭演説は行わずにネットを中心とした異例の選挙選が予想される。

 堀江氏は態度を明言していないが、立花氏は「堀江さんが出るとしてもこの時期に表明することはない。直前になるのでは」と話しており、告示直前の情勢を見極めて、出馬に踏み切る可能性が高い。

 再選楽勝、無風選挙といわれる小池氏だが、ホリエモンが対抗馬に名乗り出れば一転、尻に火がつく“緊急事態宣言”となる。