新型コロナ感染後遺症 心筋の微小血管に血栓 北海道循環器病院が専門外来

コロナり患後の心臓の状態を説明する北海道循環器病院の相川忠夫医師(坂本隆浩撮影)
コロナり患後の心臓の状態を説明する北海道循環器病院の相川忠夫医師(坂本隆浩撮影)

札幌市中央区の社会医療法人北海道循環器病院(大堀克己理事長、95床)の相川忠夫医師(37)ら4人のグループの研究で、新型コロナウイルス感染の既往がある患者の心筋の微小な血管から血栓(血の塊)が見つかったことが分かった。国際的な3大心臓病専門学会誌の一つとされる「Europian Heart Journal」ウェブ版に8月6日付で、コロナ心臓後遺症に関する症例報告として掲載された。コロナ治癒後にみられる心臓後遺症の原因である可能性が示唆されるといい、同病院は専門外来を開設した。

異なるメカニズム

同病院で循環器内科を担当する相川医師らの症例報告によると、コロナ感染が原因と考えられる心筋障害を繰り返した19歳の男性患者の心臓の組織を一部採取して調べたところ、心筋内の微小な血管から血栓が見つかった。一般的なウイルス感染による心筋症ではみられない症状という。

欧米の研究などではコロナに感染すると血管内に過度の炎症が起き、血栓を起こしやすいことが分かっている。相川医師はこの男性患者についても「心筋内で生じた血栓が心筋障害の原因となった可能性がある。一般的なウイルス感染による心筋炎とは異なるメカニズムが考えられる」と指摘。コロナ感染の既往がある人が胸痛や呼吸困難などの症状を訴える場合、血栓を原因とする後遺症による心筋障害の可能性が考えられるとしている。

胸痛などコロナ後遺症とみられる症状がある場合、治療につながる判断材料の一つになるもので、「この症例報告に関心を持つ医師も多い」と話す。

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